毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

濁流に落ちたK165次列車(続報)

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▲20日からは川に落ちた客車の撤去作業が行われている。

 四川省を走る宝成線の徳陽~広漢間にかかる石亭江大橋が折からの大雨による増水で流され、通りかかった西安発昆明行きのK165次列車が橋の上で立ち往生し、客車2両が濁流に呑み込まれたが人的被害はなかったという記事を前回ご紹介しました。

 今日はその続報を少々。

 20日は、19日午後に濁流へ落ちた客車の撤去作業が行われました。1枚目の写真は撤去作業の模様を伝える成都の地元紙「羊城晩報」からの写真です。

 今回一部分が流された石亭江大橋は50数年前に架けられたもので、長さは264m。K165次列車は時速88kmで橋にさしかかり、異常を感じた運転士が急ブレーキをかけてから停止するまでに走った距離は382m。運転手は「我相信,这是我能掌握的最短停车距离了!(オレが知っている限りの最短記録だと思うよ、この距離は。)」と語ったとか。

 川に落ちて濁流に呑み込まれたのは15号車と16号車。記事によれば、徳陽駅派出所の所長は「事故当日の午前中、安全に関わる事態が起きるおそれがあるという警報を上部に対して報告していました」と語ったそうです。だとすると、それでも橋脚等の点検を優先させず列車の運行を継続したことが事故を招いた原因とも言え、人災ではないかとの非難が噴出しそうなものですが、こちらの報道では「よくぞ事故の予兆を見抜いていたものだ!」という賛美調。

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        ▲川の中に落ちたままの客車。

 確かに今回の事故では乗務員たちが実に機敏な対応をしており、緊急停車後約15分で乗客の車外への避難誘導を完了しています。報道ではこれを「黄金の15分間」と読んで賞賛していて、乗務していた車掌26名他計42名の乗務員たちを讃える論調が続いています。下の写真には「K165次列车42名立功人员胜利归来,被鲜花包围。(K165次列車の42人の立役者たち勝利の帰還、花束に囲まれる。)」というキャプションが付いています。18両編成の列車に42人も乗務しているというのが何よりオドロキです。

 とにもかくにも、人的被害が出なかったのは不幸中の幸いで、乗務員や現地警察、地元住民らの連係プレーがみごと功を奏したということで、これは高く評価されてよいでしょう。
 石亭江大橋のほうは、川の水が退いたら全面的な架け替え工事を行い、80日以内に運行を再開させる見込みのようですが、それまで運休が続くのはイタイ。客車も1両300万元(約3900万円)とも400万元(約5200万円)とも言われており、経済的損失は甚大です。

 成都へは列車で旅行に行く日本人も多いと思いますが、四川省に限らず、今は中国の全国各地で水害が起きていますので、中国へ旅行に行かれる方は事前の情報収集を怠らず、十分に気をつけて旅程を組んでくださいね!

イメージ 2 ▲迅速な乗客避難を成功させ讃えられるK165次列車の乗務員たち。