毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

十和田観光電鉄三沢駅(萩の花咲く秋のニッポン旅;その59)

イメージ 1 ▲今も変わらぬ姿の十和田観光電鉄三沢駅の駅舎。

 2014年10月2日、とうてつ駅そば。

 前回、ここに来たのは2011年6月29日のこと(そのときの記事はコチラ)。あのときも青い森鉄道に乗って青森から三沢まで来て、十和田観光電鉄の電車で十和田市へ行ったのでした。

 しかし、「とうてつ」と呼ばれて親しまれた十和田観光電鉄線は2012年4月1日に廃止となり、三沢市と十和田市を結ぶ鉄路は消滅してしまいました。今は鉄道代替バスが走るだけです。

イメージ 2 ▲JR三沢駅側から歩いてくるとこの入口にぶつかります。「電車」の文字もそのまま。

イメージ 3 ▲3年前に来たときよりも古び朽ちた感じがするのは気のせいか。

 でも、その駅舎は今も健在です。

 うーん、「健在」というとちょっとアレかな。JR三沢駅を出て左に行くと、十和田観光電鉄三沢駅の駅舎にぶつかります。今も「電車・バスのりば」という看板はそのまま。道路に面した側の壁にペイントされている「十和田観光電鉄・三沢駅・電車・バスのりば」という文字もそのままです。しかし、全体として、この駅舎、3年数ヶ月前に比べると古びた感じは否めません。このまま朽ちるに任せるということなのか。

イメージ 6 ▲右に古びた木のベンチ、左に元気に営業中の出札窓口。

 しかし、朽ちるに任せると言っても、この駅舎は鉄道の廃止とともに全く使われなくなったわけではなく、今もばっちり活躍してはいるのです。

 JR三沢駅の方の入口から中に入ると、コンクリート打ちっ放しの細長い通路が奥へと続いています。その奥まったところの右側には古びた木のベンチがあり、その向かいには出札窓口。今や電車の切符は売ってはいませんが、バス関連の業務は元気に営業中。定期券とか回数券とかですね。窓口の周りには、運賃表や時刻表なんかが所狭しと貼られています。

イメージ 4 ▲もう電車が来ることはない十和田観光電鉄線のホーム。

 その更に奥、突き当たりは、木の引き戸が閉まっていますが、ここは十和田観光電鉄線の改札口だったところ。窓から覗けば、ホームが見えます。しかし、このホームに電車がやってくることはもう二度とありません。よく見ると、線路も既に撤去されています。天井からは、電線なのか、何かを吊っていたひもなのかがあちこちに垂れ下がり、蛍光管が外された電灯など、荒廃が進んでいるのは痛々しいです。

イメージ 5 ▲元気に営業中の「生そばコーナー」。

 しかし、この駅舎で元気に営業しているのはバスのきっぷ売り場だけではありません。1964年(昭和39年)の現駅舎完成以来続いている「生そばコーナー」。これが正式店名なのかどうかわかりませんが、他に看板らしきものがないのだからしかたない。このお店は、昔から電車に乗る人も乗らない人も利用してきたので、駅に電車がやって来なくなった今も関係なく、元気に営業しているのであります。

イメージ 9 ▲電車が走っていた前回来たときと少しも変わらない店内。

 細長い店内はカウンターがメインで、ちょうどお昼時ということもあって、客が入れ替わり立ち替わり、ひっきりなしにやってきます。そばつゆの甘い匂いが、時々注文されるカレーの匂いと混じり合って、食欲をそそります。僕もさっそく迷ったあげくに「山菜そば」を注文。結局いつも同じものを頼んでしまう……(涙)。

 ここのそばつゆは、昆布やかつお節でだしを取り、隠し味にニンジンを使っているのだとか。さっぱりした中に優しい甘みが広がり、ファン多し。鉄道が廃止になったのは残念ですが、この駅舎、そしてこのおそば屋さんは、いつまでも残っていてほしいです。

イメージ 7 ▲結局、前回と同じ「山菜そば」を頼んでしまうワタシ。

イメージ 8 ▲前回3年前は天かすは入っていなかったような。