奥入瀬渓流、晴れ。(紅葉まだき初秋のニッポン旅;その29)
▲前日の雨が上がってさわやかな青空が広がった蔦温泉。
2015年9月30日、紅葉まだき。
前日の時折雨が降りしぶく悪天候から打って変わって、この日は朝から雲一つない青空が広がりました。蔦温泉旅館とその背景のブナ林、そして真っ青な空と、まるで絵はがきのようです。
朝風呂を浴び、朝食会場へ行くと、朝食も大きくリニューアル。蔦温泉旅館のHPには「レストランでのバンケットスタイル」と書いてあってなんだかよくわからないが、要するにビュフェ形式で、食べたいものを食べたいだけ食べられるようになったのでした。
▲十和田湖行き「みずうみ2号」が到着し、10分間の休憩停車中。
このお天気ならば、奥入瀬渓流の散策は気持ちのよいものになりそうです。
蔦温泉旅館前のJRバスのバス停に、2台のバスが並びました。1台はE5系「はやぶさ」そっくり塗装の新型車、もう1台は国鉄バス時代から変わらぬ青と白のツートンカラー。国鉄バス塗装の方が青森駅からやってきた十和田湖行き「みずうみ2号」で、僕はこちらの方に乗ります。2台のバスが並んで同時に休憩停車をするので、乗り間違えないように気をつけないといけません。
▲今回の奥入瀬渓流散策は、雲井の滝からスタート。
「みずうみ2号」は蔦温泉を09:35に発車し、バスに揺られること30分で「雲井の滝」バス停に到着。奥入瀬渓流の散策は、「雲井の滝」より少し手前の「石ヶ戸」からスタートするのが一般的ですが、今回は時間の関係でもう少し先の「雲井の滝」まで行って歩き始めることにしたのです。
「雲井の滝」は、バスの走る国道102号線や国道沿いに流れる奥入瀬川から少し山道を入った引っ込んだところにある高さ約20mの滝。落ち始めから三段になっていて、水量も多いので、水流の変化や滝壺へ落ち込む迫力を間近で感じることができます。
「雲井の滝」は、バスの走る国道102号線や国道沿いに流れる奥入瀬川から少し山道を入った引っ込んだところにある高さ約20mの滝。落ち始めから三段になっていて、水量も多いので、水流の変化や滝壺へ落ち込む迫力を間近で感じることができます。
▲三段になって流れ落ちる雲井の滝。
▲水量が豊かなので滝壺まで近づくとけっこうな迫力。
国道102号線へ戻り、いよいよ奥入瀬渓流散策の遊歩道を歩き始めます。天気は上々。奥入瀬川に覆い被さる木々に日が当たって、紅葉前の葉が色調の異なる様々な緑色を見せ、枝葉をすり抜けた木漏れ日は渓流の水面に落ちて不断に変化する陰陽を作りあげています。これはなんとも、美しい。
流れの速度が速いところでは、流れが泡を呑んで純白の水流となって、苔むした石や岩を砕くように流れていくのも風流なり。その速い流れが川幅が突如広がって急に速度を落とし、木々の姿を映してゆるゆると流れるようになるという緩急の変化もまたをかし。
▲天気は上々、降り注ぐ日の光が様々な色合いや陰陽をつくりだしてくれます。
▲時には純白の急流となって苔むした石の隙間をすり抜けていきます。
▲かと思うと、川幅が広がって急に速度を落とし、静かな水面を見せる、この緩急の妙。
雲井の滝からは、白布の滝、天狗岩、岩管の滝、白銀の流れなどと名付けられた自然の変化を楽しみながら歩き進みます。前日の雨の影響で、遊歩道にはところどころぬかるんでいる箇所もありますが、おおむね歩きやすい状態です。まだ紅葉シーズンには早いせいか、散策に訪れる人々も多くはなく、自分のペースでのんびりと歩いていけます。
流れがひときわ速く、水量もたっぷりのところがありました。上流側と下流側で段差のようなものがあるらしく、真っ白な泡とともに速い流れが下流側に潜り込み、ちょっとした滝壺のようになっています。ここは川底までけっこう深そうですが、その澄んだ水のあまりの透明さに、思わず引き込まれそうになってしまいます。
▲流れがひときわ速く、水量もたっぷりの区間は迫力も満点。
▲水はどこまでも透明で、思わず深みに引き込まれそうになります。