毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

三つの国の国境が集まる場所(どうしても冷麺が食べたくて;その10)

イメージ 7 ▲中国・ロシア・北朝鮮の国境が集まる場所「防川」。展望台「龍虎閣」の上から。

 2015年4月18日、ロシアの貨物列車が行く。

 琿春市中心部から約65km、東へ走ると、「防川風景区」。中国の領土の幅がどんどん狭くなって、最後には、あと15kmで日本海へ出られるというところで、残念ながら海へ出られずに行き止まりになるという場所です。ここには中国とロシアと北朝鮮の国境が集まっているのです。

 前回来たときには工事中だった展望台「龍虎閣」が今回はオープンしていたので、その最上階へ上ってみると、眼下を流れる図們江が更に東へ流れて行く先には、橋が架かっているのが見え、その更に先の水平線なんだか地平線なんだかのあたりはもう日本海。もっと空気が澄んで晴れていれば、日本海も見えるはずなんですが。

イメージ 1 ▲図們江の流れる先の地平線のあたりが日本海。ぽつんと白い建物までが中国。

イメージ 6 ▲その白い建物にズーム。ここまで中国で、その先はロシアであります。

 展望台からぽつんと見える白い建物までが中国で、そこから先は、図們江を境にしてこちらから見て左がロシア、右が北朝鮮。清の時代までは中国の領土は日本海に達していたのですが1860年の北京条約などで国境が後退し、ぽつんと見える白い建物のところで行き止まりになってしまいました。以前来たときはあの建物まで行けたのですが、展望台がオープンしたせいか、今は行けなくなっていました。

 そして図們江に架かっている橋は、ロシアと北朝鮮を結ぶ鉄道橋。目をこらすと、ちょうど北朝鮮側からロシア側に向かって、貨物列車がゆっくりと渡っているのが見えるではありませんか。

イメージ 2 ▲ちょうど貨物列車が北朝鮮からロシアへゆっくりと渡っているところ。

 ゆっくりと走っている貨物列車の先頭部分を見てみると、緑色のディーゼル機関車が重連で牽引しているように見えます。おそらくロシア側の機関車だろうとは思うのですが、ロシア鉄道は詳しくないので、よくわかりません。いろいろ調べてみると、「2TE116」型ディーゼル機関車によく似ているのですが、自信はありません。

イメージ 3 ▲北朝鮮から図們江の橋を渡ってロシア側に入ってきた貨物列車。

 北朝鮮側から鉄橋を渡ってロシア側に入ると、すぐハサン駅があります。安物のコンデジをフルにズームすると、ハサン駅の駅舎の屋根についている駅名標も読み取ることができます。ハサン駅からロシア国内方面は、ハサンスキー本線でバラノフスキー駅までつながっており、バラノフスキーまで出ればそこはシベリア鉄道本線です。北朝鮮側は、図們江を渡るとすぐに「豆満江(トマンガン)」駅があり、そこから更に羅津駅までは2013年に四線軌条化されたので、ハサン~羅津間はロシアの列車も北朝鮮の列車も、台車の交換や貨物の積み替えをすることなく直通できるようになっています。

イメージ 5 ▲遙か遠くのロシア・ハサン駅近くを走る貨物列車を牽く機関車は「2TE116」型かな?

イメージ 4 ▲ハサン駅の駅名標も見えました。

 すっかり観光地になっている防川風景区をあとに、延吉市内へと戻ります。

 その途中で、もう一ヶ所「口岸」に寄ってみました。中国と北朝鮮の国境を跨ぐ「圏河口岸」です。琿春市街地からは約40kmちょっとのところにあります。ここにも橋が架かっていて、対岸は北朝鮮の元汀里(ウォンジョンリ)。1938年に架けられた橋が今はもう老朽化著しいので、現在すぐ隣に新しい橋を架ける工事が進んでいます。

 口岸を行き来する車両は非常に多く、コンテナトレーラーなどの大型車両もひっきりなしに行き来しています。一日二往復、琿春と北朝鮮の羅先(ラソン)を結ぶ路線バスも、ちょうど午後の便が羅先からやってきて、中国側の口岸の前に停まっていました。金正恩政権になってから中朝関係は低迷していると聞きますが、ここの盛んな往来を見ていると、地方レベルではそんなに変わっていないのかなという気がしました。

イメージ 8 ▲「圏河口岸」前。大型車両を含むたくさんの車両が北朝鮮に向けて出国手続中。

イメージ 9 ▲奥が「圏河口岸」の「国門」。左に停車中のバスが琿春と羅先を結ぶ1日2往復の路線バス。