毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

日本列島縦断夏の旅(その31;神岡鉄道)

イメージ 1 ▲終点猪谷駅へ、神岡鉄道の普通列車206Dが最後のトンネルを抜けてゆっくりと近づいてきた。

 2006年8月26日、「おくひだ2号」。

 運休が続きすっかり錆び付いてしまった線路が並ぶ猪谷駅の高山方の中で唯一錆びずに銀色の光を放つ軌道がありました。神岡鉄道の線路です。

 猪谷駅のホームは1面3線。高山方に切り欠きホームがあり、そこが神岡鉄道のホーム。しばらく待っていると、高山方のトンネルを抜けて、神岡鉄道の列車がやってきました。猪谷着11:15の206D列車のようです。単行のディーゼルカーがだんだん近づいてきて、猪谷駅のホームにゆっくりと入りました。車両の前面に「おくひだ2号」と書かれたKM-150形気動車です。

 神岡鉄道には、東京で就職して間もない頃、学生時代の友人たちと旅に出て、確か平湯か新穂高かどこかの温泉に泊まった帰りに奥飛騨温泉口駅から猪谷まで一度だけ乗った記憶があります。今となってはそのときの様子はすっかり忘れてしまいました。たった一度きりの神岡鉄道乗車体験です。

 列車は折り返しで11:26発205D奥飛騨温泉口行きとなって再び出発していきました。これが僕の神岡鉄道の見納めになりました。神岡鉄道は、鉄道部門の収入の7割以上を占め、神岡鉄道の経営を支えてきた貨物輸送が2005年に廃止されたのを受けて、2006年12月1日をもって廃止されてしまったのです。僕が訪れたこのときからわずか3ヶ月後のことでした。

イメージ 2 ▲神岡鉄道のKM-150形気動車「おくひだ2号」。車内には鉄瓶がかかった囲炉裏席があったはず。