毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ハノイの朝の過ごし方(Long Summer Vacation;その48)

f:id:mainichigaharu:20190825232723j:plain▲ハノイの朝はフォーで始まる。

 2018年7月22日、おかわり!

 ベトナムの代表的料理として日本人にもよく知られているのが「フォー(Phở)」。溶いた米粉を熱した金属板の上に流してクレープのように固め、これを平麺状に切ったものを、鶏や牛からダシを取った透明なあっさりスープに入れて、具を載せて食べるのが、フォー。北ベトナムが本場で、ハノイはまさにフォーのメッカ。でもって、フォーを食べるのは朝と決まっているようで、ハノイの朝はフォーで始まると言ってもよかろうと僕は思うのである。

 

 ハンさん宅でごちそうになった翌日の朝、ハンさんファミリー3人が車でホテルまで迎えに来てくれて、まずはフォーを食べに連れて行ってくれました。

 ハノイ駅の駅前通りは「レ・ズアン通り(Đường Lê Duẩn)」といいますが、その通りの駅舎とは反対側に一本入った通りが「イェット・キエウ通り(Phố Yết Kiêu)」。この通りにレ・ズアン通りから来る「ド・ハン通り(Phố Đỗ Hành)」が突き当たるその角のあたりに、そのフォー屋さんはありました。ド・ハン通りは、街路樹が道路に覆い被さるように茂る狭い通りで、果物売りのおばちゃんが天秤棒を担いで歩いて行くのも見られて、普通の人々の生活が息づくハノイの朝です。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232814j:plain▲「イェット・キエウ通り」との角にある「ド・ハン通り」を示す標識。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232756j:plain▲ハノイ駅近くの緑豊かな小路「ド・ハン通り(Phố Đỗ Hành)」。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232801j:plain▲おばちゃんが天秤棒を担いでやってくる。ザボンみたいな果物を売ってます。

 

 イェット・キエウ通りからド・ハン通りに折れるとすぐ、ド・ハン通りの両側にある狭い歩道に、駐車中のバイクの隙間を埋めるようにずらりとプラスチック製のテーブルと腰掛けが置けるだけ置かれ(例のすっごく低いテーブルと風呂屋の腰掛けみたいなヤツ。)、そこでハノイ市民たちがフォーを食べまくってます。いちおうフォー屋さんの店内にもテーブルはあるようですが、それだけでは客を全然さばききれないのだ。

 

 店頭では、お店のおねえさんたちがフル回転でフォーをつくってます。たぶん大きなザルの中に平麺状のフォーが入っていて、それをどんぶりに入れてスープを注ぎ、刻みネギと鶏肉をトッピングするという作業工程になっているものと思われます。 

 

f:id:mainichigaharu:20190825232648j:plain▲ハノイ市民に大人気のド・ハン通りのフォー屋さんの店頭はこんな感じ。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232657j:plain▲店頭ではお店のおねえさんが休む間もなくフォーをつくってます。

 店内はもちろん、歩道に出したテーブルもいっぱいで、お店とは道路をはさんで反対側の歩道の方のテーブルにようやく空きを見つけて着席し、待つことしばし。やってきました、我々のフォーが!小さいテーブルの上に4つもどんぶりが並ぶとなかなか壮観。

 おーー、このスープの透明感、たまらんなあ。フォーの麺が白くて半ば透き通っていることもあって、ことさらに透明感が高まり、トッピングの刻みネギの緑が鮮やか。そこへプリプリに鶏のもも肉がほどよく浮かんでいます。スープはこんなに透明なのに、味はさっぱりながらもしっかり鶏ダシがきいていて濃厚なのだ。

 ライムと刻みトウガラシとディルのようなハーブが別の小皿で出てくるので、これをお好みで加えて、では、いただきます!
 

f:id:mainichigaharu:20190825232703j:plain▲小さなテーブルに4つのどんぶりが並んでなかなかの壮観。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232708j:plain▲スープはこんなに透明なのに鶏ダシの味は濃く、温かくて優しくてもうたまらん。

 中国では、朝食におかゆをよく食べますが、朝のおかゆにつきものなのが「油条(ようてぃあお)」。小麦粉をこねて油で揚げた棒状の揚げパンで、これをおかゆの中に入れてしなしなになったのを食べます。ベトナムでも、フォーにはこの揚げパンがマスト。ベトナムでは「クワイ(quẩy)」と言うそうで、もちろんこれも注文します。中国のより短い感じがするけれど、見た目は「油条」そのもの。これをフォーのスープに漬けて、しなっとしたところを食べるとフォーのやさしいスープが染みこんでウマイ!

 あまりにもおいしいので、僕はフォーをおかわりしてしまいました!うーん、2杯目もおいしい~~。

 ちなみに、日本では牛肉の薄切りを載せた「フォー・ボー(phở bò)」もよく知られていますが、ハノイのこういうローカルなフォー屋さんで見かけるのはほとんど鶏肉を載せた「フォー・ガー(phở gà)」のように思います。同じ「フォー・ガー」でも、以前ハノイ市内の別のお店で、鶏のむね肉を載せるかもも肉を載せるか注文のときに聞かれたことがありましたが、ここのお店はもも肉オンリーのようですね(ハンさんたちがそういうふうに注文したのかもしれないけど。)。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232712j:plain▲これがハノイの揚げパン「クワイ(quẩy)」。中国の「油条」より少し短め?

 

f:id:mainichigaharu:20190825232719j:plain▲「クワイ」をスープにつけて、しなっとしたところを食べるとスープが浸みてウマイ。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232727j:plain▲これ、実は2杯目のフォー。だってあまりにもおいしいので。

 

 食後はコーヒーが飲みたいものだと思っていると、どこからかコーヒーが登場(笑)。すばらしい。フォー屋さんのはす向かいあたり(つまり我々が座っているテーブルのすぐ近く)にカフェがあって、注文すると持ってきてくれるのだ。

 いつものように、コーヒーは、ガラスのコップの上に「カフェ・フィン(cà phê phin)」というアルミのフィルターが載った形で出てきます。コーヒーが落ちるのがあまりにもゆっくり過ぎるので、できあがりの量は非常に少なく、しかも既にかなりぬるくなっているのもいつものとおり。グラスの底にコンデンスミルクが入っていれば定番のミルクコーヒー「カフェ・スア(cà phê sữa)」になりますが、ここのは入っていないので、コーヒーが落ちたあとふつうの砂糖を加えて甘くします。

 食後に濃いコーヒーを飲んでまったり。ベトナムの朝だなあ~~。

 

f:id:mainichigaharu:20190825232741j:plain▲食後はコーヒー、ということで近くのカフェからデリバリーされました。

f:id:mainichigaharu:20190825232749j:plain▲一滴一滴コーヒーが落ちて、落ちきっても量はこんなもの。
 

f:id:mainichigaharu:20190825232808j:plain▲はい、できあがり。発狂するほど濃くて苦いのでふつうはこれに砂糖を入れます。