毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

湯宿「草菴」(旅するニッポン、春たけなわ;その16)

イメージ 8 ▲古民家を再生した出雲湯の川温泉の湯宿「草菴」。こちらはレストラン棟「すゞ奈」。

 2016年4月3日、ゆったり湯宿。

 荘原駅前の道を米子方へ少し歩くと、踏切があり、ちょうど遮断機が下りたところ。高速で駆け抜けて行ったのは鳥取発新山口行きの3005D特急「スーパーおき5号」でした。鳥取から新山口までの所要時間は5時間13分ですが、今やこれだけ長く走る特急もずいぶん少なくなったのではないでしょうか。

 そしてこの踏切を渡り、汗ばむ陽気の中を、両側に田んぼが広がる道を南へとてくてく歩きます。初めて行くところなので、どこまで歩けば目的地に着くのかがわからず、もしかしてもう通り過ぎちゃったんじゃないかと心配になってきょろきょろしながらの行軍です。かなり不安になった頃、前方に人影が見え、やっとたどり着くことができました。1kmは歩いたな。

イメージ 1 ▲湯宿「草菴」の新宿泊棟「紫雲閣」の一階にあるラウンジでは宿泊客が自由にくつろげます。

イメージ 2 ▲ドアを開けて外の小さな庭に出ることもでき、外にもテーブルがあります。

イメージ 3 ▲クラシックが静かに流れるラウンジにはちょっと個室風の一角も。

 このあたりは、和歌山県龍神温泉、群馬県川中温泉とともに「日本三美人の湯」に数えられる、出雲市斐川町の「湯の川温泉」なのです。こんなところにそんな有名な温泉があろうとは、今の今まで知りませんでした!さっき荘原駅で降りたときも、田んぼにはさまれた道路を歩いていたときも、このあたりで温泉が湧いているとはとても思えなかったです!

 そして、初の「湯の川温泉」訪問で選んだお宿は「湯宿 草菴」。「古民家の再生と洗練されたヨーロッパ・アンティーク家具との融合」をコンセプトに、もともと田畑だった土地に木々を植え雑木林を造り、古民家を改築して生まれた自然豊かな全10室のお宿です。

イメージ 4 ▲宿泊することになった「吉」の部屋の寝室も、まさに和洋混在。

 茅葺きの門で宿の方に出迎えられ、雑木林の中の道を少し歩いて、まずは「すゞ奈」というレストラン棟に通され、ここでチェックイン手続き。それから、新宿泊棟「紫雲閣」一階にあるラウンジに通されて、コーヒーなどを自由に淹れてくつろぎながら待っていると、やがてその隣にある「吉」というお部屋に通されました。これが今宵ひと夜の宿。これはすばらしい。舶来物を取り入れた明治期のホテルの部屋のよう。リビングは洋風ですが、文机を置いた畳敷きの小間もあり、実に落ち着きます。

 奥の方には、窓を開け放せる広々とした浴室もあります。素っ裸のまま庭に出て湯冷まししながら、いつでも何回でもかけ流しの温泉が楽しみ放題だなんて、なんと素晴らしい宿なのでしょう!

イメージ 5 ▲「吉」の部屋のいちばん奥にある半露天風呂の浴室。広すぎる!

イメージ 6 ▲かけ流しの温泉がこんこんと流れるこの場所を独占できるなんて!

イメージ 7 ▲窓を開け放てばこのとおり!オープンエアでの温泉も楽しめます。