毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

スカイオーベルジュ BEDD(Long Summer Vacation;その59)

f:id:mainichigaharu:20191206002200j:plain▲成田空港RWY34Lから離陸してすぐ、眼下には利根川の流れが。

 2018年7月26日、たっぷり機内食。

 ヘルシンキ行きJL413便は、所定の出発時刻である10:40に早くもプッシュバックになって、順調にRWY34Lエンドまでやってきましたが、午前中の出発ラッシュに当たったか、離陸の順番待ちの列がかなり長く、なかなか離陸ができません。

 11:10にようやくRWY34Lから離陸。離陸してすぐに利根川を跨ぎ、霞ヶ浦のあたりで旋回しながら急速に高度を上げていきます。欧州航路に乗るので、針路は北西、新潟方面へと向かいます。

  関東北部からは一時的に雲上飛行になりましたが、離陸後25分ほどして日本海の海岸線が見える頃には雲は晴れ、新潟市の東部から新発田市、胎内市、村上市にかけてのゆるやかに弧を描く海岸線がよく見えます。村上市の沖に浮かぶ粟島もぼんやりと見えますね。

f:id:mainichigaharu:20191206002205j:plain▲新潟市東部、新発田市との境あたり見ながら、日本海上空へ。

f:id:mainichigaharu:20191206002211j:plain▲新潟県最北部の沖に浮かぶ粟島がぼんやりと見えてます。

 離陸後1時間ほどして、ランチタイムの機内食の時間となりました。

 日本から欧州へ行くのは初めてと上で書きましたが、JALの長距離便に乗るのがそもそも初めて。ANAであれば、過去2回、ワシントンD.C.へ出張したときに長距離便に乗ったことがありますが、JALでの僕の最長記録は、2016年8月25日に乗った東京成田発ジャカルタ行きのJL725便で、このときの飛行時間は6時間43分でした。今回の飛行時間は間違いなくそれより長くなるはずですが、そんな長距離便の機内食はどんなんかな~?

 ビジネスクラスの機内食は、JALが2013年から展開している「空の上のレストラン 『スカイオーベルジュ BEDD(ベッド)』」。「Dine〈食べる)」「Delicious(美味しい)」「Dream(夢見ごこち)」の「D」を添えて、スターシェフと料理プロデューサーで結成するドリームチームが、「最高の食材と自由な発想で夢のスペシャリテをお届けする」というコンセプトだそうな。

  客室乗務員さんが1席1席をまわって、オーダーをとっていきます。日本発の便ではやはり和食をチョイスしたいところですが、この日のように年配の乗客が多いと和食は早々と売り切れになってしまうことがあるで、オーダーを聞きに来た客室乗務員さんにおそるおそる「和食はまだありますでしょうか」と尋ねたところ、まだだいじょうぶとのこと。よかった!では食事は和食にして、最初のドリンクはシャンパンでお願いします!
 

f:id:mainichigaharu:20191206002216j:plain▲最初のドリンクシャンパンは、先付けの「魚そうめん」と「鮪のコンフィ」とともに。

 この日の和食は「BEDD」チームの、東京芝大門「くろぎ」黒木純シェフ監修による献立とのこと。シャンパンが運ばれてくると、ほどなくして先付けも配膳。先付けは2品で、「魚そうめん」と「鮪のコンフィ」。添えられた味玉の黄身もおいしそうな「鮪のコンフィ」の方は洋食担当の東京麻布十番「山田チカラ」山田チカラシェフ監修。和食をチョイスしても洋食をチョイスしても、先付けはその両方を楽しめるのはうれしいですね。

 先付けを食べ終えるのを見計らうように、次はお弁当箱のような器に入った前菜(「八寸」っていうんですかね?)がお盆に載って運ばれてきました。おなじみ赤い鶴の箸置きがアクセントになっています。

 「薫風」と名付けられたこの前菜、フタをとってみると、あらまあ!なんと彩り豊かでお酒に合いそうなんでしょう!ここは日本酒を……とちょっと思いましたが、いやいや、今しばらくシャンパンでいこう。

f:id:mainichigaharu:20191206002222j:plain▲先付けを食べ終えると、お弁当箱のような前菜が運ばれてきましたよ。

 器の中は5つに区切られ、それぞれに凝ったお料理が詰められています。

 この日の前菜のメニューは、まず「夏野菜と若布のポン酢ジュレ掛け セロリの土佐酢漬け」。夏野菜とワカメにはポン酢でキリッとさっぱり、セロリは三杯酢に鰹節で取った出汁を加えた「土佐酢」に漬けてまろやかにさっぱり、どちらも夏らしくていいですね。

 そして「そば真砂和え」。日本を発着する国際線のフライトのエコノミークラスの機内食でそばかそうめんがつくのはよくあることですが、ビジネスクラスでそばというのは珍しいのでは。「真砂和え」とは魚卵を使った和え物のことで、ほぐしたタラコを酒や醤油で味を調え、そばの上にたっぷり載せてあります。これもお酒に合いそうだ。

 その隣は「鮑柔らか煮、南瓜、茄子揚げ出し、うどと人参のきんぴら いんげん」と、やさしい和の煮物。そして「うざく 辛子酢味噌」がまたさっぱりとしててウマイ。

 いちばん大きな仕切り枠の中にあるのは、「お造り(鮪)、田舎風出汁巻き卵、京風出汁巻き卵、丸十蜜煮、あんず蜜煮」。機内食なのにマグロの刺身が食べられるとはたまらない。脂がとろける中トロです。出汁巻き玉子を2種類の味付けで作り、丸十(サツマイモのこと)とあんずの蜜煮をはさみ、出汁巻き玉子のサンドイッチのような仕上がりになっているのも趣深し。

f:id:mainichigaharu:20191206002227j:plain▲フタをとると、なんとも彩り鮮やかなお料理の数々が登場。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001519j:plain▲テーブル周りも広く、映画でも見ながらゆったり食事ができてうれしい。


f:id:mainichigaharu:20191206001524j:plain▲離陸後1時間20分程が経った頃の日本海上空で、おもしろい雲が見えてきました。

f:id:mainichigaharu:20191206001528j:plain▲まるで池に小石を投げ入れたときにできる水紋のように等間隔に筋雲が並んでる!

 こんなにのんびり食べていると、北京行きとか香港行きとかだと早くも着陸態勢に入って高度が下がってきそうですが、そこは長距離フライト、時間を気にせずに食事を楽しめます。

 前菜「薫風」が下げられ、メインである「台の物」が配膳されました。

 「台の物」は、「カツの玉〆」と「銀鱈味噌漬け」。どちらもごはんによく合いそう。肉料理も魚料理も味わえるメニュー構成なのもうれしい。「カツの玉〆」の方には小袋に入った七味がつき、これにちゃんとお碗に盛られた炊きたてのごはんと味噌汁、香の物が並びます。ごはんは新潟奥阿賀産コシヒカリの「雪蔵今摺り米(いまずりまい)」。新潟県東蒲原郡阿賀町所在の「農業生産法人 越後ファーム株式会社」が取り扱っているお米のようで、収穫後のお米をモミのままの状態で雪蔵倉庫に温度ムラのない雪冷熱を利用して保管し、注文が入ってから初めてモミ摺り、農産物検査、精米を行うので、お米の鮮度劣化を最小限に抑え、お米を熟成させることができるのだそうです。そんなお米を炊きたてで出されたら、おいしくないわけないですね!マジでおかわりしたかったです(たぶんできたと思うんだけど……)。

f:id:mainichigaharu:20191206001533j:plain▲メインの「台の物」は「カツの玉〆」と「銀鱈味噌漬け」。

f:id:mainichigaharu:20191206001539j:plain▲新潟奥阿賀産コシヒカリの「雪蔵今摺り米」の炊きたてごはん、おいしすぎ。

 ああ、おいしかった。ごちそうさまです。

 食後はホットコーヒーとデザート。デザートは「抹茶ロールケーキ」です。

 実はJALは、2011年9月から、機内でおいしいコーヒーを提供しようとする「JAL CAFE LINES」というサービスを行っています。日本が世界に誇るコーヒーハンター川島良彰氏が世界中から選び抜いた豆を採用し、焙煎・抽出のスペシャリストの石脇智広氏がこれにコラボするというもの。2018年7月に選ばれた「今月のコーヒー」は、グアテマラにあるコーヒーの名産地アンティグアの「サン・ミゲル農園」の中の標高1,500mの肥沃な畑で育ったアラビカ種ブルボン亜種の豆だそうです。

 ふと機窓を見ると、JL413便はすでに日本海を渡りきってもうロシア上空、夏のシベリアの平原が広がっているではないですか。

f:id:mainichigaharu:20191206001545j:plain▲食後はグアテマラ・アンティグア「サン・ミゲル農園」のコーヒーと抹茶ロールケーキ。

f:id:mainichigaharu:20191206001550j:plain▲知らぬ間に日本海はわたりきり、ロシア上空を飛行中。