毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

タリン旧市街そぞろ歩き(Long Summer Vacation;その63)

f:id:mainichigaharu:20200207002445j:plain▲今は宗教芸術の博物館になっている「聖ニコラス教会」。尖塔が美しい。

 2018年7月27日、ビール飲みたい。

 

 ヴィル門からタリン旧市街の城壁の内側へ入り、ヴィル通りの石畳の道をのんびりと歩いていきますと、北ヨーロッパに唯一残るゴシック様式の市庁舎の尖塔が正面に近づいてきたあたりで少し広くなった場所に出ます。ここは「Vana Turg(旧市場)」と呼ばれる場所。「旧市場」がいつのどのような市場のことを指すのかわかりませんが、この場所の角にある白壁の大きな建物が、たぶんタリンで最も有名なレストラン「Olde Hansa(オルデハンザ)」。「Old German」という意味で、ハンザ同盟都市時代の裕福な商人の家をイメージしているとか。

 その前を過ぎて市庁舎の方へ抜ければ、「ラエコヤ広場」に出ます。タリン旧市街の下町の中心にあるこの広場では、かつてスカンジナビアの商人たちが市を立てていた場所らしく、今も夏には週末マーケット、冬にはクリスマーケットが開かれ、観光客を楽しませてくれます。この日はマーケットはなかったけれど、広場を囲むレストランの屋外席のテントがあちこちに張られ、鮮やかな色合いの花などが飾られて、昼からさっそくテントに入ってビールでも一杯、という気分にさせてくれました。 

 f:id:mainichigaharu:20200207002431j:plain▲レストラン「オルデハンザ」と、右奥には市庁舎の尖塔。
 

f:id:mainichigaharu:20200207002436j:plain▲ラエコヤ広場を囲む建物たちと、その前に張られたレストラン屋外席のテント。

 市庁舎前を通り過ぎてラエコヤ広場を左に折れると、「ハリュ(Harju)通り」と「ニグリステ(Niguliste)通り」の角にぶつかり、そこからニグリステ通りを少し上がったところにあるのが、「タリン観光案内所(Tallinn Travellers Tours)」。スタッフの案内や、各国語版の地図やパンフレット類の配布、ツアーガイドの予約、タリンカードの購入、絵はがきなどのグッズの購入などができ、初めてのタリンならまず最初にここに立ち寄って情報収集するのがいいかもね。

 「タリン観光案内所」前の道(ニグリステ通り)の街路樹は背が高く堂々としていて、青々とした葉が茂って、気持ちよいことこの上ない。ここは「聖ニコラス教会(Niguliste kirik)」の東側で、ハリュ通り公園の緑地が続いていて、散歩で通るにはうってつけです。

 

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▲ニグリステ通り。右の建物の1階が観光案内所。

 ハリュ通りをそのまま下って「自由広場」に出たら右折して坂道を上っていくと、旧市街の南西部の城壁の外側に沿って歩くことになります。ここでひときわ目を惹くのが、背の高い円柱状の大きな塔。このブログでもすでにおなじみの「台所を覗く塔(Kiek in de Kok)現在は中はタリン歴史博物館の分館になっているそうですが、中に入ったことはありません。

 このあたりは小高い丘の上になっていて、「管理者の庭園(Komandandi aed)」と呼ばれ、多くの木々が生い茂ってちょっとした林のようになっています。ふと気づくと、その林の上の空をプロペラ機が横切っていくのが見えました。無地の真っ白い塗装の飛行機だったけど。 

 

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▲ムーミンの家に似てて気に入ってる「台所を覗く塔」。

 

f:id:mainichigaharu:20200207002458j:plain▲真っ青な空を真っ白いプロペラ機が飛んでいきました。

 今回は、「台所を覗く塔」そのものではなく、今まで近づいたことがなかったその向こうに続く城壁に注目したいと思います。

 「台所を覗く塔」は円柱形の塔ですが、その隣には、四角柱の塔が立っています。高さは同じくらいでしょうか。14世紀に建造されたこの四角い塔は、かつて娼婦を収容した牢獄として使用されていた建物で、皮肉をこめて「処女の塔(ネイツィトルン;Neitsitorn)」と呼ばれています。ここでは怪奇現象が起こるとか幽霊が出るとかという町の噂が絶えないとか。

 この塔の足下には、外側にもう一枚石壁があり、塔と石壁の間にも石を積んで短いトンネルのようになっています。もう崩れてしまった部分もあり、トンネル状の箇所はかつてはもう少し長かったのではないかと推測されますが、娼婦収容所だったから、出入りを厳重にしていたってことでしょうかね。

 f:id:mainichigaharu:20200207002454j:plain▲四角い塔は「処女の塔(Neitsitorn)」。

f:id:mainichigaharu:20200207002503j:plain▲その足下は、石積みのトンネルのようになっています。 

 

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▲その短いトンネルは、石壁で囲まれた庭のような場所に続いています。

 「処女の塔」の足下の石積みトンネルをくぐって先へ進むと、そこは、城壁と外側の石壁に囲まれた狭い空間。城壁の足下は草地の斜面になっていて、あとは狭い道がのびているだけ。その先は、今は外側の石壁が崩れていてそのまま抜けられるようになっていますが、かつて閉じられていたときはいったいここは何の空間だったのか、気になります。

 そのまま城壁に沿って進みますが、この石積みの城壁の描くカーブがたまらないですね。「処女の塔」の隣にある塔は円柱状ですが、城壁の途中までしかなく、塔の足下は地面には届いていません。これはなんのための塔なんだろう?
 

f:id:mainichigaharu:20200207002512j:plain▲処女の塔の内側の城壁と外壁にはさまれた狭い空間はなんのためのもの?

f:id:mainichigaharu:20200207002517j:plain▲城壁の途中から生えたような塔もあるんですね。

 

夏花咲き誇るタリン旧市街へ(Long Summer Vacation;その62)

f:id:mainichigaharu:20191206001759j:plain▲このくっきりとした空の色は「コーンフラワーブルー」か。

 2018年7月27日、ヴィル門へ。

 明けて翌日は、まさにエストニアらしいというか、雲一つない、あまりにもくっきりとした突き抜けるような青空がどこまでも広がり、最高に気持ちの良い朝を迎えました。ただし、暑い。日本も猛暑だけれど、ヨーロッパも記録的な猛暑となっていて、タリンもこの夏は気温が30℃を超える日があるとのこと。1年前の7月に初めてタリンを訪れたときは最高気温が20℃に届かない肌寒い毎日を過ごしていたというのに!

 しかし、多少暑くても、タリンの旧市街地を散策するのは本当に気持ち良いです。タリンのことは既に2回にわたってこのブログに書いたのであまり重複しては書かないけれど、かつて全長4kmの城壁に囲まれ、46の見張り塔があり、そのうち城壁2.5kmと26の見張り塔は現存しているタリンの、その城壁に囲まれていた時代のメインゲートだった「ヴィル門(Viru värav)」から、タリン旧市街地へと入っていきましょう。

f:id:mainichigaharu:20191206001820j:plain▲「ヴィル門」の褐色の屋根と澄んだ青空のコントラストの美しいことよ!

 「ヴィル門」を通って城壁の外から中へつながっている石畳の道は「ヴィル通り」。その「ヴィル門」に向かって左側には、ずらりと花屋さんが軒を連ねています。夏、花盛りの季節だけに、どのお店にも鮮やかな色合いの生花がたっぷりと並び、目を楽しませてくれます。いやー、ホント鮮やかです。日本ではなかなか見かけないような色の花もたくさんあるね。プレゼントする相手がいるならぜひここで花束を作ってもらって買うんですけどね。相手がいるなら。ええ。

 ちなみに、エストニアの国歌はヤグルマギクだそうです。ドイツの国花もヤグルマギクなので、やはりドイツの影響なんでしょうかね。ヤグルマギクは学名を「cornflower」といいますが、その青色の美しさから、最高級のサファイアの色味を「コーンフラワーブルー」と形容するそうですよ。ここの花屋さん街にはヤグルマギクは並んでいるかな? 

 f:id:mainichigaharu:20191206001813j:plain▲ヴィル門の手前には花屋さんがずらり。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001806j:plain▲夏らしく色とりどりの花がいっぱい並び、目を楽しませてくれます。

 「ヴィル門」から城壁の内側に入り、旧市街地の散策開始。入ってすぐ右の方へ城壁が続いていて、城壁沿いの道は「Müürivahe通り」ですが、この通りには、城壁の足下にビニールの屋根をかけて棚を並べた露店がずらりと並んでいます。露店はすべて、セーターやマフラー、ミトン、帽子などのニット製品を扱うお店で、「セーターの壁」と呼ばれています。ニット製品や布製品はエストニアの特産物なんですね。

 まだ時間が早かったのか、品物を並べるさいちゅうの露店もちらほらありますが、ガイドブックには必ず載っている観光スポットなので、「セーターの壁」をのぞきに来る観光客もだんだんと増えてくることでしょう。 

 

f:id:mainichigaharu:20191206001826j:plain▲城壁の足下にずらりと並んだニットの露店。「セーターの壁」と呼ばれてます。

 

3度目のエストニアについに到着(Long Summer Vacation;その61)

f:id:mainichigaharu:20191206001705j:plain▲今回も後ろのドアから搭乗します。タリン行きAY1023便。

 2018年7月26日、路面電車トラブル。

 次に乗るのは、16:25発のタリン行きAY1023便。もともとJL413便の到着からの乗継時間が2時間弱で、乗継保安検査場の混雑などもあって、シェンゲン・エリアに抜けた頃にはもうあまり時間に余裕がなかったけれども、AY1023便が出るのが21A番ゲートで、フィンエアーのラウンジのすぐ近くだったので、ラウンジにもちょこっと寄ることができました。

f:id:mainichigaharu:20191206001659j:plain▲タリン行きAY1023便の出る21A番ゲート前のカウンター。

 既にこの1年で2回ヘルシンキ経由でタリンへ行ったので、ヘルシンキでのタリン行き乗継は勝手知ったるもの。搭乗が始まって21A番ゲートがオープンになったら1階に降りて、階下の待合室でバスが来るのを待ち、バスでオープンスポットへ移動して搭乗します。

 今回、バスにはすぐに乗れたんですが、最後の乗客がなかなか現れず、バスの車内でかなり長く待たされました。こういうので時間をロスするのは非常に残念である。

 ようやくバスが動いて、オープンスポットでバスを降りて搭乗します。機材はいつもどおりのATR72-500で、この日のレジはOH-ATGをつけています。
 

f:id:mainichigaharu:20191206001713j:plain▲託送荷物は前方ドアから積み込みます。

 ボディには「NoRRA」の文字がペイントされています。便名はフィンエアーですが、運航するのは「ノルディック・リージョナル・エアラインズ(Nordic Regional Airlines;NoRRA)」です。ATR72-500に乗るのは後ろのドアから。これもいつもどおりですね。後部ドアの裏側にはステップがついているので、別途タラップをつけなくてもラクラク搭乗できます。

 既に出発時刻を過ぎた16:28に搭乗し、7番D席に着席。シートは2×2列で、機内は非常に狭いので、日系航空会社だったら「飛行機の座席数100席未満」の場合ということで機内に持ち込める荷物の大きさが100席以上の飛行機の場合より一回り小さく制限されますが、ここではそんなのおかまいなしに大きなバックパックとかキャリーケースとかをどんどん持ち込むので、その収納に手間がかかりまくって、それで更に出発が遅れます(涙)。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001717j:plain▲ヴァンター空港RWY15離陸直後。ハイウエイが輻輳してますねー。

f:id:mainichigaharu:20191206001722j:plain▲ヘルシンキ東部、クロサーリ島へ渡るハイウエイの橋や南側のムスティッカマー島など。

 ようやく荷物がなんとか全部納まって、16:35にエンジンスタート。機内はぎゅうぎゅう満席です。ただ、前年の7月に来たときは、72席ほどある機内の半分ほどが日本人観光客で占められていましたが、この日のこのフライトには日本人の姿は数人程度でした。

 両方のプロペラが高速回転になったところで、16:38、プッシュバーーック!あっ、違った、プッシュされずに自力でバックするんだった。自力ですいすいーっとバックして、すぐにタキシングを始め、16:42にRWY15から離陸しました。

 RWY15から離陸すると機首はほぼ南を向いているので、離陸したAY1023便はそのままほぼまっすぐ飛んでいきます。するとすぐに右側にヘルシンキ市街が広がり、複雑な海岸線と無数の小島を眺めながらフィンランド湾上空へと抜けていきます。

f:id:mainichigaharu:20191206001729j:plain▲タリン市南西部を眺めながら西から進入。

f:id:mainichigaharu:20191206001734j:plain▲奥に見えるのはウレミステ湖。

 あっという間にフィンランド湾を飛び越えて、早くも最終の着陸態勢。エストニアの首都タリン市の南を西から東へ横切るような形でタリン・レンナルト・メリ国際空港へと高度を下げていきます。右側の機窓からは、空港の西に広がるウレミステ湖が徐々に近づいてくるのが見えています。

 そして17時ちょうど、AY1023便はRWY08に着陸。ヘルシンキからの飛行時間はわずか18分でした。

 誘導路はあるのですが誘導路には出ずに、滑走路上でUターンして滑走路をタキシングしてターミナルビル方向へと戻り、ターミナルビル前にスポットイン。もちろんボーディングブリッジはつかず、後方ドアから直接降りて、エプロンを歩いて降機します。まだまだ日は高く、気持ちのよい青空が広がって、夏のエストニアに来た!って感じです。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001740j:plain▲タリン空港に到着したAY1023便の後方ドアから降りて、徒歩でターミナルビルへ。

 フィンランドからエストニアに飛んできたわけですが、シェンゲン・エリアということで入国審査はなく、預け荷物を引き取ったら到着ロビーに出られます。

 到着ロビーに出てまず、公共交通機関乗り放題で市内の観光スポットの入場料等が無料になったり割引になったりする「タリン・カード」を購入し、長い通路でつながっているトラム・バス乗り場へ直接歩いて行って、4番のトラムに乗車します。これに乗ってしまえば、投宿する予定のホテルの最寄り電停まではわずか15分です。

 ……と思ったら。

 空港を出発して最初の電停「Ülemiste linnak」まで来たら、停まったまま動かなくなってしまった。しばらく待っても動く気配はなく、やがて乗客がぞろぞろと降り始めました。見ると、数百m前方にもう1輛トラムが停まっていて、どうもこれが動けなくなって立ち往生しているので、こちらも先へ進めないらしい。近くにバス停があるからと運転士に言われ、荷物を転がしながらバス停へ移動。近くと言っても500mほど歩いて、ようやくエストニア国鉄のÜlemiste駅の脇にある「Ülemiste jaam」というバス停に着きました。ここでバスが来るまでけっこう待たされ、ようやく乗れたバスで5つめのバス停「Tornimäe」で降り、ホテルへ到達することができました。予定よりだいぶ時間がかかってしまった……

 外へ晩ごはんを食べに行き、ホテルに戻ってきて部屋に入った頃には時間は午後10時過ぎになってしまいましたが、しかしそこは夏の北欧、日はだいぶ傾きましたがまだ沈んではおらず、部屋の窓からは、少し夕焼け色が出てきた空を背景にタリン旧市街の教会の尖塔が見え、タリンに戻ってきたという気持ちが押し寄せてきて、うれしくなりました。

f:id:mainichigaharu:20191206001747j:plain▲夜10時時過ぎ、夕食から戻ったホテルの窓からの眺め。

f:id:mainichigaharu:20191206001752j:plain▲タリン旧市街の教会や聖堂の尖塔が夕日の中に見えて、なんだかうれしい。

 

シベリアを越えて(Long Summer Vacation;その60)

f:id:mainichigaharu:20191206001601j:plain▲夏の緑潤うシベリアの大地の上空を絶賛飛行中。

 2018年7月26日、時差6時間。

 時間をかけてゆっくりランチを楽しみ、デザートを食べ終える頃には、JL413便はシベリアの大地の上空を絶賛飛行中です。眼下に雲はほとんどなく、緑に覆われたシベリアの果てしない大地が広がっています。たまに羊みたいな雲がぽっかり浮いていると、その雲の影が地上にくっきりとできて、夏!って感じです。

 シベリアの大地には、緑の絨毯のところどころを川が蛇行しながら流れ、川の近くには小さな集落が見えたりします。冬は酷寒の厳しい生活を強いられるのでしょうけれど、夏の緑に覆われた季節は爽やかで気持ち良さそうです。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001555j:plain▲離陸後2時間半ほど経った頃。蛇行する川の近くに小さな集落も見えました。 

 

f:id:mainichigaharu:20191206001608j:plain▲雲の影がくっきりと地上に落ちて、シベリアの大地が続きます。

 ランチが終わると機内の照明が落ち、お休みタイムになります。日本時間はまだ午後3時くらいですが、ヘルシンキに到着するのは日本時間の午後9時とかそこらなのに現地時間ではまだ午後3時頃で寝る時間まではまだまだあるので、今のうちに昼寝をしておくことは時差ぼけ回避には必要かもしれません。しかし、日本時間が昼間では、そう簡単には眠くならない人もいるわけで、僕も含めてそういう人は読書をしたり映画を観たりしながらまったりと暗い機内で時間を過ごします。それはそれで楽しいものです。

 

 さて、日本時間の19時20分頃、離陸から8時間ちょっとが経つと、到着前の軽食タイムです。ヘルシンキ到着まであと1時間と少しというところです。機内が再び明るくなり、ブラインドを上げる乗客も多く(B787の窓は窓から入る光量を押しボタンで5段階で調節できる電子カーテンなので、上げ下げするシェードはないんですが。)、朝を迎えた気分で到着に備えます。日本時間の20時、フィンランド時間の14時を過ぎると、眼下にはフィンランドの湖水地方の水の豊かな大地が広がってきました。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001615j:plain▲フィンランド南東部の湖水地方、南サヴォ県の入り江。ヘルシンキの北東約300km地点。

f:id:mainichigaharu:20191206001621j:plain▲ウーシマー県(Uusimaa)Mäntsäläの小さな集落。田園風景がなんとものどか。

f:id:mainichigaharu:20191206001629j:plain▲同じくMäntsäläの森と森にはさまれた田園地帯。ますますのどか~~。

f:id:mainichigaharu:20191206001633j:plain▲ウーシマー県ハルキア村(Halkia)あたりに広がる森と畑。

f:id:mainichigaharu:20191206001639j:plain▲ヘルシンキ空港の北東、ケラヴァ(Kerava)の町。右下にケラヴァの駅が。

f:id:mainichigaharu:20191206001644j:plain▲奥に見えているのはトゥースラ湖(Tuusulanjärvi)。 

 

 ヘルシンキ・ヴァンター国際空港には、現地時間14:28にRWY22Lに着陸。日本とフィンランドの時差は7時間ですが、夏はフィンランドで夏時間が採用されているため、時差は6時間になります。ということは、この日のJL413便の飛行時間は9時間18分。ジェット気流の弱い夏とは言え、向かい風の中を飛び続けて9時間台前半で到達できるのだから、ヘルシンキは日本にとってほんとにヨーロッパの入口、ゲートウエイだなと感じます。

 着陸直後に、沖停めになってバスでターミナルビルへ移動するとのアナウンスがありましたが、駐機スポットまでのタキシング中にゲートが空いたらしく、14:39にいちばん端っこのゲートにスポットインしました。たぶんS55番ゲートだと思われます。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001648j:plain▲いちばん端っこのゲートに到着したJL413便。

 快適だったJALのビジネスクラス「JAL SKY SUITE Ⅲ」を降りなければならないのはまことに惜しいが、やむを得まい。

 降機した乗客たちにくっついてぞろぞろと歩いていくと、乗継客用保安検査場があり、ここはかなりの長蛇の列。この時間帯はアジア各地からのフライトが続々到着する上、乗継客が非常に多いので、ここの保安検査場はいつも大混雑している印象です。それだけヘルシンキが東方から来る人にとってのヨーロッパへのゲートウエイだということなのでしょうね。

 保安検査を受けて更に前進すると、入国審査場。日本と韓国のパスポートを持っている人は、顔認証ゲートの方を通れるので待たされることなく通過できます。日本の顔認証システムと違って、ゲートを抜けたあと必ずその先のカウンターで立ち止まり、パスポートにスタンプを押してもらう必要があります。

 こうして抜けた先のエリアは、シェンゲン・エリア。国境検査なしで国境を越えることを許可する協定「シェンゲン協定」に加盟している国(2019年4月現在、26ヶ国)へ行くフライトが発着するエリアで、5番ゲートから31番ゲートまでがあります。なので、フィンランドの国内線フライトだけでなく、ヨーロッパ各国へ行く国際線フライトが多数出ていて、出国審査なしで搭乗することができるのです。行き先がヨーロッパ各地なのでほとんどが短距離路線ということで、シェンゲン・エリアのゲートに入っている飛行機はA320などの小型機が圧倒的に多いですね。

f:id:mainichigaharu:20191206001653j:plain▲シェンゲン・エリアで見かける飛行機は小さい機材のものが圧倒的に多いです。




スカイオーベルジュ BEDD(Long Summer Vacation;その59)

f:id:mainichigaharu:20191206002200j:plain▲成田空港RWY34Lから離陸してすぐ、眼下には利根川の流れが。

 2018年7月26日、たっぷり機内食。

 ヘルシンキ行きJL413便は、所定の出発時刻である10:40に早くもプッシュバックになって、順調にRWY34Lエンドまでやってきましたが、午前中の出発ラッシュに当たったか、離陸の順番待ちの列がかなり長く、なかなか離陸ができません。

 11:10にようやくRWY34Lから離陸。離陸してすぐに利根川を跨ぎ、霞ヶ浦のあたりで旋回しながら急速に高度を上げていきます。欧州航路に乗るので、針路は北西、新潟方面へと向かいます。

  関東北部からは一時的に雲上飛行になりましたが、離陸後25分ほどして日本海の海岸線が見える頃には雲は晴れ、新潟市の東部から新発田市、胎内市、村上市にかけてのゆるやかに弧を描く海岸線がよく見えます。村上市の沖に浮かぶ粟島もぼんやりと見えますね。

f:id:mainichigaharu:20191206002205j:plain▲新潟市東部、新発田市との境あたり見ながら、日本海上空へ。

f:id:mainichigaharu:20191206002211j:plain▲新潟県最北部の沖に浮かぶ粟島がぼんやりと見えてます。

 離陸後1時間ほどして、ランチタイムの機内食の時間となりました。

 日本から欧州へ行くのは初めてと上で書きましたが、JALの長距離便に乗るのがそもそも初めて。ANAであれば、過去2回、ワシントンD.C.へ出張したときに長距離便に乗ったことがありますが、JALでの僕の最長記録は、2016年8月25日に乗った東京成田発ジャカルタ行きのJL725便で、このときの飛行時間は6時間43分でした。今回の飛行時間は間違いなくそれより長くなるはずですが、そんな長距離便の機内食はどんなんかな~?

 ビジネスクラスの機内食は、JALが2013年から展開している「空の上のレストラン 『スカイオーベルジュ BEDD(ベッド)』」。「Dine〈食べる)」「Delicious(美味しい)」「Dream(夢見ごこち)」の「D」を添えて、スターシェフと料理プロデューサーで結成するドリームチームが、「最高の食材と自由な発想で夢のスペシャリテをお届けする」というコンセプトだそうな。

  客室乗務員さんが1席1席をまわって、オーダーをとっていきます。日本発の便ではやはり和食をチョイスしたいところですが、この日のように年配の乗客が多いと和食は早々と売り切れになってしまうことがあるで、オーダーを聞きに来た客室乗務員さんにおそるおそる「和食はまだありますでしょうか」と尋ねたところ、まだだいじょうぶとのこと。よかった!では食事は和食にして、最初のドリンクはシャンパンでお願いします!
 

f:id:mainichigaharu:20191206002216j:plain▲最初のドリンクシャンパンは、先付けの「魚そうめん」と「鮪のコンフィ」とともに。

 この日の和食は「BEDD」チームの、東京芝大門「くろぎ」黒木純シェフ監修による献立とのこと。シャンパンが運ばれてくると、ほどなくして先付けも配膳。先付けは2品で、「魚そうめん」と「鮪のコンフィ」。添えられた味玉の黄身もおいしそうな「鮪のコンフィ」の方は洋食担当の東京麻布十番「山田チカラ」山田チカラシェフ監修。和食をチョイスしても洋食をチョイスしても、先付けはその両方を楽しめるのはうれしいですね。

 先付けを食べ終えるのを見計らうように、次はお弁当箱のような器に入った前菜(「八寸」っていうんですかね?)がお盆に載って運ばれてきました。おなじみ赤い鶴の箸置きがアクセントになっています。

 「薫風」と名付けられたこの前菜、フタをとってみると、あらまあ!なんと彩り豊かでお酒に合いそうなんでしょう!ここは日本酒を……とちょっと思いましたが、いやいや、今しばらくシャンパンでいこう。

f:id:mainichigaharu:20191206002222j:plain▲先付けを食べ終えると、お弁当箱のような前菜が運ばれてきましたよ。

 器の中は5つに区切られ、それぞれに凝ったお料理が詰められています。

 この日の前菜のメニューは、まず「夏野菜と若布のポン酢ジュレ掛け セロリの土佐酢漬け」。夏野菜とワカメにはポン酢でキリッとさっぱり、セロリは三杯酢に鰹節で取った出汁を加えた「土佐酢」に漬けてまろやかにさっぱり、どちらも夏らしくていいですね。

 そして「そば真砂和え」。日本を発着する国際線のフライトのエコノミークラスの機内食でそばかそうめんがつくのはよくあることですが、ビジネスクラスでそばというのは珍しいのでは。「真砂和え」とは魚卵を使った和え物のことで、ほぐしたタラコを酒や醤油で味を調え、そばの上にたっぷり載せてあります。これもお酒に合いそうだ。

 その隣は「鮑柔らか煮、南瓜、茄子揚げ出し、うどと人参のきんぴら いんげん」と、やさしい和の煮物。そして「うざく 辛子酢味噌」がまたさっぱりとしててウマイ。

 いちばん大きな仕切り枠の中にあるのは、「お造り(鮪)、田舎風出汁巻き卵、京風出汁巻き卵、丸十蜜煮、あんず蜜煮」。機内食なのにマグロの刺身が食べられるとはたまらない。脂がとろける中トロです。出汁巻き玉子を2種類の味付けで作り、丸十(サツマイモのこと)とあんずの蜜煮をはさみ、出汁巻き玉子のサンドイッチのような仕上がりになっているのも趣深し。

f:id:mainichigaharu:20191206002227j:plain▲フタをとると、なんとも彩り鮮やかなお料理の数々が登場。

 

f:id:mainichigaharu:20191206001519j:plain▲テーブル周りも広く、映画でも見ながらゆったり食事ができてうれしい。


f:id:mainichigaharu:20191206001524j:plain▲離陸後1時間20分程が経った頃の日本海上空で、おもしろい雲が見えてきました。

f:id:mainichigaharu:20191206001528j:plain▲まるで池に小石を投げ入れたときにできる水紋のように等間隔に筋雲が並んでる!

 こんなにのんびり食べていると、北京行きとか香港行きとかだと早くも着陸態勢に入って高度が下がってきそうですが、そこは長距離フライト、時間を気にせずに食事を楽しめます。

 前菜「薫風」が下げられ、メインである「台の物」が配膳されました。

 「台の物」は、「カツの玉〆」と「銀鱈味噌漬け」。どちらもごはんによく合いそう。肉料理も魚料理も味わえるメニュー構成なのもうれしい。「カツの玉〆」の方には小袋に入った七味がつき、これにちゃんとお碗に盛られた炊きたてのごはんと味噌汁、香の物が並びます。ごはんは新潟奥阿賀産コシヒカリの「雪蔵今摺り米(いまずりまい)」。新潟県東蒲原郡阿賀町所在の「農業生産法人 越後ファーム株式会社」が取り扱っているお米のようで、収穫後のお米をモミのままの状態で雪蔵倉庫に温度ムラのない雪冷熱を利用して保管し、注文が入ってから初めてモミ摺り、農産物検査、精米を行うので、お米の鮮度劣化を最小限に抑え、お米を熟成させることができるのだそうです。そんなお米を炊きたてで出されたら、おいしくないわけないですね!マジでおかわりしたかったです(たぶんできたと思うんだけど……)。

f:id:mainichigaharu:20191206001533j:plain▲メインの「台の物」は「カツの玉〆」と「銀鱈味噌漬け」。

f:id:mainichigaharu:20191206001539j:plain▲新潟奥阿賀産コシヒカリの「雪蔵今摺り米」の炊きたてごはん、おいしすぎ。

 ああ、おいしかった。ごちそうさまです。

 食後はホットコーヒーとデザート。デザートは「抹茶ロールケーキ」です。

 実はJALは、2011年9月から、機内でおいしいコーヒーを提供しようとする「JAL CAFE LINES」というサービスを行っています。日本が世界に誇るコーヒーハンター川島良彰氏が世界中から選び抜いた豆を採用し、焙煎・抽出のスペシャリストの石脇智広氏がこれにコラボするというもの。2018年7月に選ばれた「今月のコーヒー」は、グアテマラにあるコーヒーの名産地アンティグアの「サン・ミゲル農園」の中の標高1,500mの肥沃な畑で育ったアラビカ種ブルボン亜種の豆だそうです。

 ふと機窓を見ると、JL413便はすでに日本海を渡りきってもうロシア上空、夏のシベリアの平原が広がっているではないですか。

f:id:mainichigaharu:20191206001545j:plain▲食後はグアテマラ・アンティグア「サン・ミゲル農園」のコーヒーと抹茶ロールケーキ。

f:id:mainichigaharu:20191206001550j:plain▲知らぬ間に日本海はわたりきり、ロシア上空を飛行中。



Fly to Helsinki!(Long Summer Vacation;その58)

f:id:mainichigaharu:20191206002119j:plain▲3度目のヘルシンキ経由タリン行きですが、JALで出発するのは今回が初めて。

 2018年7月26日、みたびタリンへ。

 前日は、「はやぶさ38号」で仙台まで行き、仙台着が19:52。ここで時間調整のため、仙台始発の20:00発「やまびこ56号」に乗り換えて、上野到着が21:54。ここで、上野着21:50の「かがやき516号」で来た別グループと合流し、上野駅近くのホテルに投宿。明けてこの日は、京成上野発06:40の「スカイライナー5号」で成田空港へ移動しました。京成電車に京成上野から乗ったのはいったい何年ぶりのことでしょう。

 空港第2ビル駅には07:23に到着。これから載るのは10:40発のヘルシンキ行きJL413便なので、出発まではまだ3時間も時間があるのだけれど、朝食をJALのサクララウンジで食べようと思い、早めにやってきたというわけです。

f:id:mainichigaharu:20191206002107j:plain▲サクララウンジの朝食メニュー。洋食系も和食系もあって助かります。

f:id:mainichigaharu:20191206002114j:plain▲サクララウンジで外せないのが「JALオリジナルビーフカレー」。肉がゴロゴロ。

 これからヘルシンキ経由でエストニアの首都タリンへ向かうのですが、タリンを訪れるのは2017年7月と2018年1月に続いて3回目。これまでの2回は仕事の出張で、北京発着のフィンエアーで行ったので、プライベートの旅行でしかも日本から行くのは今回が初めてです。

 この日のJL413便は、63番ゲートからの出発。機材はレジJA-870JをつけたB787-9ドリームライナーです。JALのB787-9に乗るのは、ハノイ→東京成田便と東京成田→香港便に続いて3回目です。搭乗する63番ゲートはサテライトではなく本館ビルの方にあり、出国審査を抜けて右方向へ進めばすぐにあるので、サテライトまでの長い距離を歩く必要がなくてラクです。

 

f:id:mainichigaharu:20191206002131j:plain▲搭乗口は1フロア下にあって吹き抜けになっています。

f:id:mainichigaharu:20191206002136j:plain▲日本から直接ヘルシンキへ飛べるなんてうれしいなあ。

f:id:mainichigaharu:20191206002125j:plain▲JL413便の向こうには、後続の11:00発ヘルシンキ行きAY074便の姿も。

 本館ターミナルビルのゲートは、出国審査場を抜けたところから続くフロアから階段やエスカレーターで1フロア分下りたところにあり、吹き抜けになっているので、上のフロアからゲート前の搭乗待合室を見下ろすことができます。

 63番ゲートに入っているJL413便の向こうには、サテライトの方にスポットインしているフィンエアーの飛行機も見えていますね。JL413便の20分後に出発して追いかけるようにヘルシンキへ向かうAY074便です。09:50発のAY072便もあり、夏の北欧はやっぱりすごい人気なんですね。63番ゲート前の待合室にも大勢の乗客が搭乗開始を待っています。JL413便もかなり混んでそうですよ。

 10:15から搭乗が始まり、6番K席に着席します。今回もマイレージのアップグレードに成功し、ビジネスクラスに乗れるのです。こんな長距離路線のフライトでビジネスクラスに乗れるなんて超ウレシイです。

f:id:mainichigaharu:20191206002144j:plain▲ビジネスクラスはフルフラットシートがヘリンボーン形に並んだ「JAL SKY SUITE Ⅲ」。

f:id:mainichigaharu:20191206002149j:plain▲ウエルカムドリンクで午前中からシャンパンを。サイドテーブルが広くてゆとりあり。

 過去2回乗ったJALのB787-9のビジネスクラスは、シートが2×2×2列で進行方向に向かって並んでいる「JAL SKY SUITE」でしたが、今回の機材では、1×2×1列でシートがヘリンボーン形に並ぶ「JAL SKY SUITE Ⅲ」。B777-200の「JAL SKY SUITE Ⅲ」には過去2回乗ったことがありますが、B787-9では今回が初めてです。

 10:36にドアクローズになってみると、機内はやはりとても混んでいて、ビジネスクラスもいっぱいのようです。ビジネスクラス利用のお年を召した方々のツアーもだいぶ入っているように見受けられます。各席には17インチの大型モニターがあり、映し出されているフライトマップには、ヘルシンキまでの距離は7,996km、予定飛行時間は9時間20分と表示されています。僕は、日本発で欧州へ飛ぶのは実は今回が初めてでありまして、ウエルカムドリンクのシャンパンを飲みながら、ヒジョーにワクワクしております。

 さあ、ヘルシンキ行きJL413便、10:40にプッシュバックし、10:45に滑走路目指してタキシングを始めましたよ!

f:id:mainichigaharu:20191206002154j:plain▲プッシュバック中の機窓からは、錦織圭選手が描かれた特別塗装機「JET-KEI」が。

 

伝統の「八戸小唄寿司」(Long Summer Vacation;その57)

f:id:mainichigaharu:20191206002055j:plain▲これを食べずして駅弁を食べたと言うなかれ。八戸の名物駅弁「八戸小唄寿司」。

 

 2018年7月25日、八戸に停まらない。

 青森ねぶた祭で跳ねたいのはヤマヤマだけれど、瀋陽に戻るのは8月2日、青森ねぶた祭開幕初日なので、跳ねるどころか観客になることもできません。悔しいなあ。

 さて、18:24発の「はやぶさ38号」に乗ることにしよう。

 「はやぶさ38号」は、上り列車では1日に1本しかない最速達列車。始発の新函館北斗を出ると、新青森、盛岡、仙台、大宮にしか停まらない。八戸にも上野にも停まらずに、新青森から東京まで3時間切りの所要2時間59分です。朝イチの「はやぶさ4号」も上野を通過しますが、八戸には停まります。「はやぶさ38号」の2本前の「はやぶさ34号」は八戸は通過しますが上野には停まり、おまけに盛岡で「こまち34号」との併結もあります。なので、この「はやぶさ38号」が上りでは唯一無二の最速達列車なんですね。(ちなみに、下りの最速達列車は「はやぶさ5号」と「はやぶさ11号」の2本。)

 上野通過はともかく、八戸に停まらないというのは、青森市民にとっては(僕だけか?)なんかすごく特別な感じがします。県庁所在地民の優越感とでも言いますか(笑)。

 

f:id:mainichigaharu:20191206002035j:plain▲太平洋側の東北3県の県庁所在地にしか停まらない「はやぶさ38号」。

f:id:mainichigaharu:20191206002040j:plain▲18時を過ぎてさすがに夕方っぽい色合いになってきた日が差し込む新幹線ホーム。

 「はやぶさ38号」は新函館北斗から18:22に新青森駅の11番線に到着します。新幹線が新函館北斗まで伸びて、けっこう席が埋まった状態で列車が新青森に到着することがあり、混雑する車内に途中駅から乗り込むというのは、「始発駅・新青森」に慣れた者にとってはまだなんか違和感があるんですが、ホームに滑り込んできた「はやぶさ38号」は意外にもガラ空き!最速達列車だけに利用率は高いはずなのに、僕の乗った車両は隣席も周りも空席ばかりです。なぜかしら?

 自分の席に落ち着いて、「はやぶさ38号」は、ようやく暮れ色が混じってきた西日の中を、18:24の定刻に新青森を発車しました。次は、八戸には停まりませんから、178.4km先の盛岡までノンストップで走ります。
 

f:id:mainichigaharu:20191206002045j:plain▲僕の最も好きな駅弁の一つ、「八戸小唄寿司」。
 

f:id:mainichigaharu:20191206002050j:plain▲濃い味の酢で締めたサバとサケが隙間なく載る姿は発売以来60年近くが経ても不変。

 では、ごはんにしよう。

 いや、もちろん、さっき新青森駅の「ブナの森」で「ほたて十万石入りそば」は食べましたよ。でも……でも、たまにしか帰ってこない青森だけに、他に食べたいものもあるし、こういう機会に食べておかないと……というわけで、車内では八戸駅の名物駅弁「八戸小唄寿司」を食べるのです。

 「八戸小唄寿司」はこのブログにもたびたび登場していますが、僕が大好きな駅弁の一つ。2008年に発売50周年を迎えて記念駅弁も発売されましたが、ということは今や60年の歴史を有する名物駅弁です。しめ鯖としめ紅鮭の押し寿司は、60年を経てもまったく変わらぬスタイル。酢飯の酢味は濃く、酢が強すぎるとのご意見もあるようですが、いやいや、酢はこれぐらい濃くないと。

 ああ、おいしかった。新青森駅~盛岡間はトンネルばかりなので、車窓の景色を気にせず食べることに集中できてよろしい。

 盛岡が近づくと、車窓から見える空は夕暮れ色が増し、南部富士・岩手山のシルエットも見えました。「はやぶさ34号」は、新青森からノンストップで走って、19:12に盛岡に到着しました。 

 

f:id:mainichigaharu:20191206002101j:plain▲盛岡到着直前には、夕暮れ色になってきた空に南部富士・岩手山のシルエットが。