毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

名残の「彗星」、そして火祭り⑤(重岡駅と「彗星」と)

イメージ 1 ▲長駆京都からやってきた寝台特急「彗星」南宮崎行き。

 2005年8月27日、朝、重岡駅、暑い。

 07:45頃、「きりしま&ひゅうが」仕様と思われるハデハデカラーの5002M特急「にちりん2号」が重岡駅を通過して行ってしまうと、重岡駅には一時間ほどの静寂が訪れます。停まる列車はもちろんのこと、通過する列車もありません。

イメージ 3 ▲カラフルな「にちりん2号」が接近してきました。

 夜行明けということもあり、ちょっと寝っ転がって仮眠したいところ。でも、木造駅舎の中にはベンチもいくつかありますが、目の前は国道で車の行き来があるし、駐車場もあるし、バス停もあるし、いつ誰かがくるともわかりません。それはよろしくないので、2/3番ホームにあるこれまた木造の待合室にいることにしますが、こちらは掃除が行き届いておらず、蜘蛛の巣がはっていたりして、ちょっと寝っ転がる気にはなれません。結局、自販機で缶コーヒーを買って飲んだり、ホームや駅舎をうろうろして時間をやりすごしました。

イメージ 2 ▲有人駅だった頃の面影を残す、ひっそりとした駅舎の中。

イメージ 4 ▲跨線橋から宗太郎方を望む。山深し。

 そして08:40、ついに京都からの33レ特急「彗星」が姿を現しました!この年の10月1日ダイヤ改正で姿を消すことが決まった列車が、余命あと約一ヶ月になってなお元気に活躍する姿を見せてくれたのです。
 「彗星」は重岡駅で交換列車待ちのため3分停車します。この日の「彗星」を大分から牽引してきたのはED76-69機。以前京都から別府まで乗った時には、下関からEF81がヘッドマークなしのまま牽引していて、なーんだ九州内はヘッドマークなしかと思ったことがありますが、実は下関からのEF81の牽引は大分までで、大分以南はばっちりヘッドマークを掲げたED76が受け持つのでした。

イメージ 5 ▲なんと、下りの寝台特急「彗星」が、重岡駅で運転停車です。

イメージ 7 ▲抜けるような夏の空、そして「彗星」、そして重岡駅。

 「彗星」のヘッドマークを掲げた鮮紅のED76を見るのはもちろん初めて。夏の朝のぎらりとした太陽に照らされて、なんだかとてもかっこいいです。編成こそ4両と短いですが、夏の強い日差しに赤と青のコントラストが際立ち、威風堂々です。

 やがて上り線に入ってきたのは5004Mレッドエクスプレス「にちりん4号」。「にちりん4号」も一瞬重岡駅のホームで停車し、「彗星」と肩を並べます。

イメージ 6 ▲次に重岡駅に近づいてきたのは上り特急「にちりん4号」。

 「にちりん4号」が走り去るのを見送って、「彗星」もおもむろに発車です。最後尾の6号車スハネフ15から白煙を噴きだしながら「彗星」は宗太郎へと続く山の中へ入っていきました。終点南宮崎まではあと2時間。日向路をもうひとふんばりです。

イメージ 8 ▲「にちりん4号」の到着を待って、寝台特急「彗星」、南宮崎へ出発。

イメージ 9 ▲深い緑に吸い込まれるように「彗星」は去っていった。

 さて、こちらも残念ながら重岡駅を去る時間がきたようです。

 こんなに列車の本数が少ない重岡駅ですが、駅前にはバス停があり、大分バスと大野交通が、佐伯方面と豊肥本線三重町駅方面へバスが走っていて、次の列車がやってくる夕方まで10時間も待ちぼうけを食らうことなく重岡駅を離れることができます。本当は列車で重岡駅を発ちたいのですが、やむなし、駅前から08:52発の佐伯駅行きのバスに乗ります。佐伯駅までは約50分。このバス路線があってこそ初めて実現する重岡駅探訪でした。

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        ▲駅舎のすぐ前に「重岡駅」バス停があり、佐伯駅方面や三重町駅方面へ抜けられます。