毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

瀋陽で食べているもの(砂鍋米線)

イメージ 1 ▲職場の近所でよく食べる「砂鍋米線」。ここのお店はコンブと干し豆腐が多い。

 北京でもあまり見かけたことはなく、ましてや香港にはまったくなく、しかし瀋陽ではそこらじゅうで食べられて、あまりにもおいしいもの、それは「砂鍋米線」。

 「米線」とは、ビーフンのことですが、日本でよく食べられる細いハルサメみたいなビーフンではなく、けっこう太くて真っ白でうどんのようなもののことをいいます。これを、鶏ガラベースの白濁スープ(白湯(バイタン))と一緒に土鍋に入れ、野菜や肉などと一緒にぐつぐつ煮込んだのが「砂鍋米線」。とにかくスープがおいしいし、「米線」はわりとコシがあり、しかしうどんよりもツルリとのどごしがよく、独特の食感で、ぐつぐつ沸騰したままの土鍋が目の前に置かれると、特に冬場はもうそれだけであったまります。

イメージ 2 ▲小さいお碗に取り分けていただきます。青菜や干豆腐の細切りもたっぷり。味は「微辣」。

 職場の近所にも、お昼に食べに行ける範囲に少なくとも2軒は「砂鍋米線」の店があり、そのうち1軒は僕が利用するバス停の方向にあるので、帰宅途中に立ち寄ることもあります。上2枚の写真は、それとは別のもう1軒の方の写真です。

 帰宅途中に立ち寄れる方の店は、「過橋米線」という看板を掲げてますが、「土鍋米線」は「過橋米線」とはちょっと違います。

 「過橋米線」は、雲南省の名物です。雲南省蒙自県南湖にある小さな島で科挙の勉強にいそしむ夫のために、妻は食事を作って届けるが、夫はすぐには食べないので、食事はいつも冷めてしまう。ある時、鶏を土鍋で煮込んだものを持って行ったところ、スープの上に浮いた鶏の油のおかげでなかなか冷めず、夫は温かい食事を食べることができ、夫は喜んで勉強にも熱が入り、とうとう夫は科挙に合格した、という故事にちなみます。普通、この「過橋米線」は、ぐつぐつ煮立ったスープが入ったどんぶりと米線と具材の皿が別々に出てきて、スープが煮立っているうちにまず具材を入れて火を通し、次に米線を入れて食べるというスタイルで、スープの味ももっと薄くさっぱりしていて、どちらかというと上品な料理です。「砂鍋米線」は、最初から米線も具材も全部土鍋に入れて、土鍋を直接火にかけてぐつぐつ煮込むので、スープは濃厚で、どちらかというとワイルドです。

イメージ 5 ▲帰宅時に立ち寄るのはこちらのお店。

イメージ 6 ▲奥の方はもう電灯消しちゃってるし、全然はやってません、この店!

 ある日の午後7時、この店へ行ってみると、奥の方のスペースは早くも電灯が消され、店のオヤジが一人でテレビを大音量で見ながらタバコを吸っている。僕も思わず「あ、まだやってますか」と聞きたくなるような雰囲気。

 しかし、テーブルに就くと、オヤジが無言でお碗とレンゲと箸を僕の前に置くので、僕も注文。一人で食べるなら、米線1玉入りのと1.5玉入りのどちらかでしょう。1玉入りの方は、牛肉や羊肉、魚のすり身団子などを2種類選べて10元(=約180円)、1.5玉のほうは3種類選べて15元(=約270円)、いずれにしてもたいへん安い。1玉でもすごいボリュームがあるし、野菜もたっぷり入ってるから。

イメージ 3 ▲米線1玉、「肥肉」と「魚丸」追加、「特辣」、いっちょあがり!

 スープの味付けは、「清淡」、「微辣」、「中辣」、「特辣」、「麻辣」の5種類があり、「清淡」が鶏ガラベースの白濁スープそのままので、「ちょい辛」、「中辛」、「大辛」ときて、最後の「麻辣」はたぶん山椒をきかせてシビれるような辛さにしたものでしょう。今回は、1玉10元に「肥牛(牛バラ薄切り肉)と「魚丸(魚のすり身団子)」をチョイスして「特辣」にしてみました。とにかくおいしくて、温まって、はらいっぱいになりました。これで10元はゼッタイ安いって!

イメージ 4 ▲これで10元は、絶対におトクすぎますよ。