毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ドゥオンラムに鐘の音響く(ハノイふたたび;その14)

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            ▲ドゥオンラム村でいちばん背の高い建物は、この教会。

 2015年4月26日、正午の鐘が鳴る。

 モンフ集落の入り組んだ小路を、すぐ近くに見える教会の尖塔を目指して歩きますが、なかなか尖塔は近づいてきません。まるでカフカの「城」のようなダンジョンへ迷い込んでしまったかのよう……

 一時は、牛が一頭木につながれた小川のほとりに出てしまったりもしましたが、行きつ戻りつしながら歩いていると、突然、教会の裏手に出ることができました。

イメージ 3 ▲入り組んだ小路を歩いているうちに、教会の裏手に突然出ました。

 教会のことを、ベトナム語では「Nhà thờ(ニャトー)」というそうです。前回の記事で、何(ハー)一族を祀った「何氏祠」を見た時に、一族を祀った祀堂のことを「Nhà thờ họ」というと書きましたが、どちらも同じ「Nhà thờ」です。先祖や神様を祀っている場所のことを総称して「Nhà thờ」というのでしょう。

 この荘厳な尖塔を持つ教会は、外観は非常に古い建物のように見えますが、建てられたのは1954年で、その歴史はまだ60年ほどです。

イメージ 4 ▲裏手の方から尖塔を遠望。重厚さと美しさを兼ね備えたデザイン。

イメージ 2 ▲正面玄関の前で尖塔を見上げてみる。

 この教会、どうも名前がないようです。いや、きっと何かしらの名前はあるのでしょうが、その場ではわからなかったし、その後調べてみても調べ当たらなかった。ただ「Nhà thờ」、つまり「教会」とだけ呼ばれているようです。

 この日は日曜日だったので、中でミサでもやっているかと思い、建物の中に入るのを遠慮していましたが、実は中では何も行われていなかったので、中に入れてもらうことができました。

 ミサが行われるホールは、ドーム状になった天井を白い柱が支え、いちばん奥の祭壇には、白壁の高いところに十字架にかけられたイエス像が飾られ、祭壇に向かって両側に、ミサに訪れる人たちのためのベンチが並んでいます。

イメージ 1 ▲日曜ミサは午前中に終わってしまったのかしら。

イメージ 6 ▲鐘を鳴らすために高くなったスペースから見下ろした礼拝堂。

 この教会の立派な尖塔は、鐘塔になっていて、尖塔の頂にはフランスからもたらされた重さ2トンのた鐘があるとのこと。正午を含めて毎日何回か鐘が鳴るそうで、時間はちょうどお昼の12時!この教会の神父さんなのか管理人さんなのか、愛想のいいおじさんが、天井からぶら下がった太い綱にぶら下がって、重さ2トンの鐘を鳴らしてくれました。その重厚だけれども澄んだ音色は、ドゥンラムの村の隅々にまで響き渡るようでした。それにしても、何回鳴らしたら終わるの?というぐらい、おじさんは鐘を鳴らしまくってましたけど(笑)。

イメージ 5 ▲重さ2トンの鐘を鳴らすために綱にぶら下がるおじさん。

 鐘の音を聞きながら、ドゥオンラムの村人たちが祈りを捧げ続けてきた教会をあとにし、またモンフ集落の小路を歩きます。しかし、これが正午の鐘かと思うと、おなかが空いてきたな~(^^ゞ。

 モンフ亭のある広場のあたりまで戻って来ると、街路の入口に門が設けられているのが目に付きます。門には案内のプレートも掲げられていますが、ハンさんに意味を聞きそびれてしまった。たぶん、この門の奥は、集落の中の、日本で言えば一つの町内会みたいな単位になっているのだろうと思われます。そういう町内会ごとに入口があって、昔から立派な門が設けられているのでしょう。

イメージ 7 ▲小路の入口に設けられた古い門。町内会の縄張りみたいなものかしら。