香港の乗り物と言えば?(スターフェリー篇)
▲ビクトリアハーバーですれ違うスターフェリー「曉星號(Morning Star)」。
ちょっと予想に反して香港ネタが続いております(^_^ゞ。
数日前に香港ならではの乗り物として「トラム」をご紹介しましたが、港湾都市ホンコンと切っても切れない乗り物に「船」があります。香港の中心部と離島やマカオ、広東省を結ぶフェリーはもちろんですが、やはりもっとも有名なのは、ビクトリアハーバーを行き交う「スターフェリー」でしょう。今日はその「スターフェリー」を紹介します。
「スターフェリー」の歴史は古く、1898年に英国系「スター・フェリー社」がビクトリアハーバーを渡る公共交通手段として運航を始めたのが最初で、今年がなんと111年目。現在は九龍サイドの尖沙咀(チムシャツイ)-香港サイドの中環(セントラル)、尖沙咀-灣仔(ワンチャイ)、灣仔-紅磡(ホンハム)、中環-紅磡の4路線がありますが、なんと言ってもメインルートは尖沙咀-中環航路。双方のフェリーピア(碼頭)にはひっきりなしに船が出入りしています。
尖沙咀碼頭に着いた船。
向こうは香港島セントラル。
就航している船はもちろん何度も代替わりしていますが、開業時に就航した「晨星號」と「夜星號」の命名を受け継いで、今でも船名には「星(Star)」の文字が含まれています。現在就航している船の多くは50年台から60年台にかけて建造されたものです。僕が今回乗った船は「北星號(Nothern Star)」と「夜星號(Night Star)」でした。それぞれ1963年と64年の建造です。
「夜星號(Night Star)」の銘板。
船内は二層に分かれていて、アッパーデッキの定員は300人ちょっと、ローワーデッキの定員はそれより少ない感じでしょうか。背もたれを前後させることで座る向きを変えられるベンチ状の木製のシートがずらりと並んでいます。アッパーデッキの両端部は窓ガラスがあって夏は冷房も効きますが、それ以外の場所は海風が吹き抜け、夏は蒸し蒸し、冬はがくぶる、雨も容赦なく吹き込みます。風雨がひどい時には透明なビニールカーテンのようなものを下ろしてなんとかしのぎます。ローワーデッキが開放されるのは尖沙咀-中環航路だけで、その他の航路はアッパーデッキのみ。運賃は尖沙咀-中環航路のアッパーがHK$2.2、ローワーがHK$1.7です。
「北星號」のアッパーデッキ。
香港島サイドの中環碼頭(Central Pier)は以前はもっと奥まったところにありましたが、今回行ってみてぴっくりしたのは、中環エリアの埋め立てがかなり広い範囲で進み、新しい埠頭が埋め立て部分の先端のほうに移設されていたことで、尖沙咀からの所要時間がそのぶん少々短くなりましたが、中環で降りてから地下鉄やトラムへはかなり歩かなければならなくなり、ちょっと不便になった印象を受けました。埠頭自体はずいぶん立派なものができていて、のりばの上には展望台のようなスペースもあり、新しい観光スポットにもなっているようでした。いえ、観光スポットと言っても、スターフェリー自体は観光向けのものではなく、れっきとした通勤路線。朝夕のスターフェリーは大混雑です。開業以来100年を越すフェリーが今も市民の足として大活躍している姿はたのもしい限りです。
移設された「中環碼頭」。
おしゃれな埠頭になった感じ。
今回は中環から紅磡へのフェリーにも乗ってみました。紅磡は、中国大陸へ直通する列車も走る鉄道駅もある九龍半島先端部の東側に広がるエリアで、そこをもうちょっと越えて行けばかつての香港啓徳空港にも近い場所です。中環から紅磡まではHK$5.3と突然運賃が跳ね上がりますが、そのかわり乗船時間もけっこう長くなり、しかもビクトリアハーバーを東西に 長く走るので、香港島サイドと九龍サイドの両方の景色を楽しみながらのプチ・クルーズができます。街に灯りが点り始めた頃にこの航路に乗って薄暮の中の夜景を楽しむのが僕のオススメです。
ワンチャイをバックに。