毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

モンフ亭(ハノイふたたび;その12)

イメージ 1 ▲村の集会所を兼ねた、村の守護神を祀るモンフ亭。

 2015年4月26日、初夏の陽気。

 おばあちゃんちでお茶をごちそうになった後は、Mông Phụ(モンフ)集落をさらに奥へと進んでいきます。すると、四方からの道が交差するちょっとした広場のような場所に出ますが、ここに立派な建物が。去年参観したハノイ市内の「Văn Miếu(文廟)」のいちばん奥にある「Quốc Tử Giám(クォックトゥーザム;国子監)」とよく似た建物です。

 ここは「Đình Mông Phụ(モンフ亭)」。「Đình(ディン;亭)」とは、Wikipediaの英語版に「Vietnamese communal temple」と訳されているとおり、村の守護神を祀る場所であるとともに、村の集会や祭りなどが行われる場所でもあり、どの村にも必ずあった場所だそうです。

イメージ 2 ▲手前の広場で村の様々な行事が行われるのでしょう。

 モンフ集落にあるモンフ亭が建てられたのは1759年。その後、1859年に拡張されて今に至るというのですから、今残っている建物は1859年のものでしょう。広場奥のいちばん大きな建物は拝堂です。

 ドゥオンラム村の西南には、Ba Vi(バヴィ)山脈があり、バヴィ国立公園となっていますが、その中で最も有名なのが、標高1,281mのTản Viên(タンヴィエン)峰。この峰にはSơn Tinh(ソンティン;山精)、つまり山の神様が住んでいるとされています。モンフ亭は、この山の神様と、ドゥオンラム村出身の8世紀の英雄Phùng Hưng(フン・フン;馮興)を祀っているのだそうです。

イメージ 3 ▲拝殿の中央。この建物も屋根が低く、鱗状の細かい瓦で葺かれています。

イメージ 4 ▲山の神Sơn Tinhと地元出身の英雄Phùng Hưngを祀る祭壇。

 それにしても穏やかな陽気。この日は薄曇りだったので、日差しこそ強くは感じませんが、モンフ集落の入り組んだ小路を散策していると、自然に汗ばんできます。小路の両脇に並ぶ民家の敷地からは、草木の枝枝があふれ、4月下旬だというのに、トロピカルな感じの赤くかわいらしい花がこぼれるように咲いていました。この花は何の花なんだろう?

イメージ 8 ▲モンフ集落の入り組んだ小路をそぞろ歩きます。

イメージ 5 ▲民家の庭から塀を越えて草木があふれ出ています。

イメージ 6 ▲赤と濃いピンクの花びらが乱れ咲く、この花は何の花?

 小路の曲がり角の突き当たりに突然のように現れる古い門。扉の上には漢字で「何氏祠」と書かれています。モンフ集落は特に氏族の結束が強いらしく、氏族の祖先を祀る祠堂がいくつも残っているそうです。「何氏祠(Nhà thờ họ Hà)」は何一族の祠堂ですが、これは中国系でしょう。モンフ集落には他にグエン一族やファン(藩)一族の祠堂もあるそうです。

イメージ 7 ▲小路の突き当たりに忽然と現れるハー(何)一族の祠堂。