毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

揺れるランプの灯り(何かと大荒れ冬休み;その49)

イメージ 2 ▲ランプの灯が点る青荷温泉1階ロビー。奥に帳場、廊下を進めば客室へ。

 2015年2月16日、ゆらゆらと。

 温泉に浸かって温まったあとは、石油ストーブがちんちんと焚かれた暖かい部屋でまったりぐったり、夜行列車明けの体を休めます。日の短い真冬だけに、午後4時過ぎにはランプが部屋に吊され、部屋の中がほんのりとしたオレンジ色に染まります。

 夕食は1階の大広間で午後6時から一斉に始まります。ここの夕食のおもしろい点は二つ。まず第一に、ランプの明かりしかないので、暗すぎて、テーブルの上に並んでいるお料理が何が何だかはっきりとわからないということ。宿泊客が多い時期だと、宿の主人が津軽弁でおもしろおかしく一品一品解説してくれるのですが、この日は解説なし。第二に、まるで体育会系の合宿のような仕組みで、ごはんも味噌汁(けの汁)も、大鍋から好きなだけ自分でよそって食べてよいので、遅く行くと、ごはんも汁もなくなっている可能性があること。特に朝食時はこの可能性が高い。そして、暗いのでお料理の写真はナシ!(笑)

イメージ 3 ▲玄関を入ってすぐの吹き抜けになった天井から吊された5つのランプ。

 夕食を食べ終わってしまうと、まだ晩7時にもなっていませんが、何もすることがありません(笑)。電気が来てないから部屋にはTVも冷蔵庫もないし、ケータイやスマホは圏外だし、ランプの明かりだけでは暗すぎて本も新聞も読めません。まさにここは「温泉」と「退屈」しかない宿。ゼイタクであります。

 真冬だけに、食事を終える頃には日はとっぷりと暮れ、館内の明かりはランプの灯だけとなりました。玄関を入ってすぐは天井が吹き抜けになっていて、そこから吊された大きなランプが5つ点り、玄関ホールをぼんやりと照らしています。入ってすぐ左は売店で、石油ストーブを囲んだベンチで、温泉で淹れたコーヒーを飲みながらのんびり過ごすことができます。

イメージ 1 ▲売店内には、石油ストーブを囲んでベンチが。そこにもランプの灯がゆらゆら。

 食堂になっている大広間の隣は「囲炉裏の間」。誰でも利用できる休憩室、談話室のようなスペースで、真ん中に囲炉裏、その上にはランプが4つ点り、ストーブの火でぬくぬくとしています。

 この日は、我々以外には、カナダ人の二人組を含めて、二人組が3組と一人旅の女性が一人だけで、僕が青荷温泉に泊まった中では、最も空いていました。「囲炉裏の間」を訪れる人も他になく、館内は早い時間からしーんと静まりかえり、廊下の板を踏む音も憚られるような深閑さ。部屋に戻れば、窓の外に出しておいたお酒がきりりと冷えていることでしょう。ランプの宿の夜が更けていきます。

イメージ 5 ▲「囲炉裏の間」の入口には「風呂あがり 星をみながら 酒をのむ」。

イメージ 4 ▲誰でも利用できる「囲炉裏の間」。壁には津軽三味線が飾ってあったりします。