毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

Trấn Vũ Quan(鎮武観)(ハノイでクリスマス!;その20)

イメージ 2 ▲ハノイにおける道教の代表的寺院「Trấn Vũ Quan(鎮武観)」の門。

 

 2014年12月27日、玄天上帝。

 

 ハノイの名所「文廟」の参観を終え、「文廟」前の「国子監通り」から再びタクシーに乗り、ほぼ真北へ移動します。そして、次にハンさんに連れられてやってきたのは、「Đền Quán Thánh」、またの名を「Trấn Vũ Quan(鎮武観)」であります。正門の上部には「真武観」と書かれております。

 

 先ほどの「文廟」は孔子様が祀られた儒教の聖地でしたが、こちら「鎮武観」はハノイにおける道教の代表的寺院なのだそうです。周辺には大統領府やホーチミン廟、国会議事堂、ホーチミン博物館、旧ハノイ城跡など、重要施設が目白押しで、見渡すとたいへん広々としています。

 

イメージ 1 ▲豊かな緑に囲まれた「鎮武観」の入口の門。

 

 境内の中に入ると、敷地はそれほど広くはありません。庭の中には立派な樹木が生い茂り、枝葉に覆われて、日の光がなかなか届いてこないほどです。この立派な木はマンゴーの木らしいです。よく手入れされた灌木もそこここに植わり、ベンチもあって、木陰でひと休みするにはうってつけの場所という感じです。

 

 その庭のいちばん奥まったところに、苔むしたような古い屋根瓦を積んだ小さな建物が一つ。その前には、盆景のようなものが一つ。「Hòn non bộ」とか「Núi non bộ」とかいうらしいです。「築山」、「盆栽」といったような意味だそうですが、「Hòn」は「小島」、「Núi」は「山」という意味なので、何をテーマにした盆景なのかによって呼び方が違うのかもしれません。

 

イメージ 3 ▲広くはない境内は大きな樹木に覆われ、ひと休みするのにうってつけの木陰です。

 

イメージ 4 ▲本堂の前にある盆景は「ホンノンボ」とか「ヌイノンボ」と呼ばれます。

 

 本堂の前には香炉があり、中国の寺院でもよく天井から吊されているらせん状の香が焚かれています。ここのは吊すのではなく、台の上に置くタイプのものですが。

 

 「鎮武観」の創建がいつなのかははっきりしていないそうです。11世紀らしいのですが、現在の場所に移ってきたのは15世紀になってからで、後レー(黎)朝第五代、「国子監」に「進士題名碑」を建立した皇帝「Lê Thánh Tông(レー・タイントン;黎聖宗)」が城の拡張の際、「Hồ Tây(西湖)」の東南の現在の場所に移築されたそうです。

 

イメージ 5 ▲何時間ももちそうならせん状の香が焚かれてしめやかな雰囲気。

 

 香の煙と匂いのたちこめる本堂に入ると、そこに鎮座ましますのは、顔の大きないかついお方。「Trấn Vũ(玄天上帝)」であります。「玄天上帝」のフルネームは「北極鎮天真武玄天上帝玉虛師相金闕化身蕩魔永鎮終劫濟苦天尊」というそうで、像の上に架かっている扁額の「蕩魔天尊(Đãng Ma thiên tôn)」も別名の一つ。また、「玄武」ともいい、「玄」は北方を表すので、「ハノイの都を北からの敵=中国から守る鎮守」として祀られてきたものだそうです。

 

 現存するこの像は、高さ3.72m、重さ4t。悟りを妨げるものを封印する「降魔の印」という訣を結んでいます。玄天上帝像の左右には、文官と武官として祀られている「四大元帥」像。

 

 なお、1823年に「真武観」と改名し、1856年の修築で正殿、焼香亭、拝堂、鐘閣が拡張された、とのことですので、だから正門の上には「鎮武観」ではなくて「真武観」と書いてあるのですね。

 

イメージ 6 ▲「降魔の印」を結ぶ「玄天上帝」像。