毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ほたて十万石(Long Summer Vacation;その56)

f:id:mainichigaharu:20191206001958j:plain▲新青森駅の「そば処 ブナの森」のおすすめ「ほたて十万石入りそば」。

 2018年7月25日、ねぶた祭り間近。

 青森で3日ほど過ごし、この日の夕方、再び東京へ戻ります。

 やってきたのは新青森駅。青森ねぶた祭も1週間後に迫り、県外からの観光客もそろそろ増えてきている時期でしょうに、新青森駅前はいつもどおり閑散……というか、人影皆無。新幹線乗り入れ開始から2020年で10年を迎えるというのに、この有様。

 地味ながら、青森都市計画事業の一環として売り出された新青森駅周辺の商業用地(一般保留地)は、2019年12月2日現在、全9エリア18区画のうち売れ残っているのは1区画だけで、ようやく完売が近づいた状況となりました。2017年5月には医療法人雄心会「青森新都市病院」が開院、2020年3月には「東横INN新青森駅前」が、2021年3月には愛知県安城市に拠点を置く「ABホテル」が、それぞれ開業する予定ともされ、駅前の「何もない感」はだいぶ薄らいだかもしれません。

 しかし、だからと言って駅前が人で賑わうようになるかというとそれは大いに疑問。新青森駅で新幹線を利用してみるとわかりますが、近隣県民はほとんど自家用車で家族などが送り迎えしてくれるので西口駐車場を出入りするし、県外客は青森駅方面または弘前方面と新在乗継を利用する人がかなり多い印象です。これに加えて団体ツアー客は東口駐車場で観光バスを乗り降りするのが見られる程度です。つまり、新青森駅は、新幹線開業10年を迎えようとしている現在にあっても、「新幹線を利用するためにちょこっとだけ立ち寄る乗換駅」という性格は変わっておらず、駅前に出てぶらぶらするような場所ではないのです。ホテルが開業したら、深夜早朝発着の新幹線に合わせて多少は駅前に人が出てくるようになるかもしれませんが、どうでしょうね……

f:id:mainichigaharu:20191206001944j:plain▲午後6時前にして新青森駅の前には人影なし。

 これから乗るのは、18:24発の「はやぶさ38号」。既に夕食の時間帯だし、乗車までまだ時間があるので、先に何か食べてから乗ることにしよう。

 駅舎1階の「あおもり旬味館」にも飲食店はあるけれど、最短時間で何かを食べるとすれば、新幹線改札内コンコースにある「そば処 ブナの森」に限りますな。新幹線改札内コンコースの、在来線との乗継改札へ向かって行く方に駅弁の売店と並んで営業しているのが「そば処 ブナの森」です。

f:id:mainichigaharu:20191206002008j:plain▲駅弁の売店と並んで営業している「そば処 ブナの森」。左方向が乗継改札口。

 ここは僕も時々利用することがありますが、ここの名物、というか、青森市の名物といいますか、青森市のご当地グルメ「しょうが味噌おでん」に必須のアイテム「大角天」を丸ごと1枚載せた「青森角天のせそば・うどん」を食べることが多いですね。このブログにも何回か記事をアップしてるし。

 それゆえに、同じ宣伝ポスターに並んで写っていながら「角天そば」にお株を奪われて今まで(僕に)食べられたことのないもう一つのおすすめメニュー「ほたて十万石入りそば・うどん」を今回食べてみよう。


f:id:mainichigaharu:20191206001951j:plain▲店頭の大型ポスターでも絶賛おすすめ中の「ほたて十万石入りそば・うどん」。

 たぶん僕が知らないだけで、「ほたて十万石」というのも「大角天」と同じぐらい青森市民の中ではソウルフード的に定着しているものなんじゃないでしょうか。

 「ほたて十万石」も「大角天」も、製造しているのは明治36年創業の「カネセ高橋かまぼこ店」。板蒲鉾で過去3度、全国蒲鉾品評会の農林水産大臣賞を受賞している青森市のカマボコの老舗です。その5代目が編み出したのがこの「ほたて十万石」で、青森県産ホタテの貝柱のほぐし身とマヨネーズを和え、それをカマボコで包んでホタテ貝殻の形の焼き形で焼き上げた、見た目も楽しく味もおいしい焼きカマボコなんだとか。これが丸ごと1個、そば・うどんの上に載っかり、更にワカメと刻みネギ、天かすをのせたこの一品、「ほたて十万石」の中からとろけ出てくる「ほたマヨ」とそばつゆが絡み合う味わいも新鮮で、おいしかったです!

f:id:mainichigaharu:20191206002003j:plain▲トッピングをかきわけて、色黒い蕎麦を出してみた。この蕎麦がおいしいのよ。

 さて、ごはんも食べたし、あとは新幹線に乗るだけだ。

 青森ねぶた祭まであと1週間、新青森駅新幹線コンコースにも、ねぶたがたくさん飾られています。JR東日本も毎年大型ねぶたを出しているので、こういうのを作るのもお手のものなんでしょうね。勇壮な立体感あふれる青森ねぶたのミニ版だけでなく、弘前の扇ねぷたもあるし、金魚ねぶた、だるまりんごねぶたなんかもずらりと並び、待合室の両側にあうんの金剛力士像のように立っているのは、黒石市の津軽こけしを意識したこけしねぶたでしょうか。これを見ているだけで、ねぶたで跳ねたくなってきます。「跳ねる」ってわかりますか?青森ねぶた祭はねぶたの山車が練り歩くのに合わせて「踊る」んじゃなくて、ハネトが「跳ねる」んですよ!

f:id:mainichigaharu:20191206002028j:plain▲コンコースに飾られた本格的なねぶたたち。毎年出陣のJR東日本にはお手のもの。 

 f:id:mainichigaharu:20191206002021j:plain▲弘前の扇ねぷたも、黒石の津軽こけしを意識したこけしねぶたもありますよ。

f:id:mainichigaharu:20191206002014j:plain▲コンコースの天井からは金魚ねぶたもずらりとぶら下がっています。華やかですね。