毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

中国鉄路あっちこっち(老兵「東風4型」ディーゼル機関車)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203830.jpg ▲丹東からの6373次列車が終点長甸に到着。牽引は「東風4型」の6510号機。

 今年の旧正月の直前の1月22日に、中国遼寧省丹東市の寛甸満族自治県というところに行ってきました。東側が北朝鮮との国境である鴨緑江に面した山がちな田舎町です。県の中心部で見かけた正月用の爆竹や花火を売る様子はコチラで紹介しました。この記事には地図もついてます。

 このとき、帰りに寛甸県内の長甸という駅から鳳凰城という駅まで、ローカル線の各駅停車に乗ったので、今日はその報告をします。

 鳳凰城~長甸間は、瀋陽と丹東を結ぶ幹線鉄道「瀋丹線」の鳳凰城から北へ延びる支線で「鳳上線」といい、かつて日本が1938年に建設した全長143kmの支線です。朝鮮戦争までは長甸駅からさらに東へ行って鴨緑江を渡り朝鮮半島へと列車が走っていました。今も線路や鉄橋は残っていますが、列車はすべて長甸止まりです。

 長甸駅には一日2回しか列車がやってきません。瀋陽~長甸間と丹東~長甸間にそれぞれ一往復ずつ計4本の普通列車が走っているのみです。このうち瀋陽~長甸の列車は瀋陽から長甸に夜10時過ぎに到着し、翌朝朝5時台に長甸を発つので使い勝手がよくありません。そこで今回はお昼過ぎに出る長甸発丹東行きの列車に乗ることにしました。

 やがて、丹東からの6373次列車がやってきました。11:50の到着で、これが折り返し12:35発の丹東行き6374次列車になるのです。長甸駅は、構内に側線も少なく、留め置かれている貨車も一両も見えないので、貨物列車はほとんど来ないのでしょう。構内では、6373次列車が到着するとすぐに、鳳凰城駅から牽引してきたディーゼル機関車の付け替え作業がのんびりと始まります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203902.jpg 構内で機回しする東風4型。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203906.jpg 6000番台は各駅停車。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203837.jpg 長甸駅で発車を待つ。

 牽引機は80年代から90年代にかけて量産された中国では最もポピュラーなディーゼル機関車「東風4型」の6510号機。車側には「大同機車工廠1997」の銘板が付けてあります。まだ10年ちょっとしか走っていないことになりますが、写真を撮っていたら、機回し作業をしていたおじさんから「これはもうオンボロなんだよ。そろそろ引退だ」と言われました。そんなものなのかしら?

 客車のほうは7両編成。中国にしては非常に短い編成。よほどのローカル線だということでしょう。最前部の1両は乗務員のための「硬臥車(寝台車)」で、残りの6両が一般乗客が乗れる「硬座車(普通座席車)」。僕が乗った7号車の車番は「YZ22B-337527」。YZ22型の硬座車は客車の中でも最もポピュラーなものです。

 機関車の付け替えも終わり、発車時間になりましたが、車内はガラガラのままです。これだけ空いていると硬座車もかなり快適。列車は山合いの狭い田畑を左右に見ながらのんびりと走り、永甸、坦甸、寛甸と停車していきます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203854.jpg 7号車はYZ22B型客車。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203858.jpg 車長24.5mは新幹線並み。

 寛甸駅で車内は一変しました。正月の買い出しを終えた人々が乗降口に殺到し、車内はたちまち立ち客も出るほどの満員になったのです。どの乗客も荷物をたくさん抱えて、年越しの活気がそのまま車内に持ち込まれ、たいへんなにぎやかさ。でも、みなさん近郊に住んでいる人が多いようで、駅に着くごとに少しずつ下車していきました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203842.jpg 農村の中をのんびりと。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203912.jpg 我先にと乗り込む人々。

 寛甸の次の駅は龍爪溝、そしてその次の灌水駅の手前で大きく左へカーブして進路が西から南へと変わります。灌水駅からは鳳凰城目指して南下を続けます。灌水でまとまった下車があり、車内に立ち客はなくなりました。天橋、廟陽、佟家、辺溝、鉄佛寺、石城、大堡、官家と停車します。鳳凰城に至る沿線はかなりの山線。車窓の両側には常に山が広がり、全線ほぼ靉河という川に沿って線路が敷かれているので、くねくねとしたカーブとアップダウンの連続です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203916.jpg 川沿いにのんびり走る。

 始発の長甸から3時間41分、6374次列車は鳳凰城駅に到着しました。それまで見かける駅があまりにこぢんまりとしていたので、鳳凰城の駅でさえ大きなターミナル駅に見えます。6374次列車はここで機関車を付け替え、進行方向を変えて丹東へ向かいます。終点の丹東までは残り60km、1時間42分の道のりですが、僕はここで下車し、丹東とは反対方向の瀋陽へと帰ります。

 中国では混雑と不便さからなかなかローカル列車の旅をするのは難しいのですが、今回のような比較的短い路線ならなんとかなります。たまにはふらっと出かけてみたくなりますよね(^^)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203921.jpg ひなびたローカル駅。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203848.jpg ▲がらがらにすいた硬座車でのんびり中国ローカル鉄路の旅はいかが?(^^)