毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「なごり雪」の重岡駅(暖冬正月北から南まで;その34)

イメージ 6 ▲終点大分に到着した「にちりん2号」。奥には豊肥線、久大線の気動車も見えます。

 2014年1月10日、重岡駅。

 夜明け前のまだ真っ暗な宮崎駅から乗った特急「にちりん2号」、真っ暗な中を日豊本線を北上します。睡眠時間が足りていないので、周囲がこれだけ暗ければすぐに眠りに落ちるのはあたりまえ。列車は暗闇の中を坦々と走っていきます。

 しかしどんなに眠くても、絶対に眠ってはいけない区間がある。それは延岡~佐伯間の宮崎・大分の県境越え。特に重岡駅を通過するときは、目をつぶってはならないのです。

イメージ 1 ▲目に焼き付けておかなければならない重岡駅を通過。1番線には貨物列車が交換待ち中。

 宮崎県側から走ってきて、いわゆる「宗太郎越え」と呼ばれる県境の峠越えをして最初の駅が宗太郎駅で、その次の駅が重岡駅。なにしろ1日3往復、普通列車が停まるだけの無人駅なんですが、このブログには何回か登場しています。なぜなら、この駅で、大林宣彦監督の映画「なごり雪」のロケが行われたからです。僕がいかにこの映画とその次の映画「22才の別れ」に、そして臼杵という町のファンになってしまったかは、このブログを読んでくださった方ならわかっていただけていることでしょう。

 そんな映画「なごり雪」の中で臼杵駅のホームとして登場するのが、苔むした重岡駅の2/3番線ホーム。そこを通過するときに寝てるわけにはいかないのです!

イメージ 2 ▲後方へ過ぎ去る重岡駅。いつかまたここで下車できるかしら……

 しかしちょっと不思議に感じたのは、この「にちりん2号」が重岡駅の3番線を通過したこと。

 2005年8月27日にこの駅に降り、「にちりん2号」と「にちりん4号」の通過シーンを見届けましたが(そのときの記事はコチラ、どちらも2番線(真ん中の線路)を通過しています。また、映画「なごり雪」のロケでも、JR九州の計らいで、基本的に列車が通ることがない3番線に実際に車両を入れて撮影が進められたとされています。

 なのに、今回の「にちりん2号」はどうして「基本的に列車が通ることがない」はずの3番線を通過したのでしょう?いつから変わったのだろう?

イメージ 3 ▲08:34、臼杵到着。映画「なごり雪」の舞台、石仏火祭り、そして「竹宵」の町。

イメージ 4 ▲これは隣の上臼杵駅の近くかな。古い町並みが広がります。

 とっくに夜が明けて、日が昇ってみればこの日も1月とは到底思えない雲一つない快晴。くっきりとした青空の下を走り、佐伯の次はセメントの町・津久見、そしてその次が臼杵、08:34の到着です。大林宣彦監督が、尾道三部作を「街おこしの映画」と位置づけたのに対し、臼杵のほうは「町残しの映画」と位置づけたように、臼杵には古いけれども素晴らしい町並みが残っていて、何度でも訪れたくなります。8月の国宝「臼杵石仏」の火祭りも、11月の般若姫伝説を題材にした「竹宵」も、本当に美しく素晴らしいおまつりです。

 臼杵の町も見届けて更に30分ほど走れば、終点大分には09:08の到着。全部高架ホームになってしまった大分駅4番線に到着です。この日の「にちりん2号」は787系のB0106編成が充当されていました。朝の光に輝くメタリックグレーの車体をカメラに収めて、急いで乗り換えます。

イメージ 5 ▲日除けにはまだ「ARIAKE」のロゴが残ったままですね。