毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

2011年お正月はニッポンで(その52;対決弁当)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150709.jpg新青森駅で購入、初めて見かけた「対決弁当」。

 2011年1月6日、初めて食べた十和田バラ焼き

 「はやて16号」は新青森駅07:32発で、朝も食べずに6時半に家を出てきたので、腹ごしらえする必要があります。さいわい駅弁売場は開いていたので、ちょっと物色。いつもなら八戸の「小唄寿司」といくところですが、この日は「小唄寿司」を通り越してふと目にとまった駅弁があったので、それを購入。名付けて「青森県十和田名物牛バラ焼きVS岩手県花巻産白金豚焼しゃぶ 対決弁当第二弾」です(長い。)。包装箱には「祝 東北新幹線新青森駅開業」のシールが貼られていますから、開業を機に新しく登場した駅弁なのでしょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150713.jpg 新青森駅新幹線開業記念駅弁か。

 「はやて16号」の9号車、ほとんど誰も乗っていないグリーン車の席にゆったりと座って「対決弁当」をひもときます。
 いやー、それにしてもグリーン車っていいなー。年末に青森へ戻ってくるときも「はやて」のグリーン車に乗りましたが、帰省ラッシュのさなかでグリーン車も満席だったので、快適な中にもゆったり感を感じられませんでしたが、この日はガラガラで、通路に敷かれた厚いカーペットさえいとおしいくらいです(なんのこっちゃ)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150704.jpg たまに乗れると嬉しいなあ。

 さて「対決弁当」、「第二弾」というからには「第一弾」もあったんでしょうね。全然知らなかったけれど、「第一弾」は何と何の組み合わせだったんだろう?

 で、この弁当で対決しているのは、「青森県十和田名物牛バラ焼き」と「岩手県花巻産白金豚焼しゃぶ」。バラ焼きのほうはよく知っているから先にご紹介しましょう。

 十和田バラ焼きは、2009年と2010年の「北海道・東北B-1グランプリ」で2年連続優勝を果たし、2010年の全国大会「B-1グランプリin厚木」でも8位入賞の実績を誇る、今や八戸せんべい汁や黒石つゆ焼きそば、青森生姜味噌おでんなどと並ぶ青森の代表的なB級グルメ

 「対決弁当」の包装箱には「特製タレにつけたやわらかい牛バラ肉と甘味を引き出すタマネギを鉄板の上で豪快に焼きました。」とあり、イラストの牛さんが「甘辛いタレがからまってモーお箸が止まらない美味しさだぞ!」と述べています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150717.jpg 左牛バラ、右白金豚。

 バラ焼きのほうの更なる特徴は、箱にも書いてあるのですが「スタミナ源たれ使用」。

 「スタミナ源たれ」、青森では誰でも知っている焼肉用のタレです。略して「げんたれ」と呼ぶ人も。十和田市の上北農産加工農業協同組合が昭和40年にデビューさせたタレで、青森県産にんにくとりんごを生のまま贅沢にたっぷりと使っているので味に深みがあるのが特徴。発売以来45年、青森を代表する超ロングセラーなんです。

 駅弁なので冷めているのはやむを得ないのですが、冷めてもウマイのが駅弁のよいところ。しかし、前々回ご紹介した、青森駅前八甲田丸手前に新しくできた「A-FACTORY」に入っている「グリル番紅花(さふらん)」では、自分で作ってアツアツが食べられる「八甲田牛十和田バラ焼き定食」が人気だそうなので、僕も次回はアツアツを食べに行ってみよーっと。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150721.jpg 冷めててもウマイ!

 さて、一方の花巻産白金豚。初めて聞きましたが、包装箱には「岩手の大自然に育てられた白金豚を、ポン酢ベースのタレでさっぱりと焼しゃぶ風に仕上げました。」とあり、イラストの豚ちゃんは「柔らかーい食感としっかりとした肉の旨みが自慢だよ!」と述べています。

 この「白金豚」、「しろがねぶた」と読むのかと思っていたら、実は「はっきんとん」が正しいらしい。花巻市の「高源精麦」さんの銘柄豚で、飼育配合から出荷まで一貫体制で生産している豚肉とのこと。非遺伝子組換穀物の飼料を食べさせ、飲み水には、奥羽山脈の地下水に釜石鉱山の磁鉄鉱と石灰で活性化したミネラルウォーターを使用しているというこだわり。そしてこのネーミング、プラチナポークこと「白金豚」は、宮沢賢治の作品「フランドン農学校の豚」の、豚が大地の恵みを受けて上等な食肉を生み出す様を、自然界における「触媒だ。白金と同じことなのだ」と感心する冒頭から取ったものだそうです。

 僕はポン酢系はあまり得意ではないのですが、これまた肉質が柔らかく、冷めていても十分においしかったです。 岩手県内の直営店ではしゃぶしゃぶのほか、串焼きや角煮なども楽しめるそうです。うん、食べてみたい。こういうのを岩手まで出かけていってどーんと食べてあげることで被災地が元気を取り戻してくれるだろうか。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150727.jpg こちら白金豚。

 ところで「はやて16号」、新青森駅を定刻07:32に発車しました。三内丸山遺跡のところで最初のトンネルに入りますが、そこまで車窓の景色は猛吹雪。視界がきかないほどに細かい雪が横殴りに降っています。今から思えば、この吹雪がその後丸2ヶ月近く続く大雪の前触れであったのです。このあとしばらくして青森市内で170cmを超える積雪になるなんて、とても想像はできませんでしたが、それでもこの朝の吹雪はけっこう激しいものがありました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150732.jpg 新青森発車直後、猛吹雪。

 しかし、八甲田トンネルを抜け、岩手一戸トンネルを抜け、盛岡が近づくと、くっきりとした青空が広がり、さっきまでの吹雪は夢か幻か。盛岡到着の手前で右側に広がる岩手山は霞のような薄い雲に覆われていてその全容を楽しむことはできませんでしたが、近くの山々は稜線がくっきりとして気持ちがよいほど。盛岡市内もでしばらく雪は降っていたようで、街じゅうが新雪に包まれています。思い返せば今年の冬は、ふだんは雪のあまり降らない太平洋側でもけっこう大雪になったのでした。車窓の雪景色を眺めながらの列車の旅、僕はかなり好きですね。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150737.jpg 右手岩手山、霞の中。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818150742.jpg ▲盛岡を発車してしばらくの市内の雪景色。山々がくっきりとして気持ちいい。