夏の津軽は「あけぼの」で⑥(風の町・蟹田)
▲宿の窓から眺めた朝の龍飛漁港。夏霞であまり遠くは見えないです。
2005年7月17日(日)、龍飛崎、朝。
龍飛崎で朝を迎えました。宿の部屋の窓から朝7時前の龍飛漁港が見下ろせます。この日の天気も上々。また暑くなりそうです。
▲穏やかに日の光を映す平舘海峡。
朝食を終えてチェックアウトを済ませ、有名な「階段国道」を歩いておりてみることにします。階段なのになぜか国道に指定されている国道339号線、その下り口は「津軽海峡冬景色」碑のすぐ脇にあります。龍飛漁港とその向こうに広がる津軽海峡とむつ湾を眺めながらのんびり階段を下ります。
階段国道の下り口。
階段を下りきって、車も通れる国道339号線に出て左に折れ、龍飛漁港を右に見て進むと、その突き当たりが龍飛崎の先端にあたり、そこには太宰治の文学碑があります。太宰曰く「ここは本州の袋小路だ。読者は銘肌せよ。」と。これも小説「津軽」の一節です。太宰はこれに続けて「諸君が北に向つて歩いてゐる時、その路をどこまでも、さかのぼり、さかのぼり行けば、必ずこの外ヶ浜街道に到り、路がいよいよ狭くなり、さらにさかのぼれば、すぽりとこの鶏小舎に似た不思議な世界に落ち込み、そこに於いて諸君の路は全く尽きるのである。」と書いています。
太宰文学碑、「津軽」の一節。
おなじみの写真である。
「龍飛」バス停。
太宰の文学碑も見て、龍飛崎をあとにする時間になりました。一日たった六本の三厩駅行き三厩村営バスの09:07発に乗って、三厩駅まで戻ります。
ところが、三厩駅まで戻るのはよいのですが、津軽線は08:05の蟹田行きが出てしまうと次は12:53の蟹田行きまで列車がありません。しかし昼過ぎまで待つわけにもいかないので、昨夜のうちに予約して三厩駅前で待っていてもらっていたタクシーに乗り、津軽二股駅まで移動しました。移動手段がない以上、タクシー代の出費はガマン、です。
ところが、三厩駅まで戻るのはよいのですが、津軽線は08:05の蟹田行きが出てしまうと次は12:53の蟹田行きまで列車がありません。しかし昼過ぎまで待つわけにもいかないので、昨夜のうちに予約して三厩駅前で待っていてもらっていたタクシーに乗り、津軽二股駅まで移動しました。移動手段がない以上、タクシー代の出費はガマン、です。
三厩駅から津軽二股駅まではタクシーで10分ほどです。そして、津軽線津軽二股駅の上側には海峡線の津軽今別駅が隣接していて、たまたまこの時間帯に津軽今別駅に停車する青森方面行きの特急があるので、それを利用することにしたのです。1014M特急「スーパー白鳥14号」の津軽今別発は10:11。それまで津軽二股/津軽今別駅に隣接し列車の待合室も兼ねている「半島プラザ・アスクル」で観光物産案内などをのぞいて過ごしました。
草蒸す線路の上には津軽今別駅。
待合室も兼ねた「アスクル」。
高規格で直線の複線がすぅっと伸びる津軽今別駅に「スーパー白鳥14号」が入ってきました。自由席に座りますが、次の停車駅・蟹田で降りるつもりです。特急ですが、木古内~蟹田の特例区間内ですので特急券は要りません。なんかトクした気分。しかし蟹田まではたった12分。あっという間でした。
津軽今別駅は境界駅。
津軽今別駅から青森方を望む。
今や蟹田駅はJR東日本とJR北海道の実質的な境界駅で、ホームに太宰治の「蟹田ってのは風の町だね」という言葉を彫った駅名標が立っているのでご存じのかたも多いでしょうけれど、蟹田駅で降りたことがあるかたは少ないのでは。実は僕も地元にいながら蟹田駅の外に出るのはこれが初めてでした。今回はなんとなく太宰の小説「津軽」をたどるような旅になっているので、蟹田でも太宰の足跡を訪ねてみたいと思います。
たった12分で蟹田に到着。