2011年お正月はニッポンで(その27;丸長旅館の夕食タイム(前編))
▲丸長旅館さんの夕食。これはお造りで、右側が長湯名物のエノハの刺身。
2010年12月27日、鷹来屋。
長湯温泉「丸長旅館」さんの客室で、温泉ハシゴで湯あたり直前の身体をまったりと休めているうちに、夕方6時半、夕食の時間となりました。
丸長旅館さんは客室が6室しかないこぢんまりとした宿で、2005年の初投宿以来、僕の定宿となっております。客室はすべて2階にあり、食事は1階の食事処の個室でいただきます。
テーブルの上には、お盆の上にまず2品が載っています。一つはこの宿名物の先付で、生姜を添えた引き上げ湯葉です。とろりとした食感と濃厚な豆乳の風味はいつ食べてもさすが自慢の一品だなと思います。もう一皿は、小皿の上に簀が立てかけられ、椿の葉でしょうか、その簀の上に飾られていて、簀の下からは小鉢がのぞいています。箸置きには紫の小菊が添えられています。
夕食が始まります。
宿の名物、引き上げ湯葉。
簀の下には何があるのか。
長湯温泉にはこれまで夏にしか来たことがなかったので、「師走の献立」は今回が初めてです。
皿の上に載った簀をどけてみると、下からは小鉢と茅葺き家屋の形をした瀬戸物の容器が現れました。これは前菜です。小鉢入っているのは糸南京の胡麻和えです。平皿に直接置かれているのは織部椎茸、蓬麩の田楽、そして銀杏松葉。そして藁葺き家屋の中にあるのは、サーモン蓮根、鯛の手鞠寿司、胡桃飴煮、丸十、海老蒲鉾、公魚、市松蕪、柿の鳴門巻き。もうこれだけで何種類の食材が使われているのか、たいしたものです。
簀の下から現れた前菜。
様々な素材の味がぎっしり。
こんな前菜、お酒に合いすぎるので、飲まずにはいられない。風呂上がりということもあり最初はビールにしましたが、焼酎の国九州とは言え日本酒もあるとのことなので、蒸留酒が苦手な僕は、長湯温泉から最も近いところの酒蔵の日本酒を飲むことにしました。
豊後竹田から大分へ向かって二駅目は緒方という駅ですが、その豊後大野市緒方町にある浜嶋酒造の「手造り糟しぼり 辛口本醸造 鷹来屋」を冷やでいただきます。浜嶋酒造は明治22年(1889年)の創業で、当時鷹が浜嶋家によく飛来してきていたことから屋号を「鷹来屋」としたそうです。このお酒は自家栽培の米「五百万石」と「レイホウ」の用い、どんな料理とでも合わせやすい飲み飽きしない酒とのことで、本醸造酒ではありますが、きりりと冷えたところをおいしく飲むことができました。
豊後竹田から大分へ向かって二駅目は緒方という駅ですが、その豊後大野市緒方町にある浜嶋酒造の「手造り糟しぼり 辛口本醸造 鷹来屋」を冷やでいただきます。浜嶋酒造は明治22年(1889年)の創業で、当時鷹が浜嶋家によく飛来してきていたことから屋号を「鷹来屋」としたそうです。このお酒は自家栽培の米「五百万石」と「レイホウ」の用い、どんな料理とでも合わせやすい飲み飽きしない酒とのことで、本醸造酒ではありますが、きりりと冷えたところをおいしく飲むことができました。
地元の日本酒をいただきます。
緒方町の地酒「鷹来屋」。
向付はエノハと鯛の刺身です。エノハはこのあたりの特産で、このあたりを旅行するとあちこちでエノハ料理の看板を見かけます。「エノハ」とはヤマメとアマゴのこの地方での呼び名だそうです。こりこりとしたしっかりとした食感を楽しめます。あしらいはわさび、菊花、ダイコンとニンジンを薄く剥いて巻いたものの4種で、品良く仕上げられています。
向付はエノハと鯛の刺身。
さて、次は椀物です。澄んだ汁に大きな飛竜頭と下仁田葱が入っています。「飛竜頭」とか「ひろうす」と呼ぶのは関西圏ですね。東日本なら「がんも」「がんもどき」でしょう。このような上品であっさりとした味は中華料理では出せないんだろうなあ…… いや、出せないというよりは、出さないのが中華料理なのかも。北京にある日本料理店で前菜、椀物と続くこの味を出せる店もこれまたなさそうだな。
椀物は飛竜頭と葱。
▲飛竜頭、東日本で言えば「がんもどき」ですが、しっかり味が浸みたふっくらとした仕上がり。