毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

暑い日には熱いものを。

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210840.jpg ▲ぐらぐらと泡を吹いて煮立ったまま出てきた砂鍋米線。

 こちら北京、連日最高気温が35℃を超える猛暑日が続いています。夜10時、11時になっても30℃台のままであることもしばしばです。

 こんな暑い日には、暑いものを食べて暑気払いをしましょう。

 北京の僕の職場の裏手にある袋小路にいくつか小さな食堂が並んでいます。昼時には周辺のオフィスビルからあふれ出た人々でどの店もいっぱいになります。下の写真、左端の看板がちょこっとだけ写っているのが「家常菜(家庭料理)」の店で、ごくありふれた炒め物や餃子や包子が食べられます。その右の緑地に「云南」とか白字で書いてあるのが雲南名物「米線(ビーフンみたいなの)」の店、その右の「成都小乞」という看板は四川の定番料理やぶっかけごはん、担々麺など、1軒置いて「乾晋刀削麺」と書いてあるのが文字通り山西省名物「刀削麺」の店。どの店もそれぞれにおいしく、僕はどの店も常連です。この長屋のような店の前の路上では、手製の炭火コンロを出して羊肉の串焼きを焼いている人もいます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210742.jpg 僕の胃を支える食堂街。

 今日のこの中の「雲南過橋米線」という店に入ります。
 
 「米線」とは米の粉を春雨状にしたもので、ビーフンといったほうがわかりやすいでしょうか。最近日本国内にもベトナムのフォーの店がたくさんできているようですが、フォーも一種の「米線」ですね。中国では「米線」は雲南省の名物、というか雲南省が発祥で、特に「過橋米線」というのがあってその謂われもあれこれありますが、ここではそれには触れずにおきます。この店は、その米線を土鍋でぐつぐつ煮込んで出すのがウリ。猛暑に打ち勝つにはぐつぐつ煮えたぎる熱々の土鍋米線がぴったり!というわけです。

 店内はお世辞にも広いとは言えません。所狭しとテーブルが置かれ、背中合わせに座ると背中がくっつくこと間違いなしです。ぎりぎり詰めて座って40人ってとこでしょうか。外にも二つばかりテーブルを出しているので外にも8人ぐらい座れます。掲載した写真は夕方行ったものなのでわりと空いていて余裕がありますが、お昼に行くとこのテーブルと腰掛けがぎっしり埋まって、空き待ちの行列もできるという超人気店です。店の壁には「過橋米線」の由来や食べ方が書かれてあったりして、こんなのを読みながら注文した土鍋が出てくるのを待ちます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210804.jpg 狭い店内。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210827.jpg 過橋米線の由来など。

 注文のしかたは、まずスープが4種類あるのでそれを決めます。プレーン、キノコスープ、トマトスープ、干す菜のピリ辛スープの4つ。鍋の大きさ(一人鍋、二人鍋、三人鍋、四人鍋)と中に入れる具の数を決めると値段が決まります。スープには基本的な野菜やキノコは何種類か標準装備で入っていて、これに肉類の具が何種類入るかで値段が変わります。例えば一人鍋だと、基本は10元(=約140円)ですが、これに肉類の具が1種類入ると15元になります。僕は今日は15元の一人鍋。肉類の具を1種類入れられるので僕は「魚菇貢丸」を選びました。魚のすり身団子の中にキノコのみじん切りを混ぜたものです。注文が済むとお椀とれんげと箸が配られて、できあがりを待ちます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210821.jpg 早くできないかな~~。

 あっ、できたようです。店のおにいさんがふきんで鍋の両側をしっかり持ってやってきました。

 真っ黒い土鍋が目の前に置かれます。まだぐつぐつぐつぐつ煮え立っています。それがいちばん上の写真。これは熱い。温泉が湧いているみたいです!

 しばらく経つとぐつぐつは止み、鍋の表面が見えるようになりました。たっぷりの野菜にキノコにすり身団子、真っ白のスープ、その下に米線が見え隠れしています。まずは熱々のうちにこの白濁したスープを飲んでみますが、これが実にウマイ!中国料理らしくなくあっさりとしていて、しかも味は濃厚。たまりません。まずはスープを堪能してから、お椀に米線を取り分けて、いただきまーす。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210847.jpg ぐつぐつが収まった。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210852.jpg お椀に取り分けます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210858.jpg 米線は太めです。

 土鍋米線の店で使われている米線はかなり太めです。一見普通のうどんと見間違えそうになります。食感はうどんよりもちっとしていて、のどごしがよく、野菜たっぷりのスープと合わせて、全体としてヘルシー食品なので、食べに来る人も女性客が圧倒的に多いです。

 テーブルの上にはいくつか調味料が置いてあります。醤油、黒酢、ラー油。見慣れないのは黄色い液体。この黄色い液体は僕はこの店で初めて口にしたのですが、一口食べて僕は病みつきになりました。これ、山椒油なんです。小粒でもぴりりとしびれる山椒の油ですから、香りがよく、食べているうちに口の中がびりびりシビレてきます。このシビレ感、たまりません。たっぷりかけて食べてしまいます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210831.jpg 病みつきになる山椒油。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210747.jpg 山椒油かけてみました。

 山椒油をかけて食べているうちに口の中や唇の周辺がしびれてきて、歯医者に行って麻酔を打たれたときのようになってきました。でもがつがつ食べます。スープがおいしいので、スープも一滴残らず飲んでしまいます。一人分にしては量はかなり多いと思います。れんげが全部沈んでしまうぐらい深いし、とても一人分の鍋とは思えない。これで15元(プレーンなら10元)、おトクすぎる。

 2、3人で行けばさらに直径のドでかい二人鍋、三人鍋の土鍋を注文して、みんなでハフハフ言いながら一つの鍋を突くのもまた楽しいです。北京では猛暑が続いていますが、この店の客はまったく減りません。猛暑でも大勢の人たちがここに煮えたぎる熱々の土鍋米線を食べにやってきます。食べ終わる頃には全身汗びっしょりになりますが、これぞまさに熱を以て熱を制するの境地。ごちそうさまでした。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210759.jpg ▲というわけで、完食。ごちそうさまでした~。