毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

中国四川省で列車が濁流に呑み込まれる。

イメージ 1 ▲濁流で橋とともに客車2両が流されたK165次列車。

 中国では6月から断続的に強い雨が降り、今やほぼ全土で水害が発生しています。8月8日未明に起きた甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県の大規模土石流では甚大な被害が出ました。

 今日は、8月19日に四川省で発生した、濁流で橋が流されたところへ列車が突っ込み客車が流されたけれども幸い一人も負傷者等を出さなかったという事故をご紹介します。

 8月19日15:15頃、西安発昆明行きK165次列車が四川省の省都成都の北、徳陽~広漢間にかかる石亭江大橋を渡っていたところ、突然轟音とともに橋桁がぐらりと傾き、列車は橋の上で停車。橋桁とともに傾いた列車はねじれるように機関車から切り離され、5号車から17号車までが脱線。そうこうしているうちに橋桁の一部が濁流に流されてしまい、2両が空中にぶら下がる形となりました。

 かけつけた警官や地元民、列車乗務員たちが、脱線した13両の乗客約700人を車外へ脱出させたが、約30分後、最後の乗客が車両を離れてまもなく、3本の橋脚がぐらぐらと揺れ始めたかと思うとまたたくまに倒れて濁流に呑まれ、それと同時にぶら下がっていた2両の車両も濁流に落ち、そのまま200mほど下流に流されていきました。幸い乗客乗員に被害はありませんでしたが、間一髪のところでした。

イメージ 2 ▲間一髪で人的被害はまぬがれた。落ちた車両の台車がひとつ残っている。

 時刻表によれば、K165次列車が現場付近を通るのは14時過ぎ頃だと思われるので、事故当日は1時間ほどの遅れで走っていたようです。K165次列車は西安発昆明行きで、走行距離は1,942km、所要時間は36時間02分です。途中の宝鶏~成都間の宝成線と成都~昆明の成昆線は、大渓谷や巨大ループ線など中国鉄路の中でもダイナミックで美しい車窓の風景を楽しめる路線です。今回のK165次列車は全行程のほぼ真ん中にさしかかったところで事故に遭ったことになります。

 なお、今回流された石亭江大橋は架けられてすでに50年とのことですが、橋脚の強度に問題はなかったか、これまでの補修工事に落ち度はなかったか、これだけの水害が予想されたのに列車の運行を継続させた点など運航管理に問題はなかったか、なーんてなことには報道はこれっぽっちも言及してないし、誰の責任も追及されず、危機にも動じず安全に乗客を誘導した乗務員たちの美談としてこの件は終わってしまうに違いないというのが、中国的でいいですなあ(^^)。

 というわけで、中国は今各地で水害が起こっていますから、旅行に行かれる方は要注意ですよ!

 〈写真は新華社通信Web版掲載のものを転載しました。)

イメージ 3 ▲場所は四川省の省都・成都から北へ数十kmのところ。