毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

サイゴン・スペシャル (Long Summer Vacation;その52)

f:id:mainichigaharu:20190825233420j:plain▲もっちりとしゃっきりの食感がなんとも心地よい「フォー・クァン」。

 2018年7月22日、揚げフォーもね。

 旧市街地でコーヒー豆を求めたあとは、遅めのランチタイム。ハンさんファミリーが連れて行ってくれたのは、西湖の南東端に堤防で仕切られて接する「チュックバック湖(Hồ Trúc Bạch)」に浮かぶ出島にあるお店。

 このお店、僕は来たことあります。2014年12月にハンさんを訪ねてハノイに来たとき、西湖の南岸すぐにある寺院「鎮武観(Đền Quán Thánh)」を参拝したあと、ぶらぶらとこの出島まで歩いて連れてこられたお店です。「フォー・クァン(Phở cuốn)」が美味しいと有名な食堂なんです。この出島には、「フォー・クァン」のお店がいくつも点在していて、若者に人気のエリアなんだとか。

f:id:mainichigaharu:20190825233459j:plain▲「フォー・クァン」のお店が並ぶチュックバック湖の出島の中の「グーサー通り」。

f:id:mainichigaharu:20190825233455j:plain▲その「グーサー通り」にある「Phở cuốn Hương Mai」に2度目の来訪。

 出島の中にある「グーサー通り(Phố Ngũ Xã)」は、両側に民家が建ち並ぶ何の変哲もない狭い通り。そんな住宅の1階部分にところどころ店舗が入っています。多いのはやはりフォー・クァンの食べられる食堂のようですね。その中の「Phở cuốn Hương Mai」という食堂が目的地。僕にとっては2回目の来訪になるわけですが、あの美味しいフォー・クァンがまた食べられると思うとワクワクします。

 店内には、天板に木材を使ったテーブルや腰掛けが並び、こぎれいな印象。半端な時間だけれども、客が途切れることなく出入りしています。

 テーブルに就いて、まずはビール。ベトナムでビールと言えば、北部なら「ビア・ハノイ」、南部なら「ビア・サイゴン」が一番人気ですが、このお店で出てきたのは「ビア・サイゴン」系の麦芽100%「サイゴン・スペシャル」。冷やしてないので、コップの方に氷がふんだんに入っています。これもベトナムスタイルか。

f:id:mainichigaharu:20190825233414j:plain▲店内は狭いながらもこぎれいで、半端な時間なのに若者や欧米人が引きも切らず。

 

f:id:mainichigaharu:20190825233430j:plain▲モルト100%の「サイゴン・スペシャル」を氷入りのコップに注いで。

 壁に大きな写真入りのメニューが掲示してあるので、ベトナム語がわからなくても最後はこれを指させば注文は問題なし。たぶんここに掲示されてる10種類のメニューしかないんだと思われます(ドリンク以外で。)。

 その壁メニューを写した写真が下なんですが、今回はこの中から4品食べました。まずは上段左の看板メニュー「フォー・クァン」。そしてこれもゼッタイ外せない、「フォー・クァン」の右の「フォー・チェン・フォン(Phở chiên phồng)」。今回初めて食べたのは、下段右から2つめの「チャー・ガーン(Chả ngan)」に、下段右端の「Thạch dừa(タック・ヅァ)」。お値段は、「フォー・クァン」が60,000ドン(=約282円)。「/10C」とあるのは「10本で」ってことかな。10本で300円弱とは安すぎなのでは。「チャー・ガーン」がいちばん高くて、130,000ドン(=約610円)。デザートの「タック・ヅァ」に至っては10,000ドン(=47円)。いずれにしても全部安いぞ。

f:id:mainichigaharu:20190825233409j:plain▲壁に大きく掲示されたメニュー。これがあればベトナム語ができなくても心配なし。

 前の記事でも書きましたが、日本人にも人気の「フォー(phở)」はスープヌードルですが、もともとは溶いた米粉をクレープのように熱した金属板の上に流して固めたもののことでありまして、それを細く切って麺のようにすることもできれば、四角に切って春巻の皮のようなぺらぺらにすることもできるわけです。

 そこでこの春巻の皮のように四角のぺらぺらに切ったフォーで、レタスのようなセロリのようなネギのような野菜と牛肉(たぶん)を刻んだものを巻いたのが「フォー・クァン」。「クァン(cuốn)」は「巻く」という意味なので、文字通り「フォー巻き」ですね。外観は真っ白で、香港の飲茶のマストアイテム「腸粉(チョンファン)」に似ているかな。これを、ブンチャのつけだれのような魚醤のよく聞いた甘酸っぱしょっぱいタレにつけて食べるのですが、もっちりしたフォー皮としゃっきりした野菜に肉の旨味が混じり合ってそこにタレが絡み、まことにウマイ。何本でも食べられてしまう。

f:id:mainichigaharu:20190825233427j:plain▲「フォー・クァン」の横から眺めてみる。10本で300円弱、激安。

f:id:mainichigaharu:20190825233441j:plain▲つけだれに浸したフォー・クァンと氷入りのビア・サイゴン。

 次は、前回も食べた「フォー・チェン・フォン(Phở chiên phồng)」。「chiên」は「揚げる」、「phồng」は「膨らむ」という意味で、方形のぺらぺらに切ったフォーを揚げたもの。「揚げて膨らんだフォー」という意味でしょうか、フォーも揚げるとよく膨らむんですね。インドネシア料理とかタイ料理とかでよく出てくるえびせんのような、日本の切り餅をストーブで焼いたら膨らんだみたいな。これだけで食べてもザクザクの食感がたまらないんですが、更にこの上に野菜と牛肉を炒めたものを餡掛けのようにかかっていて、一緒に食べるとさらにアツアツ、ザクザク、もっちりで、一気にビールが進みます。

 

 今回このお店で初めて食べたのは「チャー・ガーン(Chả ngan)」。「chả」は「炒め物」、「ngan」は「鴨、アヒル」という意味で、鴨肉の炒め物のようです。値段が一番高いので、鴨肉は高級品なのかも。鴨肉を櫛形に切ったタマネギと一緒に炒めたものの上にバサッとハーブ野菜が無造作に載っかってます。鴨肉は焦げ目も香ばしく、噛み応えのある食感がこれまたビールに合いまくり。
 f:id:mainichigaharu:20190825233446j:plain▲以前ここで初めて食べてすっかりはまってしまった「揚げフォー」、ウマイです。

f:id:mainichigaharu:20190825233435j:plain▲今回初めて食べた鴨肉炒め、しっかりとした食感と香ばしさがビールに合いまくり。

 ああ、今回も存分に食べてしまった。こんな場所にあるこんなお店、ハンさんファミリーの案内がなければとても来られないだろうな。ハンさんファミリーに感謝です。

 というところでハンさんが持ってきてくれたのは、〆めのデザート。プラスチックのコップに入ったゼリーのようなものに見えますが、上下で色が異なっています。「Thạch dừa(タック・ヅァ)」というのですが、「thạch」は「寒天」、「dừa」は「ココナツ」という意味だそうで、「thạch dừa」は「ココナツゼリー」、つまり「ナタデココ」のことだそうな。このお店では、上半分がナタデココで、下半分の緑の部分はフルーツゼリーになっていて、見た目もおしゃれなところが若者に人気なんでしょうな。なんのフルーツ味だったかは忘れちゃったけど、冷たいナタデココを最後に食べてさっぱりして、大満足です!

 

f:id:mainichigaharu:20190825233451j:plain▲〆めのデザートはフルーツナタデココ。10,000ドン(=約47円)です。