毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

A380で行く魅惑の香港・マカオ3泊4日(その15;旧ポルトガル領)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161342.jpg ▲西欧風デザインにポルトガル語が記された地名標識。石畳にもマッチしておしゃれ。

 2012年3月19日、夫婦百年幸せに。

 ついにマカオに上陸。このブログにマカオが登場するのは初めてです。なんたって今世紀になって初めてマカオに行ったんですから!(笑)

 フェリーターミナルから路線バスに乗ってまず訪れたのは、「マカオ」という地名の起源になったと言われる「媽閣廟」。ここはやはり行っておかねば。

 狭くてこちゃこちゃした道をバスは走り、ようやく西海岸沿いの火船頭街、河邊新街に出てこれを南下するとそのほぼ行き止まりが「媽閣廟」のある「西望洋山(ペンニャの丘)」と「媽閣山」の麓。石畳の広場には、西洋風の可愛らしい地名標識が立っています。マカオは1999年の返還までポルトガル領だったので、今も公用語ポルトガル語と中国語。だから標識などもポルトガル語と中国語で記されています。ここは「LARGO DO PADODE DA BARRA」、中国語では「媽閣廟前地」だそうな。「媽閣廟前広場」といったほどの意味でしょう。目の前には洋風の建物もあります。これは近くにある「マカオ海事博物館」の管理事務所だったかな?

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161350.jpg 海事博物館事務所かな。

 そこから広場の奥のほうへと少し歩くと、ありました、「媽閣廟」です。媽閣山を背に、さっきの洋風建築とは裏腹な中華風の山門が突然現れます。山門の扁額には金色の文字で大きく「媽祖閣」の三文字。そこから外壁の内側へ入ると、「萬派朝宗」という文字の扁額があるピンク色の壁の建物、これは本堂でしょうか。とにかく大勢の観光客や参拝客がひっきりなしに出入りしていて、狭い境内は大混雑です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161354.jpg 「媽閣廟」入口の門。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161346.jpg 背後には媽閣山。

 「媽閣廟」はマカオ最古の中国寺院で、創建は1488年とされています。その由縁は福建や台湾で信奉されている「媽祖」伝説。福建の漁民の娘「媽祖」は心優しく、人助けを厭わなかったため、死後仙女となり、難破しそうな漁船の上に現れてその船を救ったので、漁民の安全を守る神として祀られるようになりました。明代に一艘の商船がマカオ近海で難破しそうになったとき、仙女がマカオ半島の上に現れて安全に船を導いたことから、難破を免れた船員が仙女の立っていた場所に寺院を建てた、というのがマカオの「媽閣廟」の始まりだそうです。ここに初めてポルトガル人がやってきて「ここは何というところか」と尋ねたところ、地元民が「媽閣(マーコッ)」と答えたので、ここの地名が「マカオ(Macau)」になったと言われています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161432.jpg これが本堂かな。

 境内は大殿、石殿、弘仁殿、観音殿などから成り、媽閣山の上のほうにも参道が続いていますが、時間がないから上へのぼるのはやめよう(笑)。

 境内に入ってすぐの少し広くなったところには、これは何の木気になる木が植わっています。「百年夫妻樹」、またの名を「姻縁樹」、「許願樹」と名付けられているようで、日本で言えば絵馬に当たるものでしょうか、中国風の真っ赤なお札がこの木を囲むように無数に掛けられています。どうもこの木に願を掛けると一生幸せな夫婦でいられるらしく、カップルたちがひっきりなしにこの木の前で記念写真を撮っていました。お札の中には日本語で願い事が書かれているものも多数あり、日本からの観光客も大勢訪れていることが窺われました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161411.jpg 縁起のいい百年夫妻樹。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161406.jpg 夫婦の幸せと願い事が叶う。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161401.jpg 願い事の札が無数に。

 本堂と思われる建物に入口には「后徳汪洋」の大きな文字。建物の奥には本尊が祀られているようですが、よく見えません。なぜなら、天井から線香が無数に吊り下げられていて視界のジャマになるからです。中国の寺院でよく見かけるのがこの巨大な線香。線香というより「螺旋香」ですね。線香をらせん状にぐるぐると巻いたもので、巨大な蚊取り線香のような感じですね。その中心部を天井に引っかけると、全体の重みで蚊取り線香がびよーんと下にのびて、円錐状にぶら下がるのです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161416.jpg 奥に本尊が祀られてる。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161421.jpg 天井から無数のお線香。

 建物の外にも、この円錐状の線香を吊す場所が設けられていて、日の光の中でくすぶるように無数の紫煙がたちこめています。僕はこの円錐状の線香がなぜか気に入っていて、これを見るとつい帽子のようにかぶって歩きたくなります(笑)。この線香はまっすぐな線香にしたらものすごく長いと思うのですが、いったい何時間ぐらい持つのでしょうか。ポルトガル領になってのちも変わることなく大切にされ続け、21世紀になった今も大勢の参拝客を迎えて、「媽閣廟」は今日もかぐわしい線香の紫煙の中にけぶっています。

 https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818161426.jpg ▲屋外にあるお線香の焚き場。たちこめる紫煙に思わずむせび返りそうになります。