名残の「彗星」、そして火祭り⑥(臼杵へ)
▲上臼杵駅。今も残る古い木造駅舎。
2005年8月27日、佐伯→別府→臼杵→黄飯。
佐伯からは10:07発の5006M特急「にちりん6号」で別府へ移動です。前日は「ドリームにちりん」で夜を明かしたので、初めて行って以来すっかり気に入ってしまった別府竹瓦温泉で汗を流そうという魂胆です。昼前だったせいか他に客もなく、のんびり熱い湯に浸かったのですが、なにしろ竹瓦温泉の湯は熱いので、特に夏は風呂からあがったあともなかなか熱が冷めず、いつまでも汗が出て困ります。
「さいき」って読むんだったのね……
別府竹瓦温泉。濃厚。熱湯。
竹瓦温泉、すっかりお気に入り。
せっかく汗は流したものの、風呂上がりの汗を再びだらだら流しながら別府駅へ戻り、12:58発の5011M特急「にちりん11号」に乗ります。今日はなんだか行ったり来たりだなあと思いつつ、車内の冷房で涼をとりますが、それもつかの間、わずか40分で臼杵に到着です。
もう午後2時になろうとしているのにずっと昼食を食べずにがまんしてきた理由はただ一つ。臼杵でどうしても食べたいものがあったからです。
それは、「黄飯」。
黄飯は臼杵の代表的な郷土料理。臼杵では祝いごとやお正月などに赤飯の代わりにクチナシの実で炊いた黄飯を食べるのだそうです。大根、人参、ゴボウ、ネギなどの野菜に豆腐、エソなどの魚肉を煮込んだカヤクと呼ばれる汁をかけて食べるのが正しいのだとか。
▲ついについについに、黄飯セット。「あ、サフランライス!」という突っ込みはナシよ。
この黄飯を、臼杵を代表するフンドーキン醤油の発祥の店「小手川商店」でとうとう食べることができました!小手川商店の黄飯セット、1,500円。どれも素朴でおいしいものばかりです。カヤク、醤油に漬け置いた白身魚の切り身をおからと和えたきらすまめし、エソのすり身と三ツ葉の入った濃いめの味噌汁、味噌漬けの玉子の黄身、刺身こんにゃく、濃厚な胡麻豆腐、さすが味噌醤油店だけあって手作りの上品な奈良漬け等々、黄飯だけではなく数多くの臼杵料理を味わうことができます。あまりにおいしいので、黄飯をおかわりしちゃいましたーーヽ(^。^)丿。
黄飯なら小手川商店で。
火祭りが始まるまでにはまだ時間があるので、腹ごなしに臼杵の町をぶらぶら歩くことにします。前回も歩いた二王座歴史の道の石畳をお寺さんの門をいくつも眺めながら歩き、川にぶつかって川向こうにフンドーキンの工場を見て、それから見えてきたのは龍源寺とその境内にある太子塔(三重塔)。中に祀られている聖徳太子の像は臼杵が生んだ江戸時代末の名工・高橋団内の作と言われ、10年の歳月をかけて1858年に完成したものだそうです。
二王座歴史の道。
龍源寺太子塔。
そうして行き着いたのが、臼杵駅の一つ大分寄りの上臼杵駅。大正6年7月18日の開業当時からそのままの黒い屋根瓦の木造駅舎が、古き良き町並みの臼杵になんともしっくりとなじみます。映画「なごり雪」では臼杵駅という設定でこの駅舎が登場します。「28年前」も「今」も少しも変わらない臼杵という町を表現するのにこの駅舎が選ばれたことはまさにうってつけだったと思います。
▲上臼杵駅。黒屋根瓦の木造駅舎は今も健在(のはず)。