毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

平成最後の十和田の桜(その2)

イメージ 1 ▲十和田市中央公園特設ステージではカラオケ大会絶賛開催中。花見シーズンだものね。

 2019年4月28・29日、桜、桜、桜。

 14:35に青い森鉄道で三沢駅に到着してみると、駅西口周辺はかなり広い範囲で囲いで覆われ、駅前広場整備工事のまっさいちゅう。JRの駅舎から少し離れてたつ1959年に落成し十和田観光電鉄三沢駅として活躍してきたレトロな駅舎も、十和田観光電鉄線廃止後も営業を続けていた「駅そば」が移転し、ついに取り壊されてしまい更地になっていました。整備工事の最終的な完成は2020年3月を予定しており、「駅そば」とバス案内所は新しくできる複合施設に入り、電鉄の駅舎跡地は交通ターミナルになるそうです。

 そんなわけで、三沢駅前の今のバス停はそんな工事現場の囲いのすぐ脇にあって、いささか殺風景です。そこから14:45発のバスに乗ります。このバスは、十和田観光電鉄線廃止後の電車代替バスです。

イメージ 2 ▲十和田市の桜の名所・官庁街通りの桜並木は早や散り始め。

イメージ 3 ▲「十和田市春まつり」のメイン会場・中央公園を囲む桜の下で市民が絶賛お花見中。

 バスは、かつて敷かれていた電鉄線の線路跡に沿って走り、十和田市の中心部まで所要時間は約30分。十和田市内の仲間たちと合流し、桜並木と松並木が二重になってまっすぐ伸びる官庁街通りから「十和田市春まつり」のメイン会場の一つ・中央公園へと歩いて行きます。十和田市現代美術館などはすごい混みようで、外国人観光客も含め、かなりの人出で、十和田市は活気づいています。官庁街通りの桜は県内でも咲くのが早い方なので、この日はもう既に散り始め。それでもまだ花はかなり残っているので、花見を楽しむにはまったく問題なし。中央公園やその周辺では多くの市民がお花見を楽しんでいます。歴史的に畜産で発展してきた十和田市だけに、花見と言えば焼き肉、バーベキューなのだそうで、桜の木の下で肉を焼きまくる市民の姿があちこちで見られます。中央公園の芝生敷きの広場には紅白の幕をかけた特設ステージがあり、折しもカラオケ大会のまっさいちゅう。軒を連ねる出店の座敷に上がり、ビールに焼き鳥でカラオケを眺めるのもまた花見の一興なり。

イメージ 4 ▲十和田市の南部を流れる奥入瀬川にかかる御幸橋の下流沿いにも桜並木が。

 この日は、出店の座敷で日が暮れるまで飲み、それから河岸を変えて飲み歩き食べ歩いて、十和田市の花見を満喫し、そのまま十和田市内へ投宿。

 翌29日もからりと晴れ上がり、今年のGW、天気に恵まれています。

 この日は、仲間たちが、十和田市の桜は官庁街通りだけじゃないんだよと、まずは市の中心部から県道145号線を5km弱ほど南下すると、十和田市相坂という地名の場所を抜けて奥入瀬川を御幸橋で南へ渡ります。奥入瀬川は昔は相坂川と呼ばれていたそうな。

 御幸橋を渡ってすぐ左折して川べりの道に入って少し行くと、そこにはすばらしい桜並木がありました。川向こうにも桜の木が並んでいるのが見えます。ここの桜は、官庁街通りのような散り始めではなく、まさに今が満開。すばらしい。美しい。しかし、この場所からは桜に負けず劣らず美しいものが見えるんです。御幸橋越しに見えるのは、たっぷりの残雪に覆われた真っ白な八甲田山。これは美しい!

イメージ 5 ▲御幸橋越しに見える残雪の八甲田の美しいこと。

 このあと、三沢空港まで送ってもらったのですが、三沢へ向かって県道10号線(三沢街道)を東へ走ると、途中、青森県立三本木農業高校の前を通ります。1898年創立で、2018年に創立120周年を迎えた歴史と由緒ある高校です。県道10号線から三農高正門へ至るまっすぐの道の両側の桜並木が、スゴい。あまりにもミゴトなので、ちょっと寄ってもらいました。

 この一本道の長さは250mほどでしょうか。その道の両側に隙間なく桜が並び、今まさに満開を迎えて、道に覆い被さるように枝を広げ、花の重みで枝垂れている枝もありそうです。ミゴトの一言に尽きますね、これは。

イメージ 7 ▲県道10号線から三農高正門までの250m弱の桜並木は今が満開。

イメージ 6 ▲くっきりとした青空に淡くはかないピンク色の桜の花、まさにニッポンの春であります。

イメージ 8 ▲道に覆い被さるように枝が広がっています。

イメージ 9 ▲空がほとんど見えないほどびっしりと満開の枝が枝垂れているその内側に入って見上げるのもまたをかし。

 三農高には「植物科学科」、「動物科学科」、「農業機械科」、「環境土木科」、「農業経済科」、「生活科学科」があり(「生活科学科」は2018年度から廃止。)、農場や牧場、畜産施設、加工施設等々、さらには各競技のグラウンドなどもあるので、敷地はめちゃくちゃ広いです。その面積は東京ドーム11個分ほどもあるそうです。ちょうど野球場では野球の試合中のようで応援の声なんかが聞こえてきていたので、ちょっとそちらの方へおじゃましてみます。

 いや確かに広い、三農高。敷地の中を走っていると、牧草場でしょうか、だだっ広い草原に面した道ばたに、ぽつんと一本だけで立つ桜の木を発見。草原の濃い緑、桜の淡いピンク、そして晴れ渡った青空のコントラストはそれはそれは美しいです。

 その一本桜の向こうに、ここからも残雪の八甲田山が見えています。これはまた美しい。ずーーっと飽かず見入っていたい美しさです。広大な敷地を吹き抜けていく風がこれまた爽やかですがすがしく、昨夏帰国して以来、久しぶりに日本で花見の季節を迎えたわけですが、ふるさと青森でこんなにすばらしいニッポンの花見ができて、感動しました。日本の桜って、いいですね、ホントに。

イメージ 10 ▲三農高の牧草場の道ばたにぽつんと一本だけで立つ満開の桜の木。

イメージ 11 ▲その桜の木の向こう、草原越しに、残雪純白の八甲田山。

イメージ 12 ▲桜の小枝を少し残して、もうちょっとズーム。あー今回日本で花見ができて本当によかった。