毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

興城古城(ANA機内誌でも特集掲載!;その7)

イメージ 1 ▲興城古城の名物と言えば、「興城古城特産 楊氏 黒芝麻糕」。

 2017年6月10日、歯が立たぬ。

 興城古城の記事のおまけとして、最後に一つ、名物をご紹介しましょう。

 それは「花生糕」というお菓子。僕が買って帰ってきたのは、ほぼ立方体の白い箱に掛け紙がしてあり、掛け紙には「興城古城特産 楊氏 黒芝麻糕」と文字が入り、木の幹を利用した台のようなものの上にあるものに二人の男が木槌を振り下ろしているイラストが描かれています。これが興城古城名物。

イメージ 2 ▲箱の中には、なにやら妙に硬いかたまりが。

 フタを開けてみると、中には薄いビニールに包まれて、正方形のレンガのような分厚いかたまりが二つ、入っています。上の方のかたまりは持ち運びによって欠けてしまい、いくつかの破片に割れてしまっていますが、見るからに硬そう。「黒芝麻糕」という名前が示すとおり、黒ごまが散りばめられているのがわかります。

 このずっしりと重いかたまりを、お皿の上に出してみます。

 おお~、こりゃホントにレンガというか、コンクリートブロックみたいだなあ。ガチガチに硬くて、へやするとお皿が割れそう(笑)。しかしながら、これは食べ物でありますので、食べてみます。

 四分の一ほどに割れたかたまりをかじってみると、……かたっ!いや、ちょっとこれ、文字通り全然歯が立たないんですけど。これはまったく歯では割れない。カナヅチを使って更に小さく砕いて、ようやく口に放り込むと、おお!落花生の香りが口中に広がり、ザクザクとした食感はなかなかワイルド。そして、甘い。あっっまーーーー!こりゃ甘いわ!!甘いーーーー。疲れたときの栄養補給にいいかも。

イメージ 3 ▲お皿に出してみましたが、コンクリートブロックみたいです、まさに。

イメージ 4 ▲黒ごまが散りばめられているのはわかりますが、それ以外はいったいなんなのか……

 これは、清の乾隆帝の時代に始まったと言われる興城名物のお菓子。河南省あたりから戦乱を逃れて興城の地にたどり着いた人々が、興城では良質の蜂蜜と落花生が豊富に獲れることから、故郷の落花生を使った手作りお菓子のワザが廃れるのは惜しいと考えた河南の人々が、興城の蜂蜜と落花生を使って作ってみたのが始まりで、「花生糕」と呼ばれています。今回僕が手に入れたものは黒ごまも入っているので「黒芝麻糕」というわけです。

 米粉に落花生や蜂蜜を練り込み、これを木槌でひたすら叩きまくり、叩いて広がってきたらひっくり返してまた叩きのばす、の繰り返し。興城古城の中には、そのリズミカルな槌音と威勢の良いかけ声が響き渡り、できたての「花生糕」をノミとカナヅチで割って口にほおばると、なんとも言えぬ素朴な甘さが口いっぱいに広がります。

 興城古城を特集したANA機内誌「翼の王国」2017年9月号には、木槌を振り上げて「花生糕」を作っているところの写真も掲載されているので、見てみてくださいね!

イメージ 5 ▲ANA機内誌「翼の王国」2017年9月号の特集ページ。 「花生糕」を作っているところ。