毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

府中といっても京王線じゃないよ(萩の花咲く秋のニッポン旅;その39)

イメージ 1 ▲備後安田~梶田間の山道。福塩線もけっこう山だなあ。

 2014年9月27日、上下左右まえうしろ。

 府中行きの列車は、山道にさしかかってきました。福塩線もなかなかの山路線ですねー。

 備後安田からひとしきり山の中を走ると次の駅は梶田、そして甲奴と続きます。「こうぬ」と読みます。「奴」という字が使われていて、これまたちょっと変わった駅名。山陽本線の岡山最西端の駅に笠岡という駅がありますが、その笠岡市にも「甲弩(こうの)」という地名があるそうで、これも由来は同じらしいです。甲奴の集落周辺には上下川という川が流れており、笠岡市甲弩周辺には小田川という川が流れていますが、このような場所は元来「川野(かはの)」「河内野(カハフチノ)」と呼ばれていたのが「甲奴」や「甲弩」に転訛したようです。しかしそれにこのような漢字を当てたのにはどういう背景があるのでしょうね。

イメージ 2 ▲山道を走り抜けると梶田駅。

イメージ 3 ▲変わった地名(駅名)と言えるでしょう。甲奴駅。

 甲奴の次は上下。福塩線はちょっと変わった駅名が続くなあ。上下ですよ、「じょうげ」。上下という駅があるなら左右とか前後という駅もあってもおかしくなさそうです(^^)。上下駅が「福塩線最高地点383.74m」にあることからもわかるとおり、上下町は分水嶺にあって、ここを境に川の流れが逆になるので、この地名がつけられたそうです。
 
 おや?駅舎に「手打ち そば処 四季」というのれんがかかっていますよ。「上下」という文字を縦に並べて縦棒をとっぱらった、ちょっと変わったデザインが描かれています。矢野温泉公園『四季の里』から移転してきて2013年3月1日にオープンしたお店らしいです。上下産の蕎麦粉を使った手打ちの蕎麦、「上下天領そば」、「上下代官そば」が看板メニュー。営業は午後5時までなので、残念ながらこの日はもう閉店していましたが。

イメージ 4 ▲分水嶺に位置することから名付けられた「上下」、変わってます。

イメージ 5 ▲駅舎の中には手打ちのお蕎麦屋さんが入っているらしい。

 ちょっと途中下車してみたくなる駅「上下」を出発すると、進路はほぼ南向きとなり、福山めざして下っていきます。上下の次は備後矢野。反対側のホームには先着列車が交換待ちで待機しています。府中発三次行きの1731Dです。こちらの方が後着で先発。1731Dをホームに残して、備後矢野駅から遠ざかります。

 そろそろ外は薄暗くなってきて、走行中に外の写真を撮るのは難しくなってきました。備後三川、河佐、そして中畑。山の斜面にへばりついたような小駅で、ホームの向こうはすぐ崖。下の芦田川まで転げ落ちそうな感じです。

イメージ 6 ▲備後矢野駅で三次行き1731Dと交換。

イメージ 7 ▲1731Dを残したまま、こちらが先に備後矢野駅を発車。

イメージ 9 ▲崖の途中に無理矢理作ったような中畑駅のすぐ真下は芦田川。

 一気に日が暮れてきました。外はもうかなり暗くなってきました。中畑の次は下川辺。駅間距離は3.9kmですが、ここを走るのに10分もかけています。4km10分ってことは時速24kmってことですよ。山間部で線形条件がかなり悪く、曲線半径が小さいところも多くて、厳しい速度制限が続いているようです。

 そして下川辺の次が終点府中。府中といっても京王線の府中駅じゃないよ(^^ゞ。でも、この日一日通ってきた駅の中ではなかなか賑やかな駅ですよ。18:21の到着です。

イメージ 8 ▲夕闇迫る府中駅3番線に到着しました。