毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ありそドーム(夏の旅、北へ南へ時々台風;その6)

イメージ 1 ▲全列車がスイッチバックで進行方向を変える上市駅。

 2016年8月12日、間違えた。

 越中船橋の次は、本線と立山線の分岐駅・寺田、それから越中泉、相ノ木、新相ノ木と続いて、上市に到着。この駅は、昭和6、7年頃のもろもろの経緯から、平地にありながら全列車がスイッチバックをしなければならない構造になっているので、ここで進行方向が変わります。

 進行方向を変えて、北へ向かって再び走り始めると、最初の駅は新宮川。ホームのすぐ向こうは青々と穂をのばす水田が広がり、更にその向こうには立山連峰から続く山並みがだいぶ近くに見えてきています。

イメージ 2 ▲青々と育つ水田に隣り合って新宮川駅のホーム。

 改めて地図で見てみると、上市まで来る頃にはずいぶん内陸部に入り込んでいたことに気づきます。上市からは、新宮川、新宮川、中加積、西加積、西滑川と北へ走って、再び海へ近づいていき、西滑川を出ると右へ急カーブを描き、あいの風とやま鉄道線に並び、その先はずっと並走していきます。それにしても、中加積、西加積、3駅おいて浜加積、早月加積と、「加積」のつく駅が4駅もあります。魚津・滑川平野のことを「加積郷」と呼んでいたそうなので、広い範囲で「加積」という地名が残っているのでしょう。

イメージ 3 ▲西魚津駅の南側には並走するあいの風とやま鉄道線がすぐ近くに。

 それまであいの風とやま鉄道線の南側を並走していた地鉄本線は、越中中村の先、西魚津の手前であいの風とやま鉄道線の下をくぐり、あいの風とやま鉄道線の北側を並走するようになります。

 そして、西魚津の次が電鉄魚津、僕はここで下車します。電鉄魚津到着は14:21、電鉄富山からの所要時間は53分でした。西魚津を出るとあいの風とやま鉄道線も高架になりますが、発車して行く135レを見送ると、周囲より高くなった高架上のあいの風とやま鉄道線の方を列車が魚津方へ駆け抜けて行きました。高岡始発の泊行き普通列車453Mのようです。。。。

イメージ 4 ▲電鉄魚津で下車。ここまで電鉄富山から53分でした。

イメージ 5 ▲富山地方電鉄初乗車となった「ダイコン電車」が走り去ります。

 いや、ちょっと待て。いや、違うぞ、なんか違う。待ち合わせはJR魚津駅前。ここにJR魚津駅はあるか?ないぞ。あいの風とやま鉄道の線路が隣を走っているだけじゃないか。おかしい。これはいったいどうしたことだ??

 違う違う!思い出した!僕が降りるのは、電鉄魚津じゃなくて、次の新魚津だったはず。どうして電鉄魚津で降りてしまったんだーーーー_| ̄|○。

 時すでに遅し(涙)。駅舎の外は、真夏のかんかん照りで、暑い、眩しい。すっかり勘違いして思い込んで降りた電鉄魚津駅、なにやらカクカクした今風の駅舎の外には何もなし。JR魚津駅前で待っている友人に電話して、迎えに来てもらうしかないわ。

イメージ 6 ▲まったく思いもかけず見ることができた電鉄魚津駅の駅舎。見たかったわけじゃないけど。

 友人たちは、半分あきれつつも、隣のJR魚津駅・地鉄新魚津駅から車ですぐに迎えに来てくれました。ああ、よかった。

 余計な寄り道になってしまったけど、初めて魚津を訪れた僕を友人たちがまず最初に連れて行ってくれたのは「ありそドーム」。魚津駅を海手へ向かって進むとかなり海の近くに建っている「魚津テクノスポーツドーム」のことで、高さ46mの展望塔があって見晴らしが良いというので上ってみました。

イメージ 7 ▲あまりにも天気良すぎ!富山湾の向こうに見える陸地は能登半島。

 日本海は富山の北に広がっていると思いがちですが、海岸線は意外に湾曲していて、富山湾は三方を陸に囲まれたようになっています。その富山湾を囲む西側が能登半島、東側が魚津の辺りで向き合っているので、魚津では海は北ではなく西にあり、西の向こうには能登半島が見えるというわけです。

 山側(つまり東側)を眺めてみると、JR魚津駅を中心とした市の中心部が見え、その向こうには立山連峰続く山々がもうすぐそこに迫っています。振り返って海の方とを見比べると、いかに平野部分が狭いかがよくわかります。このあたりの地形の大きな特徴と言えましょう。

イメージ 8 ▲山側は、写真のちょうど中央あたりがJR魚津駅周辺。平野が狭い!
 
 ところで、魚津には「たてもん祭り」というお祭りがあるそうです。毎年8月の初め、たいこや笛の囃子を鳴らし、はっぴ姿の若者の力によって三角形の船形万燈を豪快に曳き回すのだそうです。魚津の諏訪神社の夏季祭礼だそうで、この「船形万燈」のことを「たてもん」と呼び、高さ約16m、帆に見立てた底辺約8mの二等辺三角形の枠に横木を渡し、90個前後の丸提灯や雪洞(ぼんぼり)を吊るします。秋田の「竿燈」にもよく似ています。この「たてもん」が、ありそドーム1階に展示してありました。なかなかの大きさで、これに火が灯ったときのことを想像するとなかなか雄壮です。

 「たてもん」のいちばん下の横木には、絵柄が描かれています。展示されているのには「魚津城の戦い」とあります。魚津には城があり、ここで1582年(天正10年)、織田信長軍と上杉景勝軍が戦い、織田軍が勝利したというもので、まるで大河ドラマのようなできごとが魚津の歴史には起きていたんですね。

イメージ 9 ▲ありそドーム1階に展示してある「たてもん」。下部の絵柄は「魚津城の戦い」。