毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

久々中国鉄路、湖南省をゆく(その8;直角座席)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220051.jpg ▲坪石と広州を結ぶ列車は一日二往復。編成はこの二往復に共通運用のようです。

 2012年6月16日、普通座席車「硬座車」。
 
 坪石駅は広東省最北端の駅で、一つ北の隣駅白石渡駅はもう湖南省広東省韶関市の下の県級市である楽昌市の坪石鎮という小さな町にある駅。田舎駅だけに発着する列車も多くなく、上下合わせて一日16本の列車が停車するだけです。坪石駅のある京広線は北京と広州を結ぶ大動脈中の大動脈で、貨物列車も合わせれば無数の列車が走っていると言っても過言ではないですが、そのほとんどは坪石駅の2本のホームの間にある本線を高速で通過していくだけです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220055.jpg ▲一日16本しか列車の止まらない駅・坪石。

 こんな小さな駅ですが、この駅を始発駅にする列車が一日二本だけあります。08:45発の広州行きT8351次列車と17:15発のT8353次列車です。行き先表示サボはボードではなくシールが貼り付けてあるタイプで、この一日二往復の坪石~広州の列車専用で走っている編成なのでしょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220101.jpg ▲昔ながらの「緑皮車」が連なっていて、ウレシイ!

 さあ、いよいよ乗車です。僕の席は普通座席車である「硬座車」の3号車103番席です。車輌は前日吉首から郴州まで乗った列車と同じく22型客車、しかも昔ながらの緑色をしたいわゆる「緑皮車」が連なっています。3号車は「YZ22-331949」、定員は118人です。

 車内には緑色のビニールカバーで覆われた直角座席の4人がけボックスと6人がけボックスが通路をはさんでずらりと並んでいます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220107.jpg ▲直角座席が並ぶ「硬座車」3号車の車内。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220112.jpg ▲こちら、4人がけボックス。テーブルが大きいのは何かと便利。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220118.jpg ▲こちら、6人がけボックス。ここに6人が座るというのはちと狭いかも。

 22型客車は本来非空調のはずですが、きっとあとになって追加改造工事をしたのでしょうね。客室内の端っこの天井部分が、網棚にほとんど荷物を載せられないほどにぐっと低くなっています。ここの部分の屋根を下げて、この上に空調機器を設置したものと見られます。おかげで、22型客車なのに車内は冷房が効いていてかなり涼しい。これから広東省を広州まで下っていくのできっとかなり暑くなるでしょう。窓を開け放っていくのもいいですが、広東省あたりでは冷房が効いてくれるとやっぱりありがたいです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220129.jpg ▲空調増設工事をしたと思われる天井部分。この部分の網棚は実質使えない。

 発車時刻が近づいていますが、車内は思ったほど混んできません。中国の列車の「硬座車」と言えば満席どころか通路もデッキも人でいっぱいという印象がありますが、近距離列車の始発駅となればそれほど混みはしないのでしょう。いちばん端っこのボックスでは自分の果樹園で獲れたとおぼしきくだものをいっぱいに入れたカゴを置いて、農民さんたちがのんびり四方山話。座席の上に置いてあるカゴには、まさに今が旬の「楊梅(ヤマモモ)」が入っています。通路に置いてあるカゴは小ぶりですが桃のようですね。車内はとってものどかな雰囲気です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220125.jpg ▲くだもののカゴを置いて農民さんがまったり四方山話中。奥は同じ硬座車の4号車。