毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

香港の味を懐かしむ。

イメージ 1 ▲香港の潮州料理の隠れ家的お店「煮打菜」で食べたモノ。

 2015年8月29日、「肉餅」も食べればよかった。

 今日はちょっと香港の味を懐かしく思い出してみようと思います。

 香港と言えば広東料理!ですが、一言で広東料理と言ってもいろいろあり、その中で、香港で実にたくさんのレストランを見かけるのが「潮州料理」のお店です。僕も、香港での3年間、「粤菜」と呼ばれる広東料理よりは、「潮菜」と呼ばれる「潮州料理」の方をはるかにたくさん食べたような気がします。

 今日は、香港に数ある潮州料理店の中でも、庶民的でリーズナブルで特色があっておいしいお店をご紹介。「煮打菜 打冷小菜館」といいまして、「筲箕灣南康街18號(18 Nam Hong Street, Shau Kei Wan)」。トラムの東の端の終点である筲箕灣(シャウケイワン)の、トラム通りから坂を上った一本山手の狭い道に面していて、なかなか見つけにくい場所にあり、ちょっと穴場的なお店と言えましょう。

イメージ 10 ▲ご近所のみなさんが気楽に家族連れでリラックスして食事中。

 自宅や職場からはかなり遠いので、行くのはいつも週末の夕方の早い時間。そうすれば待つことすぐにテーブルに就けて、ゆっくり食事を楽しむことができます。

 潮州料理というのは、広東省の沿岸部を香港あたりからずっと北へ上がっていくと、福建省との境に近いあたりに潮州市や汕頭(スワトウ)市を中心に食べられてきた地方料理です。香港にある大衆的な潮州料理店の看板には「打冷」という文字が入っていることが多いのですが、なぜ潮州料理店のことを「打冷」と呼ぶのかには諸説あるようです。特色のある料理は数々あってキリがないので、まずは定番中の定番「蠔餅」。小ぶりのカキをたっぷり入れて、刻んだネギ類も混ぜて溶いた玉子を、たっぷりの油を熱した鍋で一気に焼き上げたもの。店によってけっこう違いがありますが、ここのはまるで「かき揚げ」のようで、さくさくの食感と内側に残る玉子焼きの食感、そしてカキの香ばしい味わいに、箸が進みます。潮州料理を食べに行ったら、これは絶対に外せません。

イメージ 2 ▲一見しただけではかき揚げにしか見えず、玉子焼きには思えない。

イメージ 6 ▲でもやっぱり玉子焼き(^^)。よく見えないけれどカキもたっぷり封じ込められてます。

 もう一つ絶対外せないのは、「蠔仔肉碎粥」。名前はお粥ですが、どちらかというと雑炊と言った方が近い。これまたたっぷりのカキと豚の挽き肉、ダシには更に干したヒラメを揚げてほぐしたものを加え、刻みネギなどを散らしてあって、海鮮風味満点の実にコクのあるスープがごはんに浸みて、なんとも言えぬおいしさ。胡椒を少し振って食べるとなおオイシイ。スープとして味わってもよし、締めの主食としてがっつり食べてもよし。とにかくこのお粥を食べないことには潮州料理を食べに来たことになりません。だいたいどこのお店で食べてもこのお粥はおいしいですが、もちろんここのお店の「蠔仔肉碎粥」も合格です。

イメージ 3 ▲一見、ただの濁ったスープにしか見えないなあ(^_^ゝ。

イメージ 4 ▲レンゲですくうと、ごはんにカキにひき肉に……おいしいんだよこれが……

イメージ 5 ▲潮の香りがよく効いたコクのあるスープで、いくらでおかわりできちゃいます。

 このような潮州料理の定番料理の他、このお店の名物料理には、一つは「肉餅」というのがありまして、これは豚のひき肉をこねて大判のハンバーグ状にして蓮の葉にくるんでセイロで蒸したもので、実においしい。しかし今日はそれではなく、もう一つの名物料理をご紹介します。

 それは「魚飯」。潮州語で「フーブン」と発音するらしいですが、お米とはまったく関係ありません。塩ゆでして冷めた魚のことで、まだ冷蔵冷凍設備がなかった頃、潮州地方の漁民が漁船の上で火を焚いて海水を鍋で沸かし、獲れた魚をそれに入れてゆでて竹ザルに盛っておき、浜に戻ったときにすぐに売れるようにしていたのが始まりだそうです。

イメージ 7 ▲これがボラの「魚飯」だ!

 このお店では、「魚飯」にできる魚は何種類かあるようですが、オススメは「烏頭」。ボラのことです。ぱっと見は塩焼きのようですが、熱くはなくて冷めているというのが日本人にとってはちょっと意外な感じがします。塩ゆでしただけにしては臭みもなく、身が締まっていて食感もよく、タンパクであっさりとした味は日本人好みかも。このボラの身を、大豆の形がまだ少し残っている中国味噌のタレにつけてたべるとこれまたウマイ。こりゃービールに合いますな!

 とにかくこのお店に来たらまず「魚飯」と「肉餅」でビール。みなさんもこれでお願いします!ヽ(^。^)丿

イメージ 8 ▲作り方はシンプルすぎるくらいシンプルだけど、身が締まってタンパクでウマイ。

イメージ 9 ▲大豆の形がまだ残っている中国味噌のタレにつけて食べると更に美味に。