毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「彗星」、関サバ、それから臼杵⑥(前略)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111138.jpg ▲雨のそぼ降る下灘駅へ。


 2005年5月1日(日)、松山。

 前日の晩は松山一の繁華街「大街道」の近くにある伊予ポジョ専門店で愛媛の地鶏「伊予ポジョ」に舌鼓を打ち早々に休んだのですが、一夜明けてみると松山はひどい雨。

 ありゃー せっかく「下灘駅」に行こうと思っていたのにー。

 「下灘駅」、みなさんご存じですよね。JR四国予讃線にある「青春18きっぷ」のポスター登場回数最多駅。今回はここへ行ってみたくてわざわざ九州から渡ってきたのですが、強い雨にたたられてしまいました。しかしそれでも、決行です。

 こちらが乗るのは09:11発の伊予長浜経由宇和島行き普通列車4727Dです。オール・ロングシートのキハ54形というのが気に入らないけれど、しかたないです。普通列車の車輌にもアンパンマンキャラクターのステッカー(4727Dにはカレーパンマン)が貼られ、さらには野球の日本版独立リーグである四国アイランドリーグのチームの一つ「高知ファイティングドッグズ」のヘッドマークまで付いていました。
 アンパンマン列車の1054D特「宇和海4号」が到着するのを待って、こちらが発車です。


 松山から伊予市までは電化区間伊予市の次の向井原を出ると、内子線廻りの特急街道から分かれて、海沿いの線路へと入っていきます。伊予上灘までくると車窓は瀬戸内の景色に変わり、雨にけむる海を眺めているうちに列車は下灘に到着します。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111216.jpg灘駅を発つ4727D。

 かつては二面三線もあったホームも一線を残して埋められてしまった下灘駅。列車を降りると、すぐ下を通る国道を走る車の音を除けば雨の音ばかり。下灘駅もすっかり雨に降り込められていました。でも、よく手入れされた駅の花壇では花が美しく艶やかに咲き誇っていました。雨の下灘駅も、悪くありません。

 下灘駅が取り上げられた青春18きっぷのポスターのコピー、覚えていらっしゃいますか。このコピーを思い出しながら、しばし下灘駅の写真をごらんくださいませ。

 1999年冬の青春18きっぷ、コピーは「駅に着いた列車から、高校生の私が降りてきた。」
 2000年冬のコピーは「思わず降りてしまう、という経験をしたことがありますか。」
 2001年冬のコピーは「前略、僕は日本のどこかにいます。」

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111224.jpg 前略、僕は日本のどこかに。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111228.jpg灘駅、雨降り止まず。

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111244.jpg 下浜の漁港も雨に塗り込められ。

 さて、雨の降り止まぬ下灘駅を去る時間になりました。

 雨の中をやってきたのは八幡浜始発の松山行き普通列車4728D。四国特有のキハ32形のキハ32-6で、これまたオール・ロングシート四国アイランドリーグヘッドマークは「愛媛マンダリンパイレーツ」です。下灘滞在はわずか30分ちょっとでした。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111247.jpg ▲雨を衝いて下灘駅へ入ってきた4728D。

 下灘から松山までちょうど40分。雨に濡れて湿った体を温めるにはもちろん温泉です。駅前からいよてつの路面電車に乗って道後温泉へ行き、道後温泉本館で湯に浸かります。
 個人的には道後温泉本館はとても好きです。完全観光地化されているのは間違いありませんが、その建物や温泉そのものが持つ歴史、湯殿の造り、すっきりとしたお湯、熱さ加減、男性には脱衣場はないからこの場で着替えてくださいという大胆な休憩広間、熱い風呂上がりに出てくる熱いお茶、それらの一つ一つがなんだかとても気に入っています。
 しかしさすがにGW。道後温泉本館の入口はものすごい人でごった返していました。人が多すぎで入場制限がかかり、整理券を取った上で順番待ちです。でも下灘駅ですっかり冷え切ってしまったし、ここは待ってでも入りたい。やっと入れたお湯は、混んでいたのはしかたないけれど、いつもどおりのすっきりとした熱い湯で、しっかりと温まることができました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111143.jpg 大混雑、道後温泉本館正面。

 温まったら道後温泉駅前からバスで空港へ向かいます。路面電車道後温泉駅と坊ちゃん列車を正面に眺めながらバスを待ちますが、バス停のすぐそばにローソンがあったので入ってみたら、ありましたありました、地ビール「道後ビール」。ケルシュタイプの「坊ちゃんビール」、アルトタイプの「マドンナビール」、スタウトタイプの「漱石ビール」がありますが、全部は飲んでいられないので「坊ちゃんビール」だけを一本買って、バス停前でぐい飲み。風呂上がりのビール、なぜにこんなにウマイのか。


https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111155.jpg 坊ちゃん列車も休息中。

 松山空港からは13:55発羽田行きJAL1466便に乗る予定ですが、折り返しとなる羽田からのJAL1465便が少々遅れていたので、雨の中展望デッキへ上がってみました。遠くに霞をたなびかせた山々も見える中、13:35になってようやくJAL1465便が海側からアプローチしてきてランディング。そろそろ搭乗待合室へ行かねばなりません。駆け足でめぐった寝台特急「彗星」、城下町臼杵、下灘駅、どこもよいところばっかりだったなあと思いつつ、僕は展望デッキをあとにしました。

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https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111206.jpg 羽田行きJAL1466。機材はB767