毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

Let's go to USA!!(その23;弓削道鏡神託事件)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818134844.jpg ▲再び西大門から出て坂を下る。突き当たりに見えるのは仁徳天皇を奉った若宮神社

 

 2009年5月24日、「上宮」から「下宮」へ。

 

 本殿の参拝を終えて再び西大門から外へ出ますが、この本殿はまた「上宮」とも言われています。西大門から出て宇佐鳥居を再びくぐって坂を下りてくると、突き当たりにあるのが若宮神社。824年のご神託により、852年に造営使を派遣して造営創祀されたもので、奉られているのは八幡大神、すなわち応神天皇の息子である大鷦鷯命(おおささぎのみこと)こと仁徳天皇

 

 ここを右に折れれば来るときに通った参道に沿って戻っていくことになりますが、左に折れると「下宮」に続きます。鬱蒼と茂る樹木の葉陰の下を細い参道を下って「下宮」へ行ってみましょう。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818134850.jpg 下宮へ続く細い参道。

 

 「下宮」とは、嵯峨天皇の時代(810年代)に勅願によって社殿が創建され、「上宮」の分神を鎮祭したもので、奉られている神様とその位置は完全に「上宮」のコピー。ただ「下宮」は古くから「御炊宮(みけみや)」ともいわれ農業と関係が深く、国民一般の祈願が行われていたということですから、言ってみれば「下宮」は庶民向けのお宮だということでしょうか。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818134856.jpg 木立に囲まれた「下宮」。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818134901.jpg 「下宮」の一之御殿。

 

 ところで、「上宮」では参拝客は西大門からしか入れないことは前回書きましたが、唯一「上宮」に正面からアプローチできる人がいました。「上宮」本殿正面には「勅使門」という門がありますが、ここから入ってくれば本殿の真正面に出ます。しかし勅使門を通れる人は唯一朝廷からの勅使「宇佐使(うさづかい)」のみ。正面から入ってこられる人がそれだけ限られているのですから、宇佐神宮本殿の中でいちばん重要なのはやはり本殿正面中央に奉られている神様だろうと思うのですが、前回も書いたように、最高位と言われる八幡大神は中央向かって左の一之御殿におわします。

 

 ところで、奈良時代の僧・弓削道鏡皇位を狙ったとされる事件はご存じでしょうか。日本史の時間に習った方も多いのでは。坊さんである道鏡称徳天皇孝謙天皇)とつるんで皇位を狙った絡みで信託が下ったとかどうだとか言われるのがこの宇佐神宮。結局和気清麻呂が宇佐に派遣されたことで決着を見ます。

 

 この事件、一つ妙なところがあります。天皇位が坊さんに奪われるかどうかという天皇一系あわや断絶かという前代未聞の危機に、皇室(朝廷)にとって最高の氏神であり地理的にも近い伊勢神宮には全然使いを出さず、伊勢のことなどまるで眼中になかったかのようになんの躊躇もなく宇佐神宮に使いを出していることです。伊勢にも使いを出したが宇佐にも出したというならまだわかりますが、この天皇家最大の危機に伊勢ではなく宇佐にだけ使いを出しているのは妙です。宇佐神宮の公式な「御由緒」でも、「皇室も伊勢の神宮につぐ第二の宗廟として御崇敬になり」と記していますから、宇佐神宮の位置づけは伊勢神宮の下ということになっています。それなのにどうして天皇家最大の危機に宇佐へ使いを遣ったのか?

 

 本殿の中央に「誰だかよくわかっていない」比売大神が八幡大神をさしおいて鎮座していること、弓削道鏡事件で天皇家最大の危機に伊勢ではなく宇佐に使いが出されていること、そして参拝のときの「四拍手」など、宇佐神宮にはミステリーが多いと思いませんか?これについて書いているとキリがないので、この話はこのへんでやめときますけど……(^_^ゝ。

 

 さて、「下宮」からは再び参道を戻って10形26号機関車の鎮座まします一の鳥居方面へと向かいます。なかなかおもしろい宇佐神宮参拝でした。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818134905.jpg 参道を戻ってきました。

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818134909.jpg宇佐神宮を囲むように流れる寄藻川。架かる橋が風情たっぷり。