毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

タリン「聖マリア大聖堂」の塔にのぼる。(Long Summer Vacation;その64)

f:id:mainichigaharu:20200207002526j:plain▲白堊の「聖マリア大聖堂」にも立派な尖塔が。
 

 2018年7月27日、階段きつい。

 

 「トームペア(Toompea)」と呼ばれるタリン旧市街の山の手地区の丘を、「処女の塔」から城壁沿いに上って行けば、左に近づいてくるのが「アレクサンドル・ネフスキー大聖堂」。その向かいには国会議事堂もあり、その間の道「Toom-Kooli通り」を更に上っていくと、トームペアの最高地点に到達します。そこにあるのが、「聖マリア大聖堂」です。エストニア語では「Tallinna Neitsi Maarja Piiskoplik Toomkirik」ですが、地元では単に「大聖堂(Toomkirik)」と呼ばれているそうです。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002522j:plain▲「Toom-Kooli通り」を歩いて行くと「聖マリア大聖堂」の尖塔が見えてきます。

 高さ24mのトームペアの丘は、エストニアの古代神話では、鷲の背に乗ってフィンランド湾を渡り、エストニアの王となった伝説の巨人カレフがその地で娶った美しい娘リンダが、カレフ王の死後、埋葬した場所に巨大な石を集めて作った陵墓としてできたものだそうな。リンダは、陵墓がまもなく完成というところで最後の石を落としてしまい、疲れ果てたリンダは石の上に腰を下ろし涙に暮れたのだとか。

 カレフが眠る神聖な場所・トームペアの丘の上には、1233年には既に教会があったことがわかっているそうです。ここにはエストニア最古の教会があったということです。

 そんな場所にあるのがこの「聖マリア大聖堂」。現存する建物は、14世紀に建てられたものがベースとなっていますが、その後何世紀にもわたって修復や増改築が繰り返され、17世紀後半の大火災で消失した後には100年かけて復元されもしたので、複数の建築様式が混在しています。バロック様式の尖塔が増築されたのは1770年代のことです。

 

 f:id:mainichigaharu:20200207002553j:plain▲こちらが入口のある正面側。

f:id:mainichigaharu:20200207002530j:plain▲「聖マリア大聖堂」の尖塔に登る階段。

 13世紀以来、ここはドイツ系貴族や歴史上の著名な人物の墓所であったので、建物の中に入ってすぐの、天井の高い礼拝堂の壁面には、17世紀から20世紀にかけての複雑な葬儀用の紋章や、13世紀から18世紀にかけての埋め込み石を数多く見ることができます。

 中に入ると、入場料を払わなければならないのですが、礼拝堂の中だけなら2ユーロ、塔にも上るなら5ユーロです。なんと、この高さ69mあるバロック様式の尖塔に上ることができるんですね。

 では、と尖塔に上ることにしてはみたものの、これがなかなかキツイ。石積みの塔の中に延々と続く石の(もちろんセメントで補強されてはいるが)階段をひたすら上っていかなければならないのです。手すりとして太いロープがわたされているけれど、狭くて急な上にぐるぐる回るので、めまいがしてきそう。

f:id:mainichigaharu:20200207002537j:plain▲「聖マリア大聖堂」の塔の上からの眺め。すばらしい~~。フェリーも見えてます。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002534j:plain▲少し左にカメラを振ってほぼ真北方向。いい天気やわ~~。

 太ももに乳酸がたまってくるのを歯を食いしばって耐えつつ石段を上りきり、最後は木製のはしご段を数段上がって、ついに尖塔のてっぺん附近の展望フロアに到達!

 四方にあいた窓からは、お~~~~、これはスバラシイ!北方向、北東方向は、眼下すぐから旧市街の古い建物が建ち並び、その向こうにはフィンランド湾の海も見えています。古い建物の赤褐色の屋根、フィンランド湾の青、雲一つない快晴の青空、コントラストがくっきりすぎてまぶしいほどです。北東方向には「聖オラフ教会」の尖塔の向こうに大きなフェリーの姿も見えますが、あれは一度は乗ってみたいヘルシンキとタリンを結ぶフェリーでしょうか。そして南に面した窓からは、「アレクサンドル・ネフスキー聖堂」のかわいらしいタマネギ屋根がぽこんぽこんと間近に見え、その左奥には、さっき立ち寄った「処女の塔」と「台所を覗く塔」が重なって見えています。そのずっと向こうには新市街の広がりも見えていますね。
 

f:id:mainichigaharu:20200207002541j:plain▲西方向によく見えているのは「聖ニコラス教会(ニグリステ)」の尖塔。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002549j:plain▲南側は隣にある「アレクサンドル・ネフスキー聖堂」のタマネギ屋根がかわいい。