毎日ヶ原新聞

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観光列車「一万三千尺物語」(見ただけ)

イメージ 1 ▲「顔」は国鉄型そのものの面影色濃く、第三セクター鉄道で活躍する観光列車「一万三千尺物語」。

 2019年6月23日、車内で握りたてを。

 この日曜日、富山にちょっと用事があったので北陸新幹線で日帰りしてきました。

 行きは上野発08:18の「かがやき521号」に乗り、富山着10:27で、あいの風とやま鉄道10:46発泊始発金沢行き普通列車544Mに乗り換えようと思い、在来線1/2/3番線ホームへ上がりました。

 富山駅、しばらく来ないでいるうちに在来線ホームの高架化が完了し、4月21日から南口と北口がまっすぐ通り抜けられるようになっていました。まだ工事は続いていますが、在来線改札内の動線もシンプルになり以前よりだいぶ便利になったような気がしました。

 さて、あいの風とやま鉄道の改札から中に入ると、列車案内LEDには、3番線の次の列車が「11:00 観光列車」と表示されています。ハテ、なんでしょう観光列車って。すると、ホームへの階段の上り口に臨時のブースができていて、アテンダントと思われるおねえさん2人がこの観光列車の乗車受付をしています。予約すると郵送されてくる「最終ご案内書」を持ってこのブースで乗車受付をするらしい。そう、その観光列車とは、この4月6日から運行を始めたあいの風とやま鉄道初の観光列車「一万三千尺物語」なのでありますっ!(イベント列車としては既に「とやま絵巻」がありますが。)

イメージ 2 ▲国鉄型車両の顔にかなりシブいヘッドマークを装着。

 「一万三千尺物語」号は、旧国鉄車両413系のAM01編成(クハ412-1+モハ412-1+クモハ413-1)を改造した3両編成で、「一万三千尺」は約4,000m、立山連峰と富山湾の高低差を表しているのだとか。なので、外観は、「標高3,000mの立山連峰の美しい稜線と、深海1,000mの富山湾を車両全体で表現し」たものになっており、「朝日によって色づく立山と富山湾」をオレンジ色で表現しています。1号車と3号車の真ん中の窓は特に大きく、幅258cm、高さ87cmと、通常の2.5倍の大きさの窓があり、その下には「一万三千尺物語」の文字が入っています。この文字の色は、金箔で仕上げたような変化のある色合いで、前後に掲げてあるトレインマークも、黒字に金箔調の黄金色で地味ながらなかなかシブく格好良いデザインです。

イメージ 3 ▲金沢方1号車中央の大窓と、その下に描かれた「一万三千尺」の文字。

 窓が大きいので、車内の様子もよく見えます。

 車内は、ぱっと覗き込んだ第一印象、とにかくウッディ。木材がものすごく多用されています。「旧国鉄車両413系の歴史的情緒と、富山独特の自然的風雅を調和させたデザイン」だそうで、「天井、床、テーブルなどに富山県産の「ひみ里山杉」をふんだんに使用して木の温もりが感じられる意匠」とし、その空間に富山湾を意識した「青」をアクセントとして添えているそうです。

 1号車の大窓の内側はカウンター席でしょうか。山側なので、この大きな窓を通して立山連峰の風景を独占できそうです。3号車は、山側が2人掛け、海側が4人掛けのボックス席になっていて、テーブルも大きく、列車の中とは思えない落ち着いた造り。テーブルの上には一人ずつにお品書きやパンフレットが置かれているようです。

イメージ 4 ▲1号車山側のカウンター席。海側は2人掛けのボックス席になっているようです。

イメージ 5 ▲3号車のボックス席。これだけ見ると列車の中とは思えませんね。

 さてこの「一万三千尺物語」号、「“天然の生簀”と呼ばれる富山湾の採れたての魚と、ミネラル分豊富な立山の雪解け水で育まれた里山の恵みをふんだんに盛り込んだ“富山の四季と高低差”を味わえるダイニング列車」なのだそうです。2号車は厨房と売店になっていますが、厨房の中には白衣をまとった板前さんが立っているのが見え、まさに本格的な日本料理店の風情。

 列車の運行は基本毎週土日で、「1号」と「2号」の1日2本の運転。「1号」は「富山湾鮨コース」で、11時ちょうどに富山を出発し、泊で折り返して富山に13:07に戻ってくるというダイヤ。「2号」は「懐石料理コース」で、15:28に富山を出発し、高岡で折り返し、黒部で折り返すという反復横跳びのような動きをして、17:54に富山に戻ってくるというダイヤ。走行距離は「1号」が98.2km、「2号」が101.2km。もちろん富山の地酒も豊富に取りそろえてあるらしい。どちらのコースも12,800円(おみやげ付き14,800円)。車内の厨房で握る握りたての「富山湾鮨」も魅力的だし、富山湾の新鮮な魚介や富山米、野菜、山菜などを素材にした和風懐石料理に舌鼓を打つのも魅力的。これを2時間かけて、地酒とともにじっくり味わえる「一万三千尺物語」の旅、いつか乗ってみたいものです。ちなみにこの日は、544Mの発車時間10:46まで見ていたところでは、「1号」の乗客は多くはなく、席にはかなり余裕があるようでした。空いてるときにカウンターで隣席に気兼ねなく地酒を飲みながら、っていう感じで乗ってみたいです。

イメージ 6 ▲泊方3号車のボディには、夕焼けに染まる立山連峰と富山湾が車両全体に描かれています。