毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

島根地酒三昧(旅するニッポン、春たけなわ;その17)

イメージ 2 ▲古民家を使った「湯宿 草菴」の食事処で夕食の始まり。まずは「前菜」から。

 2016年4月3日、地酒に合います。

 部屋付きの広い浴室でゆっくり温泉に浸かったあとは、チェックイン手続をしたレストラン棟「すゞ奈」で夕食です。

 いつ建てられた建物かわかりませんが、黒光りした柱や床板、壁板の古民家は、その工夫された調度ともあいまって、とても落ち着いた雰囲気。古く狭い木の階段を上り、二階のテーブルに通されました。完全な個室ではありませんが、仕切りと壁で他の客は見えないようになっています。桜満開のシーズンの週末だけあって、どのテーブルも埋まっているようです。

イメージ 5 ▲まずは風呂上がりの冷たいビールから。もちろん、キリンラガー。

 前菜がしつらえられたテーブルに就いて、なにはさておき、まずは風呂上がりの冷たいビールはキリンラガー。ウマイ。

 それでは、「湯宿 草菴」の料理長・山崎要一郎氏の料理の数々を楽しむことにしましょう。

 「前菜」は、食前酒、平目の子旨煮、クレソンのひたし、若布ジュレ、昆布麺 あご出汁つゆ、林檎の梅酒煮 ドライトマトペースト、自家製クリームチーズ寄せ、自家製塩辛の細巻き、そして烏賊煎餅。「前菜」だけでもいろとりどり、どれも酒の肴にぴったりな感じ。自家製クリームチーズの上に載っているのはトンブリの実でしょうか。まったりと濃厚な味わいに、日本酒か白ワインがほしくなります。

イメージ 1 ▲紙で封をしてあるグラスは昆布麺。中にたちこめたあご出汁の香りをまず楽しめます。

 手書きのドリンクメニューは、なかなか充実のラインナップ。特に島根県の地酒は一つの銘柄に一ページを割いて、蔵元情報など詳しい解説付きで、しかも豊富な品揃え。前日、松江市内の「呉竹鮨」で隣り合わせた常連客さんが「美味いんだがなかなか手に入らないんだよ」と言っていた池月酒造の「誉池月」がここにはあっさりあったので、まず一銘柄めはこれに決定。

イメージ 3 ▲シンプルだが趣深い陶器で出てきた「誉池月」はほんの少し琥珀色。

イメージ 4 ▲手書きの詳しいメニューがあって、目を通すだけでも楽しい。

 手書きメニューによれば、出された「誉池月」は佐香錦を使った精米歩合60%の純米無濾過生原酒。「しっかりとした酸を感じるスッキリとしたお酒。時間がたつにつれ、重厚なボリュームのある飲み口へと変化します」とあるとおり、最初は「お、これは飲みやすい!」と感じるスッキリ感が強いのですが、食事とともに飲み続けるうちに、いつの間にかどっしり感に変わっているのがよくわかりました。ウマイ酒です。

 そんな「誉池月」の肴には、「台のもの」に紅ズワイガニの釜あげ、「焼きもの」にのどぐろの塩焼きとあしらい一式と続きます。どれもウマイ。

イメージ 6 ▲山陰日本海の紅ズワイガニを味わえるシーズンもそろそろ終わり。陶器グラスの中はかにみそ。

イメージ 7 ▲松江出身のテニスプレーヤー錦織圭の発言で一躍有名になった(?)山陰日本海のノドグロ。

イメージ 8 ▲富山湾のノドグロが最高だと思うけど、このノドグロもふっくらとして超オイシイ!

 次のお酒は、赤名酒造の「絹乃峰」特別純米無濾過生原酒。飯石郡飯南町産酒米「神の舞(かんのまい)」を100%使用した、精米歩合60%、日本酒度プラス10のかなりの辛口酒。アルコール度数18度以上19度未満と少し高め。「爽やかでフルーティな華やかさのある香りと味わいが楽しめる」とありますが、このお酒はスゴイ。華やかさがものすごく全面に出ていて、主張するお酒。食事に合わせてというよりは、ただ飲むだけで楽しんだ方が楽しめるのではないかと感じられる強さがありました。

 そして旬の魚盛り合わせの「お造り」は、大トロに鯛の昆布締め、ウニにサヨリ、そしてタコの梅ソース添え。ああおいしい。地酒に合い過ぎ。酒が進む、どうしても進む。いかん、飲み過ぎる。

イメージ 9 ▲次のお酒は飯石郡飯南町赤名の赤名酒造「絹乃峰」特別純米無濾過生原酒「神の舞」。

イメージ 10 ▲しゃっきりとした生タコからねっとりとした大トロまで、全部が酒に合う。