Let's go to USA!!(その13;丸長旅館)
▲長湯温泉「丸長旅館」の玄関。
2009年5月23日、丸長旅館。
「御前湯」で炭酸ガスを存分に吸収し、体の芯から活性化されて芹川沿いを歩いて戻ってきたのは長湯温泉の僕の定宿「丸長旅館」。創業約100年を数えるこの小さな旅館は室数わずか6室。玄関の引き戸をがらがらと開けて中へ入るとすぐ左には縁台があり、小さな座布団がかわいらしいです。
玄関入ってすぐの縁台。
玄関を入って右側の隅には鉄瓶のかかった正方形の囲炉裏を二つの縁台がL字に囲んでいます。もう5月ですから囲炉裏に火は入っていませんが、冬ならここで火を熾し、縁台に腰掛けてお茶をいただくことができるのかもしれません。囲炉裏の反対側の隅にも「和」な装飾が施されています。
囲炉裏もあります。
反対側の隅も和の装飾。
玄関の引き戸から右へぐるりと回ると上がり框。そして上がってすぐは畳敷きになっています。風情のある欄間は、木造3階建てだった旧館時代の欄間を改装後もそのまま使用しているのだとか。小さな床の間風にしつらえた装飾も趣があります。
欄間のある上がり口。
この玄関を通っただけで、特に僕のように外国から帰ってきた者にとっては、もう十分に「和」を堪能することができます。そしてこのような「和」に触れると、気持ちがすうっと和むんですね。それが「和」の持つ本質なのか、日本人だからその「和」を感じることができるのか、それはよくわかりませんが、とにかくここへ帰ってくるとほっとします。
この宿では玄関ではスリッパは出てきません。上がり口だけではなく、全館の廊下が畳敷きなので、スリッパを履く必要がないのです。畳を踏みしめて2階の部屋に案内されます。廊下を畳敷きにしているのは、「和」への追求ももちろんあるでしょうが、それともう一つ、廊下を歩く足音がほとんどしないということです。スリッパのぺったんぺったんという音はもちろんしないし、人の行き来があってもそれが静かさを害することがないようにとの配慮です。素足で畳の感触を楽しむこともできます。うれしいではありませんか。
ぼんやりとした灯りの階段。
▲客室が並ぶ廊下も畳敷きで、柔らかい灯りがそれを照らし出します。