毎日ヶ原新聞

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ぶらり奥入瀬渓流(Long Summer Vacation;その34)

f:id:mainichigaharu:20190930220753j:plain▲石ヶ戸休憩所から5、6分歩いたあたりは「石ヶ戸の瀬」。

 

 2018年7月15日、「雲井の滝」まで。

 

 「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」にチェックインし、ラウンジ「河神」で少々まったりしたあとは、奥入瀬渓流の散策にでかけましょう。

 

 このホテルでは、1時間に1本、毎時ちょうど発で雲井の滝まで、途中三乱の流れ、石ヶ戸、阿修羅の流れに停車する「渓流シャトルバス」を往復で運行していて、好きなところで降りて渓流沿いを歩き、好きなところからまたシャトルバスに乗ってホテルへ戻ってくることができるんです。我々は、16時発のシャトルバスに乗り、約11分で到着する石ヶ戸で降りて、散策を始めます。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220747j:plain▲石ヶ戸から歩き始めてまもなくのあたりの奥入瀬渓流。穏やかな流れです。

 

 石ヶ戸は、駐車場や食堂、売店、トイレを備えた休憩所とビジターセンターがあり、奥入瀬渓流散策の下流の拠点で、だいたいここから歩き始めて十和田湖畔の子ノ口を目指すというのが一般的です。石ヶ戸から子ノ口までは約9kmといったところです。我々も、休憩所横の遊歩道入り口から、散策を始めます。

 

 それではここからしばらくは、7月中旬、ようやく夏らしくなってきた頃の夕刻間近い奥入瀬渓流の表情をお楽しみください~。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220757j:plain▲苔に覆われた岩が徐々に増えてきて流れの変化が多彩になってきます。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220802j:plain▲「石ヶ戸の瀬」の流れ、馬門橋で渓流を渡るまで続きます。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220806j:plain▲苔むす岩と苔洗われる岩、動と静が一つのフレームに。

 

 「石ヶ戸」バス停の次の「馬門岩」バス停を過ぎると「馬門橋」を渡って、奥入瀬渓流は左側へと移ります。このあたりからが「阿修羅の流れ」。「阿修羅の流れ」は比較的高低差があるためか、奥入瀬渓流の中でも屈指の荒ぶる流れが見られる代表的なビュースポットの一つです。

 

 「阿修羅の流れ」のダイナミックな流れには誰もが目を奪われ、散策の足が思わず止まります。ゆっくりと「阿修羅の流れ」を眺めながら進むと、苔むした小岩がいくつも流れから顔を出している「九十九島」というあたり。このあたりの流れは速いので水しぶきの白さの中にびっしりと苔に覆われた岩がそこここに顔を出し、その流れに苔が洗われている姿はまこと美しい。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220811j:plain▲「馬門橋」を渡って奥入瀬渓流の左岸に移ります。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220816j:plain▲「阿修羅の流れ」の上流側でしょうか。流れがだいぶ速いです。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220822j:plain▲「九十九島」と呼ばれる、苔むした小岩が多く点在する流れ。

 

 「九十九島」を通り過ぎると、川幅が広くなり、急に穏やかな流れになります。1958年(昭和33年)の台風で崩れた岩が渓流の流れをせき止めて池のようになっているので「昭和池」と呼ばれています。その少し先はまた流れが速いところで、「飛金(とびがね)の流れ」という場所。流れから顔を出す岩が日に当たると金色に輝くからだとも、激しい流れが飛び跳ねてように見えるからだとも言われています。 

 

  「飛金の流れ」の先で、渓流越しに対岸の絶壁に見えるのが「千筋(ちすじ)の滝」。「裸渡橋(はだかわたりばし)」のちょい下流側で見られます。奥入瀬渓流では最も下流にある名の付いた滝で、ここから上流に向かうにつれ、両側に滝が多く見られるようになってきます。

 

 「千筋の滝」は水量が少なく、時期によっては途絶えることもあるらしい。落差は10mで、ただでさえ少ない水が、幾筋もの細い筋に分かれてしとしととたおやかに落ちています。繊細で女性的な美しさが魅力の滝ですが、川向こうにあることもあり、うっかりすると見落としてしまいそう。 

 

f:id:mainichigaharu:20190930220826j:plain▲昭和33年の台風で崩れた岩が流れをせき止めて流れが広く緩やかになった「昭和池」。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220832j:plain▲渓流を覆うように茂る木々の葉のまあ美しいこと。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220842j:plain▲「飛金(とびがね)の流れ」でしょうか。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220838j:plain▲このあたりの流れは深さもけっこうありそうに見えます。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220846j:plain▲幾筋もの細い筋が流れ落ちる女性的な繊細さを持った「千筋の滝」。

 

 石ヶ戸休憩所から歩き始めて約1時間で、今回の散策のゴール「雲井の滝」に到着しました。本流から奥へ引っ込んだところにあり、本流からも見えますが、滝のすぐそばまで遊歩道があるので、近づいてみるとなかなかの迫力です。

 

 「雲井の滝」は、本流の枝沢である「養老沢」に懸かる滝で、落差は25m。途中に段になった箇所が2カ所あり、少しずつ向きを変えながら落ちてくる豊かな水量の滝(「段瀑」というらしい。)は、ごうごうという響きと水しぶきもあいまって、奥入瀬のあふれる自然をたっぷりと感じさせてくれます。

 

 「雲井の滝」の枝沢の入り口にJRバスの停留所があり、我らが「奥入瀬渓流ホテル」のシャトルバスもここに停まるのですが、17時30分発の便が最終便ということもあり、「雲井の滝」で散策を終えた人たちが大勢バスを待っています。マイクロバス1台じゃ乗り切れないんじゃないかなとちょっと心配です。我々もこれに乗って宿へ帰ります。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220852j:plain▲石ヶ戸から散策を始めてちょうど1時間ぐらいで「雲井の滝」。

 

f:id:mainichigaharu:20190930220856j:plain▲「雲井の滝」バス停でホテル行きの最終バスを待つ遊覧客たち。