毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

伝統の「八戸小唄寿司」(Long Summer Vacation;その57)

f:id:mainichigaharu:20191206002055j:plain▲これを食べずして駅弁を食べたと言うなかれ。八戸の名物駅弁「八戸小唄寿司」。

 

 2018年7月25日、八戸に停まらない。

 青森ねぶた祭で跳ねたいのはヤマヤマだけれど、瀋陽に戻るのは8月2日、青森ねぶた祭開幕初日なので、跳ねるどころか観客になることもできません。悔しいなあ。

 さて、18:24発の「はやぶさ38号」に乗ることにしよう。

 「はやぶさ38号」は、上り列車では1日に1本しかない最速達列車。始発の新函館北斗を出ると、新青森、盛岡、仙台、大宮にしか停まらない。八戸にも上野にも停まらずに、新青森から東京まで3時間切りの所要2時間59分です。朝イチの「はやぶさ4号」も上野を通過しますが、八戸には停まります。「はやぶさ38号」の2本前の「はやぶさ34号」は八戸は通過しますが上野には停まり、おまけに盛岡で「こまち34号」との併結もあります。なので、この「はやぶさ38号」が上りでは唯一無二の最速達列車なんですね。(ちなみに、下りの最速達列車は「はやぶさ5号」と「はやぶさ11号」の2本。)

 上野通過はともかく、八戸に停まらないというのは、青森市民にとっては(僕だけか?)なんかすごく特別な感じがします。県庁所在地民の優越感とでも言いますか(笑)。

 

f:id:mainichigaharu:20191206002035j:plain▲太平洋側の東北3県の県庁所在地にしか停まらない「はやぶさ38号」。

f:id:mainichigaharu:20191206002040j:plain▲18時を過ぎてさすがに夕方っぽい色合いになってきた日が差し込む新幹線ホーム。

 「はやぶさ38号」は新函館北斗から18:22に新青森駅の11番線に到着します。新幹線が新函館北斗まで伸びて、けっこう席が埋まった状態で列車が新青森に到着することがあり、混雑する車内に途中駅から乗り込むというのは、「始発駅・新青森」に慣れた者にとってはまだなんか違和感があるんですが、ホームに滑り込んできた「はやぶさ38号」は意外にもガラ空き!最速達列車だけに利用率は高いはずなのに、僕の乗った車両は隣席も周りも空席ばかりです。なぜかしら?

 自分の席に落ち着いて、「はやぶさ38号」は、ようやく暮れ色が混じってきた西日の中を、18:24の定刻に新青森を発車しました。次は、八戸には停まりませんから、178.4km先の盛岡までノンストップで走ります。
 

f:id:mainichigaharu:20191206002045j:plain▲僕の最も好きな駅弁の一つ、「八戸小唄寿司」。
 

f:id:mainichigaharu:20191206002050j:plain▲濃い味の酢で締めたサバとサケが隙間なく載る姿は発売以来60年近くが経ても不変。

 では、ごはんにしよう。

 いや、もちろん、さっき新青森駅の「ブナの森」で「ほたて十万石入りそば」は食べましたよ。でも……でも、たまにしか帰ってこない青森だけに、他に食べたいものもあるし、こういう機会に食べておかないと……というわけで、車内では八戸駅の名物駅弁「八戸小唄寿司」を食べるのです。

 「八戸小唄寿司」はこのブログにもたびたび登場していますが、僕が大好きな駅弁の一つ。2008年に発売50周年を迎えて記念駅弁も発売されましたが、ということは今や60年の歴史を有する名物駅弁です。しめ鯖としめ紅鮭の押し寿司は、60年を経てもまったく変わらぬスタイル。酢飯の酢味は濃く、酢が強すぎるとのご意見もあるようですが、いやいや、酢はこれぐらい濃くないと。

 ああ、おいしかった。新青森駅~盛岡間はトンネルばかりなので、車窓の景色を気にせず食べることに集中できてよろしい。

 盛岡が近づくと、車窓から見える空は夕暮れ色が増し、南部富士・岩手山のシルエットも見えました。「はやぶさ34号」は、新青森からノンストップで走って、19:12に盛岡に到着しました。 

 

f:id:mainichigaharu:20191206002101j:plain▲盛岡到着直前には、夕暮れ色になってきた空に南部富士・岩手山のシルエットが。