毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ドゥオンラム村のおばあちゃん(ハノイふたたび;その10)

イメージ 1 ▲Đường Lâm(ドゥオンラム)の村の入り口の木門。

 2015年4月26日、ハノイ西郊の古い町。

 あまりにもおいしいフォーを食べてホテルに戻ると、この日一日借り上げることにしている車に乗ってハンさんがやってきました。この車に乗って、この日は、ハノイの西約50kmのところにあるĐường Lâm(ドゥオンラム)という村を訪れることにしています。今回のベトナム旅行のメインイベントです。

 車で走ること約1時間半、たどり着いたのは、草地だか田んぼだか畑だかと沼だか池だかが周囲に広がる農村の中にある小さな木造の門の前。ここがドゥオンラム村の入り口らしい。しょっぱなからグッドな雰囲気です!

イメージ 3 ▲木々に囲まれた「モンフ門」。村の中に入って内側から撮影したもの。

 この村は、いわゆるリビング・ヘリテージ。歴史的な街並みと伝統的な生活様式が今も残り、約800haの村に今も約8,000人が暮らしています。このような伝統的な景観を保存するため、ドゥオンラム村保存管理事務所が設置され、JICAなど日本の協力も得つつ、村の保存事業が行われているそうです。

 ドゥオンラム村で保存地区となっているのは、Mông Phụ(モンフ)、Đông Sàng(ドンサン)、Cam Lâm(カムラム)、Cam Thịnh(カムティン)、Đoài Giáp(ドアイザップ)の5集落。このうち、伝統家屋などはモンフ集落に集中しているそうで、 ドゥオンラム村を訪れた旅人は、まずその入り口である「Cổng Mông Phụ(モンフ門)」の手前で入村料を払い、モンフ門をくぐって、村の中へ入っていくことになります。

イメージ 2 ▲モンフ門の天井の梁には「世有興宜大」の文字。

 モンフ門からモンフ集落の中に入り、ドゥオンラム村散策の始まりです。さっそく、道の両側に並ぶ建物は、かなりの古さを感じさせます。

 左手に見えてきたのは、長い年月の間にすっかり黒ずんでしまった壁の、一見したところ洋風にも見える建物。脇の狭い門から中に入ると、そこは古民家の中庭で、中庭を取り囲むように古い建物が並んでいて、通りに面した建物はギャラリーと土産物を扱うスペースとして使われていますが、それ以外は、普通の民家として使われているようです。

イメージ 4 ▲ギャラリーの看板を掲げる、古びて黒ずんだ壁の一見洋館風の建物。

イメージ 5 ▲中に入ると古民家の中庭。これはギャラリーとして使われている建物。

 中庭には草木が生い茂り、民家の低い屋根を覆わんばかり。軒先には鳥かごが吊されて、なんとものどか。入って右の建物の中には、神棚のようなものがあり、それは神棚なのか、先祖を祀る仏壇のようなものなのか、お花や青いバナナなど様々な供物が供えられています。

 その神棚のようなものがある建物の軒下はかなり広くなっていて、木製のテーブルと長椅子が置かれていて、そこに、おばあちゃんがいました。孫だか曾孫だかに囲まれて、僕たちが声をかけると、「まあまあ、座って、お茶でも飲んでいきなさい」と(たぶん)言い、僕たちにお茶を淹れてくれました。大きなざるのようなものの中では「Chè Lam(チェーラム)」という生姜やピーナッツの入った餅菓子も手作りしていて、それも食べろとすすめてくれます。このおばあちゃんはきっと、ここを訪れる観光客にいつもお茶とチェーラムを振る舞ってくれるのでしょう。聞けばなんと御年90歳!ひょえ~。

イメージ 9 ▲草木いっぱいの庭、軒先に吊された鳥かご、のどか~~。

イメージ 8 ▲神棚なのか、先祖を祀った祭壇なのか。

イメージ 6 ▲広い軒下のオープンエアの長椅子で日がな一日過ごすおばあちゃん。

イメージ 7 ▲おばあちゃんのお孫さんかな、それとも曾孫かも。