毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

セイロンティー150周年(念願かなってセイロンティーの旅;その30)

イメージ 6 ▲ホテル内には150周年のプレート。写真はセイロン製茶業の創始者James Taylor。

 2017年4月23日、回る発電機。

 前の記事でも書きましたが、このホテルは、かつては紅茶工場だった建物を改造してホテルにしたもので、ホテル内には、1879年から2003年までの歴代の工場支配人の名前をずらりと記したプレートも飾ってありました。工場支配人の名は2003年まで記されていますが、この建物自体はもっと早い段階で使われなくなってしまっていたらしく、それを改造してホテルとしてオープンしたのは1996年のことだそうです。

 この場所で営まれることになった「ヘザーセット茶園(Hethersett estate)」の初代支配人はフラワーデュー氏(Mr. W. Flowerdew)。就任は1879年。だからだと思いますが、このホテルに1室しかない最上級スイートは「フラワーデュー・スイート」と名付けられています。

イメージ 7 ▲このホテルがまだ「ヘザーセット・ファクトリー」だった頃の歴代支配人リスト。

 ホテルの中には、かつて工場だった名残が随所に残っています。その最たるものは、地階から最上階の天井までの吹き抜けでどの階からも見下ろせる、地階に設置された発電機。「ヘザーセット・ファクトリー」に1936年に据え付けられた2つの発電機エンジンのうちの1つだそうです。かつて80馬力あったエンジンは、今は5馬力に落とされ、茶葉工場時代の雰囲気を伝えるために、毎日午後7時15分から30分間、実際にこのエンジンは稼働し、ごぅんごぅんという音がホテルの中に響くのでした。

イメージ 1 ▲ホテルの中央は吹き抜けで、これは4階から撮った写真。3階部分に大きな滑車が飾られてます。

イメージ 2 ▲吹き抜けは一気に地階の床まで見下ろすことができます。

イメージ 3 ▲地階には、1936年に設置された発電機エンジンがあり、当時の雰囲気そのままにちょうど稼働しているところ。

 1階の階段の上り口には、「Celebration of 150 years of CEYLON TEA (1867-2017)」と書かれたプレートが掲示してありました。プレートに描かれている人物は、ジェームス・テーラー(James Taylor)。セイロンの製茶業の創始者で、1852年にセイロンに渡航し、あれこれあった後に、キャンディのルーラコンデラ茶園(Loolecondera estate)で手に入れたわずか77,000㎡の茶畑から、1867年に本格的な製茶業に乗り出したのだそうです。その後、トーマス・リプトンがセイロンへやってくるなどして、セイロンの製茶業は大いに発展し、それから2017年で150年、セイロンティーは押しも押されもしない世界ブランドになっていますよね。

 ホテルの中には、工場時代を偲ばせる写真や道具類が展示され、さながら博物館のよう。茶葉も展示されて、茶葉の種類や紅茶の作り方などについて学ぶこともできます。こうした展示を眺め、眺め飽きたらソファに身を沈めて休み、次はティー・テイスティング・コーナーへ足を運び……などなど、1階のフロアだけでも見応え十分です。

イメージ 4 ▲南インドからの労働者がヘザーセット・プランテーションを支えていたそうです。

イメージ 5 ▲イギリスの秤メーカー「W&T Avery」社の茶葉秤。このメーカーはいまもある。