毎日ヶ原新聞

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銚子大滝(紅葉まだき初秋のニッポン旅;その30)

イメージ 7 ▲奥入瀬渓流散策のクライマックスはこの「銚子大滝」。

 2015年9月30日、花も苔も愛でながら。

 紅葉シーズンがまだ本格化していないので、奥入瀬渓流を訪れる旅行客もまだそれほど多くはなく、自分のペースで思い思いに散策を楽しむことができています。

 雲井の滝の先の白銀の流れを過ぎると、奥入瀬川は川幅が広く流れが比較的穏やかな箇所が多くなります。緩急に富んだ変化のめまぐるしい流れをすぐそばで体感するのも楽しいですが、広々とした穏やかな流れの河畔の小道を、足下に咲くかわいらしい花々を愛でながらのんびり歩いて行くというのもまた、奥入瀬渓流の楽しみであります。

イメージ 1 ▲川幅が広がり、流れが浅く穏やかな区間がしばらく続きます。

イメージ 2 ▲見逃してしまいそうな可憐な花が突然足下に咲いていたりもします。

イメージ 4 ▲清流に洗われながらも苔のむし具合がみごとな流れの中の石ころたち。

 「玉簾の滝」手前の公衆トイレを過ぎると(ここまで雲井の滝から約2km)、再び奥入瀬川の両側にいくつか滝が見られるようになります。まず左手に「玉簾の滝」、右手奥に「白絹の滝」、少し進んで右手に「白糸の滝」、続いて「不老の滝」。それから左手に「双白髪の滝」、「姉妹の滝」と続いて、またしばらく進むと、右手に「九段の滝」が見えてきます。遊歩道からぱっと見てすぐ見えるもの、木立の向こうに目をこらさなければ見つけられないもの、木々に遮られて見えないもの、それぞれがそれぞれの風情で、奥入瀬渓流の散策に趣を添えてくれます。

イメージ 3 ▲木立の向こうになんとか見えるのは「白糸の滝」。高さ30m。

イメージ 5 ▲「九段の滝」、高さ20m。九つの段段があるからか、たくさんの段段があるからか。

 そして、「玉簾の滝」から2.7km、奥入瀬渓流散策のゴール(またはスタート)と言える「銚子大滝」についに到達。ここから奥入瀬側はほぼ平坦になり、約1.6km先が十和田湖畔「子ノ口」です。

 「銚子大滝」は、奥入瀬渓流の中で最大の瀑布であり、奥入瀬川の本流にかかる唯一の滝。高さは7mとそれほどではないですが、幅が20mもあるので、大量の水が一気に流れ落ちる轟々たる水音、上がる水煙、水しぶきはかなりの迫力です。本流にこのような大きな滝があり、魚類の遡行が妨げられていたため、1903年に和井内貞行が十和田湖にヒメマスを放流するまで、十和田湖には魚類が生息していなかったとされています。「銚子大滝」脇まで観光バスで乗り付けて、銚子大滝とその周辺をちょこっとだけ歩く団体ツアーも見かけるほど、「銚子大滝」は奥入瀬渓流散策の主役的存在ですが、ここだけでなく、やはり奥入瀬渓流をじっくりと歩いて眺めて、全体を楽しんでみてほしいですね。

イメージ 6 ▲「雲井の滝」から約4.7km、「銚子大滝」に到達。

イメージ 8 ▲「銚子大滝」から上流は、穏やかな流れが子ノ口まで続く。