毎日ヶ原新聞

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魚津パワースポットその①「蛇石」(夏の旅、北へ南へ時々台風;その7)

イメージ 1 ▲片貝川に沿う杉林の中をひたすら歩いて進みます。熊除けの鈴がちりんちりん。

 2016年8月12日、アメフラシ。

 ありそドームの次に友人が連れて行ってくれたのは、魚津市内を流れる片貝川のずっと上流の方でした。

 さっきありそドームの展望塔から眺めてわかったとおり、富山県は3,000m級の立山連峰が連なっているのに、平野部分がたいへん狭いので、県内を流れる河川は急流ばかりで、特にこの片貝川は、標高2,414 mの水源から始まって、わずか27kmで富山湾に注いでおり、その急流度は日本一!他にも、早月川、上市川、常願寺川、黒部川、小矢部川など、国内トップクラスの急流が目白押しです。

 片貝川に沿って県道331号線をどんどん山手へと車で走っていくと、やがて民家は途切れ、田畑も途切れて山道となり、ありそドームから40分ほども走ったでしょうか、約20kmで、洞杉群駐車場に到達します。アスファルト敷きの駐車スペースと簡易トイレがあり、ここから先は一般車両は進めないようになっています。周囲にはもはや背の高い杉の生い茂る森林しかなく、ここから先は舗装道路を徒歩で進むことになります。

イメージ 2 ▲オタマジャクシが何匹か写っているのが見えますか?何十年ぶりに見たかしら。

 歩き始めてすぐ左側に、モリアオガエル生息地という案内板が立ててあり、道路脇が水たまりになっていて、その中を眺めてみると、おお!いるいる!オタマジャクシがいっぱい泳いでいるではありませんか!しかもけっこう大きい!オタマジャクシなんて見たの、いったい何十年ぶりかしら?なんかなつかしい(゚゚)~。

 それにしても暑いよ。周囲は鬱蒼と茂った杉林ですが、道路には日陰はほとんどなく、真夏の厳しい日差しが照りつけ、しかも道は上り勾配。これは厳しい道のりだ。友人は「このへんは熊が出るかもしれないから」と行って、腰に吊す鈴は持って来たものの、水などは準備してきておらず、これは熊より脱水症状が心配な状態です(涙)。

イメージ 3 ▲急流過ぎて石が小さくなれないままごろごろと転がる片貝川。ふだんは水流は多くない。

 歩き始めた駐車場から約2km、片貝川にかかる橋を渡った左側になにやら案内板が。ここに、「蛇石」があるらしい。

 舗装道から脇に入って最初に目に付くのは、木製の鳥居を前にして杉の木の根元に鎮座する祠。「龍石神社」または「龍石祠」を呼ばれており、その奧を河原へ下りていくと、そこに「蛇石」がありました。

 「蛇石」は、「龍石」とも呼ばれ、白い花崗岩に黒い輝緑岩が帯のように貫入していて、その模様はあたかも石に龍が巻き付いているかのよう!

イメージ 5 ▲これが「蛇石」だ!!

イメージ 6 ▲水流は少なく、周りも似たような石ばかりなので、ちょっと目を離すと見失ったりして。

 その昔、巨岩に巻きついていた龍が、三太という狩人に退治されたのを恨みに思い、たちまち雷鳴がとどろいて大洪水が起きたという伝説から、干ばつの時に「蛇石」を叩くと必ず雷雨を伴うとされていて、たたくと豪雨になるといわれていて、爾来、片貝川に豊富な水量をもたらす神として祀られているそうな。

 叩けば雨を降らせるのですから、当初は農業の神様として祀られていたようですが、近代になると、水力発電が盛んなこの地域では、電力事業の神様としても崇められるようになり、1941年(昭和16年)には、北陸電力前身の北陸合同電気が「龍石神社」を造営し、今も神社の管理などは北陸電力が引き受け、春秋の年に二回、祭礼を営んで、片貝川水系の農業と電力事業の発展を祈願するそうです。

 それにしても、河原は大きな石がごろごろ。急流すぎて、小さく摩耗する間もなく巨石が転がってくるからでしょう。いったん大雨となると、すごい濁流に急変するのでしょうね。

イメージ 4 ▲北陸電力が春秋二回の祭礼を執り行う「龍石神社」。