毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ランプ灯る青荷温泉(2016年月イチ日本・11月編;その5)

イメージ 2 ▲玄関の吹き抜けの天井から吊り下げられた5つのランプ。

 2016年11月10日、ほんのりと。

 青荷温泉は、黒石市の東のはずれ、八甲田山西麓の山中にある一軒宿。開湯は昭和4年と言われており、ランプの宿として全国に知られています。僕もここは大好きな温泉の一つで、このブログにも何回も記事をUPしています。

 そしてここは「温泉」と「退屈」しかないお宿。部屋の中にはコンセントがないのでもちろんテレビも冷蔵庫もなく、明かりも灯油ランプしかないので暗すぎて読書もできません。携帯電話は圏外だし充電も不可能。大広間での夕食も、ランプの明かりしかないので、料理がなんだか暗くてよくわからず口の中に入れてみて初めてわかるというぐらいです。

イメージ 1 ▲この明かりだけでひと晩過ごすことができるしあわせなお宿。

 そんなわけで、このお宿では、温泉に浸かるか退屈するかしかないという、なんともしあわせなことではないですか。

 そこで、僕はここへ泊まりに行く時はいつも、黒石駅に到着した時に、駅に併設されているスーパー「コープあおもり黒石店」で、おつまみなどの食料とお酒をたんまり買い込みます。日が暮れてランプに火が灯り、「退屈」タイムが訪れたら、ゆっくりと酒を飲むのです。そして温泉に浸かりたくなったら浸かりに行き、戻ってきてはまた酒を飲み、また浸かりたくなったら浸かりに行き、の繰り返しです。他にすることがないのだから、こうやって過ごすしかありません(^^)。

イメージ 3 ▲玄関のランプ、その奥に帳場と、宿泊部屋へ続く廊下が見えます。

 この日の宿泊客はそれほど多くなく、希望どおり2階のいちばん奥の角部屋の207号室を割り当ててもらえました。夕食が終わると、館内はひっそりと静まりかえってしまいます。日が暮れて暗くなってから味が出るのは総ヒバ造りの「健六の湯」と少し小ぶりな「内湯」。ゆっくりと浸かってから部屋へ戻れば、窓の外へ出しておいたビールと日本酒がよく冷えていて、またまたお酒が進みます。自分で布団を敷いてごろりと横になるのもよし。ランプの火と石油ストーブの火がゆらゆらと揺れて、青荷の夜は更けていきます。

イメージ 4 ▲本棟奥の階段。このやわらかい灯りがたまらない。