日本最長第三セクター鉄道（萩の花咲く秋のニッポン旅；その57）

▲青森駅1番線に停車中なのは10:34発の八戸行き普通列車570M。

　2014年10月2日、筒井駅。

　これから乗りますのは、1番線に停車している青森10:34発の八戸行き普通列車570Mです。車両はJRの701系電車がベースになった青い森701系の2両編成。しばらく前までは、JR時代の青紫の帯のままの車両も残っていましたが、今は青い森鉄道コーポレートカラーの水色に統一され、イメージキャラクターの「モーリー」も車体に描かれています。

▲車体にはイメキャラ「モーリー」も描かれてます。

　2番線に10:24到着の八戸からの快速501Mがやってきました。こちらは青い森鉄道の新造車青い森703系です。青い森鉄道として初めての新駅開業となった2014年3月15日の筒井駅開業に合わせて2編成が投入された車両で、ベースはJR東日本のE721系です。投入されたというのはニュースを聞いて知っていましたが、実際に目にするのは今回が初めてです。

▲青い森鉄道の新型車両青い森703系。

　青い森鉄道の車両は以前はオール・ロングシートでしたが、青い森703系にはボックスシートもありますし、青い森701系の方もボックシート設置が進められているようです。

　しかし、この日乗る予定の570Mは紫色のモケットのオール・ロングシート車。普通列車も最後まで客車が残っていた青森だけに、701系の投入で初めて青森にロングシート車が現れたときの衝撃は大きく、ロングシートは「青森には似合わない」と感じたものですが、今に至るも、青森にロングシート車なんて、どうにもそぐわない感じがぬぐえません。

▲どれほど経ってもどうにも青森にそぐわないロングシート車。

　青い森鉄道は、国鉄・JRの東北本線だった青森～目時間の27駅、121.9km。第三セクター鉄道では、かつては国鉄池北線から転換した北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線が140.0kmで最長でしたが、2006年に廃止され、その後肥薩おれんじ鉄道が116.9kmで日本最長でしたが、今では青い森鉄道がそれを抜いて、日本最長です。目時～盛岡間のいわて銀河鉄道82.0kmと合わせると、盛岡から青森まで、203.9kmにわたって第三セクター鉄道が続く、東北本線の分断区間です。

▲青い森鉄道は青森～目時間の27駅、121.9km。

　570Mは、そこそこの乗客を乗せて10:34に定刻発車。八戸～青森間は、新幹線とはまったく切り離された区間で、浅虫、小湊、野辺地、三沢方面へは、新幹線を使って行くことができないエリア（三沢はまあぎりぎり八戸経由で行けますが）なので、優等列車がまったく走らなくなっても青い森鉄道に頼らざるを得ず、スーツを着込んだ用務客もけっこう乗っています。

▲2014年3月15日に開業した新駅「筒井駅」。もうすぐ開業1周年。

　青森を出て最初の駅は、2014年3月15日に開業した新駅「筒井駅」。我が母校のすぐ近くにできたので、冬でも通学の足に困ることはなくなったことでしょう。僕のときにもこの駅があれば、バス通学で大雪でバスが進まず遅刻するかしないか毎朝焦りまくるなんていう苦労を味わわずに済んだのに(笑)。

　そのあとは東青森、小柳、矢田前、野内と続きますが、ここ数年の高校の移転もあって、駅の近くに高校があるというパターンがずいぶん増えました。高校生の特に冬の通学の足の確保になっていますし、それに伴って青い森鉄道の増収にもつながっているのではないでしょうか。

　野内の次は浅虫温泉、このあたりから左に陸奥湾の海が見え始め、小湊まで続きます。新幹線ではこの車窓の景色がないのが残念なんですよねー。

▲緑の屋根の建物は「ほたて広場」。

　浅虫水族館を右手に見ながら進むと、左側に陸奥湾をかなり広く見渡せる視界の開ける場所を通ります。ここはかつては国道4号線が片側に急斜面が迫る海岸線をうねうねとカーブしながら通っていましたが、2011年に、海上にかかる「ほたて大橋」を含む「土屋バイパス」が全面開通して、線形の良い道路でショートカットすることができ、便利になりました。橋のたもとには県と漁業団体が平内町の協力を得つつ、ほたての生産と販売の拠点づくりを目的としてオープンした「ほたて広場」があります。ほたて漁業の紹介や歴史などの展示とほたての販売をメインにした施設です。道の駅のようなもので、鉄道利用だと行きにくいのですが、夏泊半島観光なんかと合わせて立ち寄ってみるといいかもしれません。

▲「土屋バイパス」「ほたて大橋」ができてちょっと視界が悪くなったんですが。