毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「彗星」、関サバ、それから臼杵④(セキサバ)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111011.jpgフンドーキン醤油の工場はインパクト大。


 2005年4月30日、大分臼杵

 石仏、満月寺と汗ばむ陽気の中をたっぷり歩いたあとは、臼杵三大名園の一つ春光園を眺めながらの贅沢な昼食といきましょう。

 もとは臼杵藩主稲葉家の目付け役であった家老稲川氏の屋敷であったという「料亭春光園」におじゃまします。ここの庭園は茶人小堀遠州の作といわれ、初春の月光を浴びた景色を讃えて名付けられたとか。京都風の純和風の日本庭園ですが、近年専門家によると中国の影響を受けた形跡もあるのだそうです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111015.jpg 料亭春光園の玄関。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111019.jpg 美しい庭園を眺めながらの昼食。

 屋敷の奥まった一室に通されてテーブルにつくと、窓越しにその庭園を眺めることができます。こんな美しい庭を眺めながら食事ができるなんて、うれしいーー。まずは冷たいビールをぐいぃっと…… ぷっはーーー うまっ!!

 臼杵には臼杵独特の食べ物がいろいろあると聞きます。臼杵と言えばフグが筆頭のようですが、関サバ・関アジで有名な佐賀関からも近いですし、豊後水道から揚がる魚介類や、きらすまめし、黄飯、だんご汁、とり天、やせうまなど臼杵や大分の郷土料理も豊富です。
 今回おじゃました「料亭春光園」はフグ料理が有名ですが、サバ好きの僕としては関サバを中心とした料理をお願いしておきました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111024.jpg フグ皮揚げなど軽く前菜から。

 天保の改革での倹約令の名残と言われ、刺身をとったあとの切れ端を利用した倹約料理を元祖とする臼杵料理「きらすまめし」などを当てにビールを飲んでおりますと、さっそくやってまいりました関サバ、イヤと言うほど。ちょっとちょっと、このサバ、大きすぎませんか?すると女将曰く「大きさばかりはその日に獲れてみないとわからないもので……今日は大きかったので三分の一ぐらいはタタキにしてみました。」
 なんと贅沢な。サバは足が早いので、東京あたりで酢締めにしない生のサバの刺身を食べることはまずありません。サバをタタキにするという食べ方も東日本ではまずしないでしょう。それが今目の前に、この日佐賀関に揚がったばかりの大きな関サバが刺身となりタタキとなって大皿に盛られて並んでいるのです。くぅ~~っ、うれし涙もこぼれようってもんです。刺身は刺身醤油にワサビで、タタキはニンニクのスライスをはさんで醤油だれで、文字通りぱくぱく頬張ります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111028.jpg ▲キタッ、セキサバ!でかすぎ。写真じゃよくわかりませんが、この皿、すごく大きいんです。

 まっいっうーーー(*^o^*)。ウマイっっ!冗談抜き掛け値なしにおいしい!刺身のとてもしっかりした歯ごたえ、つややかな脂、ほのかな甘み。タタキの香ばしさ、焼き目の中にとじこめられた肉汁、ニンニクスライスと醤油だれとのベストマッチ。これは、これは、これは…… 女将さんっ!!ごはんくださいっ!
 特にこのタタキがですね、ごはんによく合うのです。ビールを飲むのも忘れて、関サバをおかずにごはんを三杯もおかわりしてしまいました!

 他には出始めたばかりのハモの梅肉添え、蝦しんじょのお吸い物などぞろりぞろりと素晴らしい料理が並び、もう途中で気が遠くなりそうでした。
 部屋の中も、縁側から眺める庭も、あくまでも静かで、食後はお茶を飲みながら庭に出たり縁側に腰掛けたりして、関サバでいっぱいのおなかを休めました。ああ、こんなすばらしい食事ができるなんて、なんて臼杵はいいところなんだと、臼杵に対する好感度さらにぐぐっとポイントアップして春光園をあとにしました。どうもどうも、ごちそうさまでした。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111032.jpg 庭の向こうには白壁の蔵。

 一時間半近くたっぷり時間をかけて食事をしましたので、腹ごなしに臼杵の町をそぞろ歩きます。

 まずは川端に出ると、川向こうに大きな大きな「金」印が掲げられた工場らしき建物。臼杵の誇るフンドーキン醤油の工場です。別の機会に臼杵市内のスーパーでフンドーキンが出しているかぼすドレッシングを買いましたが、とてもおいしくてまたほしいなあと思っています。だいいち、「フンドーキン」というネーミングが、昔から臼杵でこつこつを醤油を作り続けてきた感じがして気に入っています(あとで調べたらフンドーキン醤油の創業は1861年だそうです)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818111036.jpg 川向こうにフンドーキン。