毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「デンマーク王の庭園」のあたり。(Long Summer Vacation;その65)

f:id:mainichigaharu:20200207002602j:plain▲「台所を覗く塔」の上の階から、城壁の向こう側が「デンマーク王の庭園」。

 2018年7月27日、「ライ通り」へ。

 「聖マリア大聖堂」の塔の上から地上に下りて、「アレクサンドル・ネフスキー大聖堂」の前を再び通って城壁の方へ戻ってきますと、城壁に門のような口が開いていて内側へ入れる箇所がありました。ここから中へ入ってみますと、そこは「デンマーク王の庭園(Taani kuninga aed)」。


 時は13世紀の1219年、北方十字軍に参加したデンマーク王・ヴァルデマー2世は、当時「エストラント」と呼ばれていたエストニアに上陸し、今は「デンマーク王の庭園」になっているこの場所にデンマーク軍の前線基地を置いて、土着の首長たちと戦火を交えます(1219年6月の「リュンダニの戦い」。)。しかし、首長たちの砦がなかなか落とせない。万策尽きたヴァルデマー2世は、ついに神頼み。すると、「赤地に白十字の旗を掲げよ」とのお告げが!ヴァルデマー2世がそのとおりにして突撃すると、奇跡的に勝利を収め、戦いの流れが変わったのだとか(一説では、空が開き、白い十字架が描かれた赤い旗が天から舞い降り、それが聖なる兆候となって勝利へと導かれた、とも。)。これが「赤地に白のスカンディナヴィア十字を描いた旗」、すなわち「ダンネブロ (Dannebrog) 」と呼ばれるデンマーク国旗の発祥なのだそうです。

  

f:id:mainichigaharu:20200207002606j:plain▲城壁の内側、「デンマーク王の庭園」の一部を見渡してみる。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002614j:plain▲「デンマーク王の庭園」を見下ろす城壁の上から。三角屋根は「処女の塔」。今はカフェに。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002609j:plain▲城壁の上を城壁に沿って歩くことができます。古い石積みが中世を感じさせますね。

 

 「デンマーク王の庭園」のところの城壁には、上にのぼることができる石段があり、城壁の上の通路をたどって、「処女の塔」の中に設けられているカフェの方へも行くことができるようになっています。

 我々はここからは城壁には上がらずに、「台所を覗く塔(キーク・イン・デ・キョク)」まで戻って、こちらに入ってみたいと思います。「台所を覗く塔」は、「キーク・イン・デ・キョク要塞博物館(The Kiek in de Kök Fortifications museum)」になっていて、2階から4階までの常設展示室では、城壁の形や塔の配置がよくわかる昔のタリンのジオラマや、地図や武器など戦史にまつわる資料が展示されています。ジオラマを見ると、こんなにたくさんの塔があるのかとちょっとびっくりしますが、全部の塔をめぐってみたくもなります。そしてもちろん、この「台所を覗く塔」からの旧市街の眺めもすばらしいです。
 

f:id:mainichigaharu:20200207002557j:plain▲「台所を覗く塔」の上の階からの眺め。聖ニコラス教会、ずっと奥に海やフェリーも。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002619j:plain▲常設展示フロアに展示されているタリンの塔の配置ジオラマ。

f:id:mainichigaharu:20200207002623j:plain▲手前が「トームペア城」ですね、きっと。

 要塞博物館の見学を終えて、トームペアの丘の上から下町へとのんびり下り、ヌンネ(Nunne)通り」と「ライ(Lai)通り」の角まで出ると、そこにあるのは「NUKU人形芸術劇場・博物館(NUKU muuseum/NUKU teater)」です。1952年に人形劇専門の専門の劇場「エストニア国立人形劇場」が設立され、その後これを「NUKU基金」が引き継いで、この場所で人形劇場や人形博物館が運営されています。我々が言ったときは劇場の方では何もやっていなかったので、博物館の方だけ見学しました。最初の展示室では、様々な物質が様々な形で展示され、活き活きと描き出すことによってどんな物でも人形たり得ることを学び、次の展示室では、人形劇に使われる人形の種類についての説明や、世界各国の人形劇に使われる人形の展示などがあり、子どもでなくても十分楽しめました。文楽人形など日本からやってきた人形も展示されていましたよ。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002626j:plain▲ヌンネ通りから見た、奥へ続くライ通り。左の淡い黄色の建物が「NUKU人形芸術劇場兼博物館」。