毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

タリン旧市街そぞろ歩き(Long Summer Vacation;その63)

f:id:mainichigaharu:20200207002445j:plain▲今は宗教芸術の博物館になっている「聖ニコラス教会」。尖塔が美しい。

 2018年7月27日、ビール飲みたい。

 

 ヴィル門からタリン旧市街の城壁の内側へ入り、ヴィル通りの石畳の道をのんびりと歩いていきますと、北ヨーロッパに唯一残るゴシック様式の市庁舎の尖塔が正面に近づいてきたあたりで少し広くなった場所に出ます。ここは「Vana Turg(旧市場)」と呼ばれる場所。「旧市場」がいつのどのような市場のことを指すのかわかりませんが、この場所の角にある白壁の大きな建物が、たぶんタリンで最も有名なレストラン「Olde Hansa(オルデハンザ)」。「Old German」という意味で、ハンザ同盟都市時代の裕福な商人の家をイメージしているとか。

 その前を過ぎて市庁舎の方へ抜ければ、「ラエコヤ広場」に出ます。タリン旧市街の下町の中心にあるこの広場では、かつてスカンジナビアの商人たちが市を立てていた場所らしく、今も夏には週末マーケット、冬にはクリスマーケットが開かれ、観光客を楽しませてくれます。この日はマーケットはなかったけれど、広場を囲むレストランの屋外席のテントがあちこちに張られ、鮮やかな色合いの花などが飾られて、昼からさっそくテントに入ってビールでも一杯、という気分にさせてくれました。 

 f:id:mainichigaharu:20200207002431j:plain▲レストラン「オルデハンザ」と、右奥には市庁舎の尖塔。
 

f:id:mainichigaharu:20200207002436j:plain▲ラエコヤ広場を囲む建物たちと、その前に張られたレストラン屋外席のテント。

 市庁舎前を通り過ぎてラエコヤ広場を左に折れると、「ハリュ(Harju)通り」と「ニグリステ(Niguliste)通り」の角にぶつかり、そこからニグリステ通りを少し上がったところにあるのが、「タリン観光案内所(Tallinn Travellers Tours)」。スタッフの案内や、各国語版の地図やパンフレット類の配布、ツアーガイドの予約、タリンカードの購入、絵はがきなどのグッズの購入などができ、初めてのタリンならまず最初にここに立ち寄って情報収集するのがいいかもね。

 「タリン観光案内所」前の道(ニグリステ通り)の街路樹は背が高く堂々としていて、青々とした葉が茂って、気持ちよいことこの上ない。ここは「聖ニコラス教会(Niguliste kirik)」の東側で、ハリュ通り公園の緑地が続いていて、散歩で通るにはうってつけです。

 

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▲ニグリステ通り。右の建物の1階が観光案内所。

 ハリュ通りをそのまま下って「自由広場」に出たら右折して坂道を上っていくと、旧市街の南西部の城壁の外側に沿って歩くことになります。ここでひときわ目を惹くのが、背の高い円柱状の大きな塔。このブログでもすでにおなじみの「台所を覗く塔(Kiek in de Kok)現在は中はタリン歴史博物館の分館になっているそうですが、中に入ったことはありません。

 このあたりは小高い丘の上になっていて、「管理者の庭園(Komandandi aed)」と呼ばれ、多くの木々が生い茂ってちょっとした林のようになっています。ふと気づくと、その林の上の空をプロペラ機が横切っていくのが見えました。無地の真っ白い塗装の飛行機だったけど。 

 

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▲ムーミンの家に似てて気に入ってる「台所を覗く塔」。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002458j:plain▲真っ青な空を真っ白いプロペラ機が飛んでいきました。

 今回は、「台所を覗く塔」そのものではなく、今まで近づいたことがなかったその向こうに続く城壁に注目したいと思います。

 「台所を覗く塔」は円柱形の塔ですが、その隣には、四角柱の塔が立っています。高さは同じくらいでしょうか。14世紀に建造されたこの四角い塔は、かつて娼婦を収容した牢獄として使用されていた建物で、皮肉をこめて「処女の塔(ネイツィトルン;Neitsitorn)」と呼ばれています。ここでは怪奇現象が起こるとか幽霊が出るとかという町の噂が絶えないとか。

 この塔の足下には、外側にもう一枚石壁があり、塔と石壁の間にも石を積んで短いトンネルのようになっています。もう崩れてしまった部分もあり、トンネル状の箇所はかつてはもう少し長かったのではないかと推測されますが、娼婦収容所だったから、出入りを厳重にしていたってことでしょうかね。

 f:id:mainichigaharu:20200207002454j:plain▲四角い塔は「処女の塔(Neitsitorn)」。

f:id:mainichigaharu:20200207002503j:plain▲その足下は、石積みのトンネルのようになっています。 

 

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▲その短いトンネルは、石壁で囲まれた庭のような場所に続いています。

 「処女の塔」の足下の石積みトンネルをくぐって先へ進むと、そこは、城壁と外側の石壁に囲まれた狭い空間。城壁の足下は草地の斜面になっていて、あとは狭い道がのびているだけ。その先は、今は外側の石壁が崩れていてそのまま抜けられるようになっていますが、かつて閉じられていたときはいったいここは何の空間だったのか、気になります。

 そのまま城壁に沿って進みますが、この石積みの城壁の描くカーブがたまらないですね。「処女の塔」の隣にある塔は円柱状ですが、城壁の途中までしかなく、塔の足下は地面には届いていません。これはなんのための塔なんだろう?
 

f:id:mainichigaharu:20200207002512j:plain▲処女の塔の内側の城壁と外壁にはさまれた狭い空間はなんのためのもの?

f:id:mainichigaharu:20200207002517j:plain▲城壁の途中から生えたような塔もあるんですね。